氷を入れて炊くと甘くなる?
炊く
甘くなるという裏づけはなく、現行の炊飯器では炊き上がりに違いは出ないとされます。内釜の外側が結露してセンサーに影響する、という懸念も炊飯器メーカーは挙げています。
言われていること
「氷を1〜2個入れて炊くと甘くなる」という裏ワザが、暮らしの記事や動画で紹介されます。水温が下がって吸水の時間が延び、30℃前後で酵素が働くから、という説明が水をはかる手順に添えられ、目盛りぶんの水を氷に置き換える形で書かれます。夏に水がぬるい時期の工夫として語られることもあります。
測るとどうか
炊飯器メーカーは現行の機種では炊き上がりに違いは出ないとしています。酵素の説明も数値が合わず、浸漬中の吸水と並行して働く酵素のうち、還元糖の生成に効くのは40〜60℃、α-アミラーゼは50℃で最高、90℃で完全失活です。氷が溶ける間の温度帯は、糊化(α化)が始まる60℃よりずっと低い側にあります。水温を下げること自体は、この温度帯へ近づける操作ではありません。
誰が・何を・どう測ったか
象印マホービンの商品企画担当の見解(氷の有無で違いは出ない・推奨していない)と、農研機構および家政学会誌の還元糖と酵素活性の測定によります。氷が意味を持ったのは温度制御が難しかった時代の話で、氷入りと氷なしを食味官能試験で比べた公開資料は見当たりません。炊き上がり倍率で確かめた例もありません。
だからどうする
氷は入れずに炊きます。内釜の外側が結露してセンサーに影響する懸念も挙げられています。水温を下げる目的なら、氷でなくても済みます。低い水温で吸水させたいなら水温を選ぶか冷蔵庫で浸すで行い、氷を水をはかる水の一部として数えません。甘みを狙うなら、氷より浸す時間のほうが道筋がはっきりしています。
まだ分かっていないこと
温度制御が今より粗かった旧型の炊飯器や鍋で炊く場合に差が出るのかは、公開された比較が見当たりません。旧型と現行機を同じ条件で並べた試験も公表されていません。加熱の立ち上がりを遅らせることが還元糖の量や糊化(α化)をどれだけ変えるのかも、RVA(ラピッド・ビスコ・アナライザー)のような測定で示された例は確認できていません。