米の説図鑑
力を入れてしっかり研ぐ?(洗う・浸す)
農林水産省「米の調理特性」が引用する貝沼やす子 ら 1990 の、研ぐ方法と洗う方法を比べた食味官能試験です。洗米の回数は同省が水を3〜4回替える、官能評価の手順がほぼ濁りがなくなるまで3回程度と書いています。研ぎの強さを段階に分けて比べたのではなく、二つの方法の対比である点には注意が要ります。…
最初の水は10秒以内に捨てる?(洗う・浸す)
吸水の数値は檜作進 1970 の実測と農林水産省「米の調理特性」によります。秒数の作法そのものは、農林水産省と日本穀物検定協会の資料、調理科学の学会誌のいずれにも三点識別試験法のような比較が見当たりません。浸漬吸水率の測定も分単位で行われており、米穀店の経験則として広く共有されている段階にとどまります。
とぎ汁が透明になるまで洗う?(洗う・浸す)
農林水産省「米の調理特性」の洗米方法の記述と、同省が示す官能評価による判別方法の炊飯手順です。前者は回数で、後者は濁りの消え方で終点を書いています。ぬか層の濁りを数値で追った山下律也ら2004(精米機メーカー・サタケの研究者を含む)は、精白米を15℃の水に入れて撹拌し、濁度計で濁りを測った実験で…
浸水は夏30分・冬2時間?(洗う・浸す)
檜作進 1970(調理科学)の記述と、農林水産省「米の調理特性」の浸漬時間の記述を突き合わせたものです。夏と冬で水温に20℃程度の差があるという前提までは共通で、浸漬吸水率の測定は季節ではなく水温別に行われています。季節そのものを条件にした比較試験は見当たらず、食味官能試験で夏と冬を比べた資料も確認できていません。…
浸水は2時間で吸水が止まる?(洗う・浸す)
檜作進 1970 の総説と農林水産省「米の調理特性」(30℃は5℃より短時間で飽和)に、坂本ら 2015 を重ねました。坂本らは岐阜県産コシヒカリの精白米30gを5〜50℃の水に5〜240分浸し、洗米せずに浸漬吸水率の測定を行っています。食品総合研究所(現・農研機構)の1994年の成果情報も…
米は一晩水につけておくとよい?(洗う・浸す)
吸水の飽和は農林水産省の記述、5℃の結果は坂本ら 2015 の1件の報告によります。岐阜県産コシヒカリの精白米30gを5〜50℃の水に5〜240分浸し、浸漬水に出た固形分も含めて吸水率を出しています。衛生の指摘は新潟大学 大坪研一 監修の質疑応答集で、胞子や耐熱性の毒素が残る可能性は皆無ではないという書き方です。…
無洗米は洗わずに炊ける?(洗う・浸す)
肌ヌカの定義と製法の説明は、BG精米製法の権利者である東洋ライスと、JAの精米事業の解説によります。製法にはヌカ式・タピオカ式・水洗い式などがありますが、製法どうしを比べた第三者の試験は確認できていません。食味官能試験で洗った米と無洗米を並べた資料も見当たらず、無洗米という表示自体に製法の区別はありません。
無洗米は水を多めにする?(洗う・浸す)
1合の重さは農林水産省「米の調理特性」(1合カップは180mL)、重さの差の説明はBG精米製法の権利者である東洋ライスによります(利害のある発信元です)。どちらも吸水の速さを比べた測定ではなく、容積あたりに入る米の量の話です。水は米の重さの何倍か(加水量の重量比)で見れば白米と同じ1.3〜1.5倍の範囲に収まり…
炊飯器の内釜で米を洗ってはいけない?(洗う・浸す)
根拠にあたるのは機種ごとの取扱説明書で、公的機関の比較試験ではありません。農林水産省「米の調理特性」にも、日本穀物検定協会が食味ランキングで用いる試験手順にも、洗米に使う容器の指定は見当たりません。容器の違いでぬか層の落ち方が変わるのかも測られておらず、判断の材料は手元の説明書だけです。…
氷を入れて炊くと甘くなる?(炊く)
象印マホービンの商品企画担当の見解(氷の有無で違いは出ない・推奨していない)と、農研機構および家政学会誌の還元糖と酵素活性の測定によります。氷が意味を持ったのは温度制御が難しかった時代の話で、氷入りと氷なしを食味官能試験で比べた公開資料は見当たりません。炊き上がり倍率で確かめた例もありません。
アルカリイオン水で炊くとおいしい?(炊く)
パナソニックの案内(pH9未満の水を使う)によります。日本調理科学会誌には炊飯水のpHと物性・初期老化を扱った研究があり、pH3およびpH9の緩衝液で付着性の増加と老化(β化)の抑制が報告されています。ただし研究が扱ったのは緩衝液であって、家庭の飲料水にそのまま当てはめられるかは確認できていません。
炊飯には軟水でなければいけない?(炊く)
