玄米のフィチン酸がミネラルを奪う?

体と栄養

フィチン酸が他の食品のミネラルを奪い去るとは考えにくい、とされています。種子の中で、すでに鉄や亜鉛と結び付いた形で蓄えられているためです。

言われていること

ぬか層に多いフィチン酸が体の中でミネラルと結び付いて外に出してしまうので、玄米を続けると鉄や亜鉛が足りなくなる、という説明が健康関連の記事や書籍で流通しています。玄米を避ける理由として挙げられるほか、炊く前に長く浸けて減らすという対処法とセットで語られることもある、名前だけが独り歩きしがちな成分です。

測るとどうか

日本植物生理学会の専門家回答は、フィチン酸が種子の中で結晶化し、すでに鉄や亜鉛と結合した形で蓄えられていると説明しています。玄米のミネラルは効率よくは吸収されないものの、消化管内で他の食品のミネラルを大量に奪い去るとは考えにくいとしています。浸す・発芽させるとフィターゼが働いて分解が進むことも知られており、うるち米の吸水は約2時間で飽和します。

誰が・何を・どう測ったか

出どころは日本植物生理学会「みんなのひろば」の専門家回答で、n数を持つ比較実験ではなく、成分の存在形態からの整理です。同じ回答は、喧伝される抗ガン作用も確実に実証されたものではないと退けています。摂取量と他の食品のミネラル吸収率を日本人で測った研究は、探した範囲では見当たりませんでした。

だからどうする

玄米を避ける理由にも、逆に勧める理由にも、フィチン酸を使わない。同じ回答が恐怖の側と効能の側の両方を退けています。玄米を選ぶなら玄米を浸す時間を長くとる、という炊き方の話に戻します。浸すのはフィチン酸のためではなく、内側まで水を入れるためです。食事の内容に不安があるときは、自己判断せず医師や管理栄養士に相談してください。

まだ分かっていないこと

日常の食事量で、玄米のフィチン酸が他の食品のミネラル吸収にどれだけ関わるのかは測られていません。浸す時間や水温でフィチン酸がどれだけ減るのかも、家庭の炊き方では確認できていません。玄米は消化が悪いという別の説とも、同じぬか層の話でありながらまだつながっていません。発芽玄米との違いも数値になっていません。

解説動画: 玄米は逆に体に悪い?ミネラル吸収を阻害すると言われる「フィチン酸」/カラダヨロコブ・管理栄養士まるおかずき

質問に答える形で: 動画は、視聴者から届いた「玄米は体に良いと聞くけれど、フィチン酸という成分が良くないとも聞く」という質問に答える形で始まります。フィチン酸にはミネラルを吸着するキレート作用があり、吸着したまま外に出てしまうので、ミネラル分の吸収を邪魔しているのではないかと言われている、と説の側を先に置きます。

白米にすれば、の話: まずフィチン酸は玄米の側にある成分だと確かめたうえで、白米まで精米して炊いてしまえば問題にならない、だったら玄米より白米のほうがよいのではないか——という意見があると紹介します。ただしここで研究はいくつかされているようだが判然としないと言い、どちらが正しいかを先に決めないまま話が進みます。

玄米の中ではフィチン: そのうえで、玄米に入っている時点でフィチン酸ではなく、すでにミネラルと結合したフィチンの形で存在していると述べます。最初から吸着した状態で入っているのだから、それが体に入ってからさらに吸収を邪魔することにはつながらないのではないか、という見方も並べて置いています。

これまでの食べ方から: 話し手自身はそこまで気にしなくてよいと考えると言います。理由は、日本人は昔から玄米や分づき米を食べてきたのに、本当に吸収を邪魔しているならとっくに不足で倒れる人が出ていたはずだから。今の研究だけを見るのではなく、これまで何をしてきてどうなったかを見る、という立場です。

白米まで削らない: 良いのか悪いのかは今のところはっきりしていない、と動画は繰り返します。そのうえで、白米まで削るとビタミンもミネラルも一緒に落ちるので、自分は未精製に近い分づき米を勧めると結びます。はっきり分かっていないものは、これまでの歩みのほうを見るという締めで、フィチン酸を玄米を避ける理由には使わない、という向きになっています。