とぎ汁が透明になるまで洗う?
洗う・浸す
とぎ汁は、透明になるまで洗うよう求めた基準がありません。
言われていること
「とぎ汁が透き通るまで水を替える」という終点の決め方が、料理書や店頭の案内で語られます。洗うをどこでやめるかを、回数ではなく水の見た目に置き換えた形です。濁りが残っているうちはぬか層が落ちきっていない印という説明が添えられ、何回かかるかは米しだいと書かれることもあります。終点を数えるか、見た目で決めるかの違いです。
測るとどうか
農林水産省が示す洗う方法はたっぷりの水で手早くかき混ぜ、水を3〜4回替えるもので、同省の官能評価の手順はほぼ濁りがなくなるまで3回程度と、終点を濁りで書いています。ぬか層由来の濁度を計測した山下律也ら2004の研究では、精白米を混ぜる時間を1〜10分に振ると濁度は上がり続け、10分でも0にはなりませんでした。回数を重ねるほど米粒が砕ける割合と洗液の固形分が増えます。
誰が・何を・どう測ったか
農林水産省「米の調理特性」の洗米方法の記述と、同省が示す官能評価による判別方法の炊飯手順です。前者は回数で、後者は濁りの消え方で終点を書いています。ぬか層の濁りを数値で追った山下律也ら2004(精米機メーカー・サタケの研究者を含む)は、精白米を15℃の水に入れて撹拌し、濁度計で濁りを測った実験で、味を比べた試験ではありません。濁りの度合いと炊き上がりの味を結んだ食味官能試験も、透明まで続けた場合を比べた資料も見当たりません。
だからどうする
水を3〜4回替えたところでやめます。とぎ汁が白く濁ったままでも構いません。象印の北米法人の動画は、強い濁りが残るときだけ米粒が見える程度まで繰り返す目安を示しています。米粒が砕けたときは回数を1回減らします。無洗米は肌ヌカを工場で取り除いてあるので、無洗米で炊くに切り替えれば、この手順自体が要らなくなります。
まだ分かっていないこと
とぎ汁の濁りはぬか層由来の固形分ですが、濁り方と炊き上がりの味を結んだ測定は見当たりません。何回替えれば吸水の妨げが無くなるのかも、精米時期からの日数や分づき米の削り具合ごとに測られた資料は確認できておらず、水温や水の量の影響も分かっていません。洗いすぎの境目も数字になっていません。
出典
- 論文 山下律也, 前原裕之, 林千晶(2004) 洗米水の濁度測定基準と効果についての検討
- 動画・英語 Zojirushi America Corporation How to Wash Rice