塩をつけて握ると傷みにくい?
おにぎり
傷みにくくなるかは、まだ測られていません。手塩の量を変えて日持ちを比べた公開データが無く、持ち歩きで効くのは温度と時間の側です。
言われていること
塩には食品を保存する働きがあるので、手塩をつけて握ったおにぎりは傷みにくい、と家庭向けの記事や弁当の紹介で言われます。塩むすびが昔から持ち歩かれてきたこと、梅干しと並んで保存の知恵として語られてきたことが、その理由として挙げられます。夏の弁当では塩を多めに、という勧め方も見かけます。
測るとどうか
手塩の量を変えて日持ちを測った公開データは見当たりません。食品安全委員会のファクトシートによれば、黄色ブドウ球菌は食塩濃度16〜18%でも増殖し、条件がそろえば10%でもエンテロトキシンを産生します。増殖する温度は5〜47.8℃、毒素ができるのは10〜46℃の範囲です。おにぎり表面の塩は、塩蔵とは濃度の桁が違います。
誰が・何を・どう測ったか
数値の出どころは食品安全委員会のファクトシート「ブドウ球菌食中毒」(令和3年最終更新)で、食品での実験ではなく菌の性質として整理されたものです。同資料は我が国の原因食品の筆頭ににぎりめしを挙げています。手塩の量を変えて、常温で置いたおにぎりの菌数や官能評価を比べた試験は、公的機関にも学会誌にも確認できませんでした。
だからどうする
安全は塩ではなく温度と時間で決まります。粗熱を取ってから包み、涼しい場所に置き、その日のうちに食べる。塩は味を決めるものなので、日持ちを理由に量を増やしません。常温で持ち歩く時間が長い日は、保冷剤を添えて持ち歩きます。気温の高い日は、持ち歩く時間そのものを短くし、握る量も減らします。
まだ分かっていないこと
表面の塩がどれだけ水分活性を下げるのか、そもそも下がるのかが測られていません。梅干しや塩鮭のような具の塩分が、握った米の側へ移るのかも分かっていません。塩の量と、包み方や置く温度のどちらが効くのかを同時に比べた資料も見当たらず、何時間までという目安も、気温による違いも出せません。