木のおひつに移すとおいしくなる?

しまう・温め直す

容器だけを替えて水分と食味を比べた公開データは見当たりません。水分を吸う容器という説明はありますが、味がどう変わるかのほうは数値になっていません。

言われていること

木のおひつに移すと余分な水分を吸ってちょうどよくなる、と料理書や木工品の説明で案内されます。炊飯器に入れたままにするより味が落ちない、という言い方も添えられ、おいしさの理由が道具の側に置かれています。杉やさわらといった材の違いまで語られますが、どの説明も味の変化を数値では示していません。道具を替えるだけで味が変わる、という形で語られます。

測るとどうか

よく炊けた米飯の水分は63%前後とされます(檜作進 1970)。木材が湿気を吸ったり放したりする性質は知られていますが、容器だけを替えて比べた公開データは見当たりません。木が吸う量そのものを炊いたご飯で測った数値も出ておらず、おいしくなるかどうかを数値で答えられる段階にありません。木の性質と、ご飯の味の変化は別に測る必要があります。

誰が・何を・どう測ったか

農林水産省の米の調理特性、日本調理科学会誌、米穀関係の資料を探しましたが、おひつ・蓋つきの器・炊飯器の保温を並べ、時間ごとに水分と官能評価をとった試験は確認できませんでした。木の種類や厚みを条件に加えた比較も、家庭で再現できる形の手順も見当たりません。おひつの側の資料は、材と手入れの説明が中心です。水分を測った例は見当たりません。

だからどうする

試すなら、炊き上がってほぐすところまでを同じにして、同じ量を二つに分け、片方だけおひつに移すという形にします。同じ時間の後に器ごと重さを量れば、減った重さが出ていった水分です。器は同じ大きさのものを二つ用意し、量りは1グラム単位のもので足ります。量る回数は、置いた直後と一時間後の二回です。差が出なければ、道具ではなく好みの問題になります。

まだ分かっていないこと

容器が吸う水の量が、水分の均一化が進む蒸らすあいだの変化に比べて大きいのか小さいのかが分かっていません。木の種類・厚み・使ってきた年数で吸う量は変わるはずですが、その関係も測られておらず、何分置くかの目安も公表されていません。材ごとの吸湿の量は木材の資料にありますが、炊いたご飯での測定とはつながっていません。