冷やごはんは消化されにくいでんぷんが増える?

体と栄養

実測されているのは、冷えると硬くなるという現象です。冷えたご飯のでんぷんが老化することは測られていますが、それは食感が変わる現象と同じもので、体の話とは分けて扱います。

言われていること

炊いたご飯を冷やすとレジスタントスターチと呼ばれる消化されにくいでんぷんが増えるので、冷やご飯のほうがよい、という説明がテレビや健康関連の記事で語られています。炊いてから冷蔵庫で一晩置くといった手順まで添えられ、残ったご飯を冷蔵庫に入れることを勧める言い方とセットになっています。

測るとどうか

冷えたご飯で起きているのは老化(β化)です。檜作進 1970 の実測では0℃付近で最も速く進み、−10〜−20℃に凍結するとほとんど起こらず、60℃以上でも起こりません。水分では30〜40%が最も老化しやすく、約15%以下では起こりません。冷やして硬くなる現象と、ここで言われている変化は同じものを指しています。

誰が・何を・どう測ったか

数値は檜作進(調理科学 1970)の、でんぷんそのものの老化についての実測で、測っているのは物性であって体の中での消化ではありません。日本の米飯について、冷やす温度と時間ごとにレジスタントスターチの量を測った公開データは、探した範囲では見当たりませんでした。体への影響は、このアプリが数値で扱える範囲の外にあります。

だからどうする

食感の話と体の話を分けて扱う。冷蔵庫の0〜5℃は老化が最も速く進む温度帯なので、残ったご飯は冷蔵庫に入れるの判断はこちらで決まります。残ったご飯は温かいうちに小分けにして冷凍すると、老化はほとんど止まります。冷やご飯を選ぶかどうかは、味と手間で決めて構いません。凍らせれば食感の面でも有利です。

まだ分かっていないこと

冷やしたご飯でレジスタントスターチがどれだけ増えるのか、日本の米飯での測定が見当たりません。温め直したときに元へ戻るのか、どこまで戻るのかも分かっていません。冷蔵庫のごはんが硬いという状態と量の増減が対応しているのかも、品種や炊き方で差が出るのかも示されておらず、測り方も資料によって違います。

解説動画: レジスタントスターチ【意味ない!?】冷やご飯を食べて検証/やさしい内科医 | 山村そうの血糖値実験室【糖尿病予防】

変えるのは温度だけ: 動画は、同じ白米を150gずつ量り、炊きたてのものと、冷蔵庫で冷やしておいたものを、日を分けて同じように食べます。米も量もそろえ、変えるのは温度だけにする、という組み立てです。視聴者から何度も届いていたレジスタントスターチの話を、人から聞いた説明のままにせず自分の体で確かめてみる、という前置きから始まります。

何で読んだ値か: 測るのは腕に付けたセンサーで、読み取りはスマホのアプリで行います。ここで動画は、読んでいるのは血液そのものではなく間質液のグルコース濃度であって、同じ値ではないと先に断ります。そのうえで、よく重なる値なので自分の検証ではこれを使う、と条件を示し、食べる前から10分ごとに、上がって下がりきるまでを読み上げていきます。

2本の記録が重なる: 炊きたては食べる前の101から動き出し、山を越えて戻るまでの上がり幅は118と記録されます。冷やご飯も同じ値から始まり、山が来る時刻がわずかに後ろへずれただけで、2本の記録はほとんど重なりました。ここまで揃うとは思っていなかったと話し手自身が言うところが、この回の山場になっています。

差は微々たるもの: 動画は、冷ますことでレジスタントスターチは増えているのかもしれないと認めたうえで、そこで生まれた差はごくごく微々たるもので、あえて冷やして食べる理由は無いと結びます。冷蔵庫から出したぶんは食べている途中でも硬くなっていたと触れており、同じご飯なら温かくおいしいうちに食べるほうがよい、という言い方に落としています。

一人ぶんの記録: 最後に、これは自分ひとりの一度きりの記録なので、すべての人に当てはまるわけではないと自分で断ります。この項目にとって効いてくるのはそこで、数値として並べられるのは冷えたご飯に起きる老化(β化)までです。台所の側でどちらを選ぶかは、味と手間で決めてよいと読むのが、この動画の使いどころになります。