米は冷蔵庫の野菜室で保存する?

しまう・温め直す

家庭では、温度だけでなく密閉とにおい移りも条件になります。玄米の低温貯蔵の基準は15℃以下・湿度70〜75%で、温度だけで決まる話ではありません。

言われていること

米袋のまま台所の床に置かず、冷蔵庫の野菜室に移すとよいと、米穀店や家庭向けの記事で広く案内されています。理由に挙げられるのは、低温だと酸化と虫の発生が抑えられること。買う量も1か月で使い切る量にする、という言い方が添えられます。残ったご飯は冷蔵庫に入れるという話と語り口が似ているため、炊く前の米と炊いた後のご飯の保存が、同じものとして語られる場面もあります。

測るとどうか

農林水産省「米の貯蔵中の変化、低温貯蔵効果」は、夏季でも15℃以下・湿度70〜75%に調節した低温倉庫が全国に建設されたと記しています。低温貯蔵には、酵素活性の低下、でんぷんの分解、たんぱく質の変性、脂質の分解を抑える働きがあるとされます。古米臭のもとになるヘキサナールは、その脂質の酸化分解の先にできるものです。温度を下げる方向自体には数値の裏づけがあります。

誰が・何を・どう測ったか

温度と湿度の数値は農林水産省の同じ資料に載る低温倉庫の条件で、玄米を大量に置く倉庫の話です。精米した米を家庭の冷蔵庫に入れる条件として測られたものではありません。家庭向けの温度と湿度の基準は、探した範囲では見当たりませんでした。野菜室と台所の常温を、同じ産年の米で並べて脂肪酸度や食味を測った公開データも確認できていません。

だからどうする

口を閉じられる容器に移してから、温度の上がりにくい場所に置く。袋の口を開けたまま冷蔵庫に入れると、庫内のにおいを吸うので、容器は密閉できるものにします。野菜室が空いていなければ、直射日光とコンロの熱が届かない場所でも条件は近くなります。炊く前の米は米を保存する、炊いた後のご飯は冷凍すると、別の手順に分けて考えます。

まだ分かっていないこと

家庭の冷蔵庫で保存した米と常温で保存した米を、同じ産年・同じ期間で比べた測定は見当たりません。15℃以下は倉庫の基準で、家庭で何℃なら何か月もつかという形には翻訳されていません。米がにおいをどれだけ吸うのかを容器の種類別に測った資料も、開封から何日で風味が変わるのかも確認できていません。

解説動画: 日々むすび お米の保存方法 新潟 お米 直販/新潟お米農家おむすびマン

冷蔵庫が満杯のとき: 動画は、暑くなる時期に冷蔵庫がふさがっていて、送られてきた米の置き場に困るという場面から始まります。話し手はペットボトルに移して冷蔵庫に入れるのが一番よいとしたうえで、それができない家のために、常温のままで傷みを抑える置き方を実演します。前の回で非常時の炊き方を扱った、その続きの回です(米を保存する)。

袋とカイロだけ: 用意するのは口を閉じられる厚手の保存袋と、使い捨てのカイロの二つだけです。袋に米を入れ、そこへカイロを一緒に入れて口を閉じるところまでを、手元を映しながら見せます。動画は2時間置いたものを取り出し、袋がどこまで縮んだかを、手ざわりだけでその場で確かめていきます。

空気を熱に変える: カイロは袋の中の空気と反応して熱を出し、吸い終わると熱が出なくなる。動画はこれを、菓子の袋に入っている脱酸素剤と同じ役割だと説明します。餅つきで使っている脱酸素剤の袋も持ち出して並べ、うまくいくと袋がガチガチに張りつめることを、触った手ごたえのほうで示していきます。

薄い袋では漏れる: ところが自分で仕込んだほうは2時間経ってもまだ柔らかいままで、動画はどこかから空気が漏れているのかもしれないと言います。原因を袋の薄さに置き、厚手のものを使うべきだと言い直します。ホームセンターにはもっと大きな袋があり、留め具で口を挟むタイプでもよい、と代わりの手も添えました。

置き場所は冷暗所: 最後は置き場所で、日の当たるところを避けて冷暗所に置くと結びます。ここまで動画がやっているのは温度を下げることではなく、空気を抜いて口を閉じることでした。冷蔵庫に入れられるかどうかとは別に、密閉できているかどうかが残る、という形で終わっています。冷蔵庫に入るかどうかで決まるのは温度だけだ、という言い方です。