日本食品化学学会誌に載った中村武夫 ら 1997「硬度の異なる調理用水による炊飯米の食味評価に関する研究」が、硬度の違う水で炊いた米飯を同じ手順で比べたものです。著者らはカルシウムとマグネシウムの補充による食味向上の可能性に触れています。極端な硬水の話はこれとは別の報告で…
はちみつを入れて炊くと甘くなる?(炊く)
効果側の出どころは生活情報サイトとはちみつを扱う販売サイトで、対照を置いた実験の記載がありません。安全側は厚生労働省と消費者庁が出している乳児ボツリヌス症の注意喚起で、こちらは加熱の温度と時間まで示されています。三点識別試験法のようにはちみつの有無を伏せて評価した公開例も、食味官能試験の記録も見つかりませんでした。
土鍋で炊くとおいしい?(炊く)
農林水産省「米の調理特性」の加熱過程と、檜作進 1970(調理科学)の記述が土台です。どちらも温度と時間の話であって、器具どうしの比較ではありません。土鍋と炊飯器を同条件で比べた食味官能試験を探しましたが、公的機関の資料にも学会誌にも見当たらず、炊き上がり倍率やテンシプレッサーの値をそろえた例も確認できていません。
炊き上がったら10分蒸らす?(炊く)
1988年の報告は、要旨で読んだ範囲では、蒸らしなし・15分の2条件を比べています。米の品種・量と官能検査の人数は、要旨からは確かめられませんでした。1989年の報告は、厚手鍋と薄手鍋の2種類で、加熱を延ばした飯と蒸らしの時間を比べています。読んだ2報の要旨には…
炊き上がったらすぐほぐす?(炊く)
根拠はメーカー2社の案内と、農林水産省「米の調理特性」および檜作進 1970(調理科学)の蒸らすに関する記述です。ほぐす時刻を振って水分や食味を比べた第三者の試験は見当たらず、食味官能試験で放置時間を条件にした公開データも確認できていません。数値で示されているのは蒸らし期およそ10分という長さまでで…
水は米の重さの1.5倍?(炊く)
農林水産省「米の調理特性」と檜作進 1970(調理科学)が出どころです。前者は精白米1合150g、一合升の容量180mL、好ましい炊き上がりを米の重さの2.1〜2.3倍としています。炊飯器の機種ごとに内釜の目盛がどの倍率にあたるのかを比べた資料は確認できていません。無洗米は1合160gで…
新米は水を1割減らす?(炊く)
農林水産省「米の調理特性」および「米の貯蔵中の変化」の記述が根拠です。低温貯蔵の基準は15℃以下・湿度70〜75%とされ、玄米の保管基準では水分15%が示されています。産年をそろえて食味を比べた試験は探した範囲で見つからず、穀粒水分計の実測を並べた資料も、食味官能試験の公開例も確認できていません。
早炊きモードは味が落ちる?(炊く)
吸水の数値は檜作進 1970(調理科学)の実測で、米重量の20〜30%を吸うとされています。農林水産省も水温30℃以下で吸水率20〜25%、最低30分・できれば60分の浸漬としています。早炊きと通常炊きを食味官能試験で比べた公開例は確認できておらず、浸す時間をそろえた試験も…
炊いている間は蓋を開けてはいけない?(炊く)
農林水産省「米の調理特性」と檜作進 1970(調理科学)が、加熱過程と糊化(α化)の条件の出どころです。檜作進は65℃では糊化に十数時間を要するが98℃なら20〜30分で足りるとしています。蓋の開閉を条件にした試験は探した範囲では見つからず、炊き上がり倍率で比べた例も、食味官能試験で確かめた資料もありません。
粒が立っているご飯はおいしい?(炊く)
定義の出どころは早川ら 2025 で、32品種の炊飯米から278語、業務用の米飯から25語、論文252報と専門書26冊の語を合わせ、専門パネルの討議で120語へ絞っています。食味ランキングのほうは専門の評価員20名が外観・香り・味・粘り・硬さ・総合の6項目を基準米と比べる仕組みで、粒立ちという項目はありません。…
特Aは日本一おいしい米の印?(品種と買い方)
一般財団法人日本穀物検定協会の食味ランキングです。対象は道府県が選出した作付1,000ha以上または生産量5,000t以上の産地品種銘柄で、専門の評価員20名が外観・香り・味・粘り・硬さ・総合の6項目を基準米と比べます。流通するすべての米を評価したものではなく、供試された試料はその年のものに限られます。
食味値が高い米はおいしい?(品種と買い方)
農林水産省「米の食味の理化学評価」を根拠にできるのは、近赤外分光が米を壊さずに成分を測る方法であることと、装置ごとの較正式から出す推定値だという限界までです。判定項目の内訳は食味計を作る各社の仕様によります。機種の違う食味計で同じ試料を測って値がどれだけ揃うのかを比べた公開データは見つからず…
