冷やごはんは消化されにくいでんぷんが増える?
体と栄養
冷やしたご飯で、消化されにくいでんぷんの量が増えた測定はあります。
言われていること
炊いたご飯を冷やすとレジスタントスターチと呼ばれる消化されにくいでんぷんが増えるので、冷やご飯のほうがよい、という説明がテレビや健康関連の記事で語られています。炊いてから冷蔵庫で一晩置くといった手順まで添えられ、残ったご飯を冷蔵庫に入れることを勧める言い方とセットになっています。
測るとどうか
インドネシア大学のチーム(Sonia ら 2015)は、白米のレジスタントスターチを100gあたり、炊きたて0.64g、室温で10時間冷まして1.30g、4℃で24時間置いて温め直して1.65gと測りました。韓国の全南大学などのチーム(Cho ら 2026)は、4℃7日で0.4→4.7%、−18℃21日で2.8%と報告し、電子レンジで温め直すと減るが炊きたての値までは戻らないとしています。
誰が・何を・どう測ったか
どちらも一次研究で、要旨に品種は無く、単位も保存条件も別なので数字は並べられません。老化の速さの温度依存は、檜作進(調理科学 1970)の総説によります。日本の米飯について温度と時間ごとに測った資料は、読めた範囲では見当たりません。体の反応まで測った報告(Sonia らは健康な成人15人)もありますが、体への影響はここでは扱いません。
だからどうする
食感の話と体の話を分けて扱う。冷蔵庫の0〜5℃は老化が最も速く進む温度帯なので、残ったご飯は冷蔵庫に入れるの判断はこちらで決まります。残ったご飯は温かいうちに小分けにして冷凍すると、老化はほとんど止まります。冷やご飯を選ぶかどうかは、味と手間で決めて構いません。凍らせれば食感の面でも有利です。
まだ分かっていないこと
日本の品種ごとの増え方は、読めた範囲では見当たりません。アミロースが中〜高の72系統を測った Liang ら 2023 では、炊いた米も老化させた米も量に大きな幅がありました。冷蔵庫のごはんが硬い状態と量の増減が対応するのかも、家庭の炊き方や保温で変わるのかも、温め直しを繰り返したときの値も、測られていません。
出典
- 論文・英語 Sonia S, Witjaksono F, Ridwan R(Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition)(2015) Effect of cooling of cooked white rice on resistant starch content and glycemic response
- 論文・英語 Cho DH, Ha M, Irawan F, Lee JH, Park J, Chung HJ(Food Research International)(2026) Modulation of starch ordering by cold storage and microwave reheating alters starch digestibility and glycemic response in cooked rice
- 論文・英語 Liang C, Xu H, You H, Zhang O, Han Y, Li Q, Hu Y, Xiang X(Frontiers in Plant Science)(2023) Physicochemical properties and molecular mechanisms of different resistant starch subtypes in rice
- 論文 檜作進(調理科学)(1970) 炊飯とでんぷんの老化
解説動画: レジスタントスターチ【意味ない!?】冷やご飯を食べて検証/やさしい内科医 | 山村そうの血糖値実験室【糖尿病予防】
変えるのは温度だけ: 動画は、同じ白米を150gずつ量り、炊きたてのものと、冷蔵庫で冷やしておいたものを、日を分けて同じように食べます。米も量もそろえ、変えるのは温度だけにする、という組み立てです。視聴者から何度も届いていたレジスタントスターチの話を、人から聞いた説明のままにせず自分の体で確かめてみる、という前置きから始まります。
何で読んだ値か: 測るのは腕に付けたセンサーで、読み取りはスマホのアプリで行います。ここで動画は、読んでいるのは血液そのものではなく間質液のグルコース濃度であって、同じ値ではないと先に断ります。そのうえで、よく重なる値なので自分の検証ではこれを使う、と条件を示し、食べる前から10分ごとに、上がって下がりきるまでを読み上げていきます。
2本の記録が重なる: 炊きたては食べる前の101から動き出し、山を越えて戻るまでの上がり幅は118と記録されます。冷やご飯も同じ値から始まり、山が来る時刻がわずかに後ろへずれただけで、2本の記録はほとんど重なりました。ここまで揃うとは思っていなかったと話し手自身が言うところが、この回の山場になっています。
差は微々たるもの: 動画は、冷ますことでレジスタントスターチは増えているのかもしれないと認めたうえで、そこで生まれた差はごくごく微々たるもので、あえて冷やして食べる理由は無いと結びます。冷蔵庫から出したぶんは食べている途中でも硬くなっていたと触れており、同じご飯なら温かくおいしいうちに食べるほうがよい、という言い方に落としています。
一人ぶんの記録: 最後に、これは自分ひとりの一度きりの記録なので、すべての人に当てはまるわけではないと自分で断ります。この項目にとって効いてくるのはそこで、数値として並べられるのは冷えたご飯に起きる老化(β化)までです。台所の側でどちらを選ぶかは、味と手間で決めてよいと読むのが、この動画の使いどころになります。