タンパク質が低いほどおいしい?(品種と買い方)
農林水産省「米の食味の理化学評価」が書いているのはたんぱく質含量が高い米ほど食味は低下するという向きまでで、上下の閾値の数字は農研機構の解説によります。日本の炊飯は炊き干し法で、少量の水をでんぷんとタンパク質が取り合うため、多い米では吸水と糊化が妨げられる、というのが理由です。湯取り法の国では前提が変わり…
迷ったらコシヒカリを買えばよい?(品種と買い方)
農研機構 東北農業研究センターが公表している低アミロース米の解説に、登熟期の気温と含量の関係が示されています。含量そのものはヨウ素比色法によるアミロース定量で測ります。ただし、同じ品種を複数の産年で並べて振れ幅を数値で示した一覧は見当たりません。単年の食味の評価を、その品種の性質として読むことはできません。…
低アミロース米はもちもちしておいしい?(品種と買い方)
含量の区分は農研機構 東北農業研究センターの低アミロース米の解説によります。測られているのは粘りと硬さという物性で、テンシプレッサーのような測定器で比べられます。どの粘りを好む人がどれだけいるかを尋ねた比較は含まれておらず、栄養や健康との関係を示した資料でもありません。物性と好みは、別に測る必要があります。…
同じ品種なら産地が違っても同じ味?(品種と買い方)
アミロースの年次変動は農研機構 東北農業研究センターの解説、タンパク質の目標値は埼玉県農林部の資料によります。ただし、同じ品種を複数の産地と産年で並べ、成分と官能評価をまとめて比較した公開データは見当たりません。産地の優劣を比べた試験も確認できておらず、どちらが上かを言える材料はありません。動くことは示されていても…
新米のほうが古米よりおいしい?(品種と買い方)
農林水産省「米の調理特性」と「米の貯蔵中の変化」によります。低温貯蔵の基準は15℃以下・湿度70〜75%、食糧庁の玄米低温保管基準は15℃・水分15%・相対湿度60%です。ただし、産年ごとに保管条件を揃え、官能評価まで並べた公開データは見当たりません。売り場での保管温度も表示されていません。…
古米はにおいでわかる?(品種と買い方)
同じ資料には、貯蔵中に水分の減少、α-アミラーゼ活性の低下、でんぷんの分解による還元糖の増加も起こると記されています。低温貯蔵の基準は15℃以下・湿度70〜75%です。ただし、においの強さを人が判定した試験の条件や、その点数までは公表されていません。家庭の保管での検証も同じです。…
産地と品種が書けるのは検査を受けた米だけ?(品種と買い方)
消費者庁が公表している食品表示基準(玄米及び精米の表示)の改正内容によります。産地・品種・産年が同一で、その根拠資料を保管しているものが単一原料米です。複数原料米は複数の産地・品種・産年を混ぜたもので、品質の良し悪しを表す区分ではありません。改正で何が変わったかは、この基準の本文に書かれています。区分の呼び名は…
残ったご飯は冷蔵庫に入れる?(しまう・温め直す)
檜作進 1970 は調理科学の総説で、水分は30〜40%が最も老化しやすいと書き、著者らが種々のでんぷんで調べた温度の結果も引いています。鈴木一成 1989(東京ガス技術研究所)は、新潟産コシヒカリの飯15〜20gをびんに密封し、+5・0・−5・−20℃で酵素法により糊化率を追いました。…
残ったご飯は熱いうちに冷凍する?(しまう・温め直す)
柴田ら2017(一次研究)の条件は、炊飯後に直ちに冷凍する区と、室温20.6℃で1時間冷ましてからラップあり・なしで冷凍する区の比較です。冷凍は家庭用冷蔵庫の冷凍室で1日と1か月、解凍は600W相当(実測483W)の電子レンジで2分です。冷凍のときは、どの区もラップで包みました。品種はコシヒカリ1種類で…
保温にしておけば劣化しない?(しまう・温め直す)
老化の抑制は農林水産省「米の調理特性」、保温温度は各社が公表している値によります。黄変は糖とアミノ酸の反応によるもので、12時間を超えると目に見えて進むとされますが、これは家電の解説記事による記述です。保温時間ごとに色とにおいを測った試験までは確認できていません。…
木のおひつに移すとおいしくなる?(しまう・温め直す)
農林水産省の米の調理特性、日本調理科学会誌、米穀関係の資料を探しましたが、おひつ・蓋つきの器・炊飯器の保温を並べ、時間ごとに水分と官能評価をとった試験は確認できませんでした。木の種類や厚みを条件に加えた比較も、家庭で再現できる形の手順も見当たりません。おひつの側の資料は、材と手入れの説明が中心です。…
米は冷蔵庫の野菜室で保存する?(しまう・温め直す)
温度と湿度の数値は農林水産省の同じ資料に載る低温倉庫の条件で、玄米を大量に置く倉庫の話です。精米した米を家庭の冷蔵庫に入れる条件として測られたものではありません。家庭向けの温度と湿度の基準は、探した範囲では見当たりませんでした。野菜室と台所の常温を…
温め直すときに水をふりかける?(しまう・温め直す)
数値の出どころは農林水産省「米の調理特性」と檜作進(調理科学 1970)で、どちらも炊飯そのものの実測であって温め直しの実験ではありません。加える水の量を0mL・小さじ1・小さじ2のように変えて、温め直した米飯の硬さや水分を並べて比べた公開データは、公的機関・学会誌・メーカーの資料を探した範囲では見当たりません。
おにぎりは熱いうちに握る?(おにぎり)
農研機構の2件は、どちらも卓上型のおにぎり成形機にかけた結果で、手で握った結果ではありません。2025年の論文は、令和5年度の茨城県産のコシヒカリとミルキークイーンの2品種を使いました。どちらも要旨を読んだ範囲の話で、全文の手順や条件は確かめていません。情熱大陸の字幕は一部が崩れていて…
ラップより素手で握るほうがおいしい?(おにぎり)
自治体・学会誌を探した範囲での話です。東京都は、前夜に握って朝まで台所に置いたにぎりめしで家族5名中3名が発症した事例を、調理者の手などからの汚染と高温が原因と考えられたと載せ、手袋やラップで直接触れない握り方を案内しています。大阪府は、健康な人でも鼻や咽頭に保菌し…
塩をつけて握ると傷みにくい?(おにぎり)
数値の出どころは食品安全委員会のファクトシート「ブドウ球菌食中毒」で、食品での実験ではなく専門書などをもとに整理されたものです。くらし科学研究所(2010年)の試験は、レトルトご飯に菌を接種して25℃・35℃で置き、10⁶個/g程度で毒素が作られ始めたものです。塩の条件は書かれていません。手塩の量を変えて…
おにぎりは強く握らないほうがおいしい?(おにぎり)
貝沼やす子 ら 1990 の実験は洗米方法(研ぐ/洗う)の比較で、握る力の話ではありません。これを引用した農林水産省の洗う方法もたっぷりの水で手早くかき混ぜ、水を3〜4回替えるで、米粒に力をかけない方向で手順が揃っています。おにぎりの握る力そのものを条件として設定した試験は…
玄米のフィチン酸がミネラルを奪う?(体と栄養)
出どころは日本植物生理学会「みんなのひろば」の専門家回答で、n数を持つ比較実験ではなく、成分の存在形態からの整理です。同じ回答は、喧伝される抗ガン作用も確実に実証されたものではないと退けています。摂取量と他の食品のミネラル吸収率を日本人で測った研究は、探した範囲では見当たりませんでした。
玄米は白米より無機ヒ素が多い?(体と栄養)
対象は国産米で、農林水産省が令和4〜6年産について調べ、平成29〜令和元年産の前回調査と比べています。産地の低減対策の効果を見るための継続調査です。基準値はコーデックス委員会の勧告値で、カドミウムは食品衛生法により玄米・精米とも0.4mg/kg以下と定められています。輸入米や加工品は別の調査になります。
玄米は消化が悪い?(体と栄養)
成分の値は日本食品標準成分表(プロスキー変法)、糊化の記述は檜作進(調理科学 1970)です。人が玄米と白米を食べて、消化率や胃内の滞留時間を比べた研究は、公的機関と学会誌を探した範囲では見当たりませんでした。噛む回数を条件にした試験も、玄米を主食にしている人を対象にした調査も確認できていません。
冷やごはんは消化されにくいでんぷんが増える?(体と栄養)
どちらも一次研究で、要旨に品種は無く、単位も保存条件も別なので数字は並べられません。老化の速さの温度依存は、檜作進(調理科学 1970)の総説によります。日本の米飯について温度と時間ごとに測った資料は、読めた範囲では見当たりません。体の反応まで測った報告(Sonia らは健康な成人15人)もありますが…
分づき米は玄米と白米のいいとこ取り?(体と栄養)
値は日本食品標準成分表(プロスキー変法)で、炊く前の穀粒100gあたりです。三分づきの区分は成分表に無く、玄米と半つき米の間として扱うことになります。浸水時間の目安(七分づきで2時間以上・五分づきで3時間以上・三分づきで5時間以上)は米穀店の実務値で、公的な実測ではなく、店ごとに幅があります。