おにぎりは強く握らないほうがおいしい?
おにぎり
強く握るかどうかは、ほどけ方と持ち運びの両方で決まります。握る強さは口の中でのほどけ方に関わりますが、持ち歩いて崩れないかという別の条件と同時に決めることになります。
言われていること
米粒をつぶさないよう力を入れずに数回返すだけで握るとふんわり仕上がる、と料理本や専門店の紹介で言われます。握る強さの強さは、口に入れたときのほどけ方を決める要素として語られ、握り方の良し悪しの中心に置かれています。三回だけ返すといった回数の目安が添えられ、握る回数が少ないほどよいとも言われます。
測るとどうか
握る力を数値で変えて食感を比べた公開データは見当たりません。米飯の硬さや粘りを測る装置にはテンシプレッサーがありますが、おにぎりに使った結果は確認できていません。近い話としては、洗米で強くこすると米粒表面が削られ、砕ける割合も増えるという貝沼やす子 ら 1990 の実験があり、それでも食味の総合評価には有意差なしでした。
誰が・何を・どう測ったか
貝沼やす子 ら 1990 の実験は洗米方法(研ぐ/洗う)の比較で、握る力の話ではありません。これを引用した農林水産省の洗う方法もたっぷりの水で手早くかき混ぜ、水を3〜4回替えるで、米粒に力をかけない方向で手順が揃っています。おにぎりの握る力そのものを条件として設定した試験は、公的機関と学会誌を探した範囲では見当たりませんでした。
だからどうする
その場で食べるならふんわり、持ち歩くなら崩れない程度に。決め手は好みではなく用途です。ラップで握ると手のひらの力の伝わり方が変わるので、同じつもりで握ると締まりすぎます。強さを変えた日は、1個だけ握って崩れないかを確かめてから残りに進みます。持ち歩く日は、包んでから一度形を整えます。
まだ分かっていないこと
どれくらいの力で握ると粒がつぶれるのか、その境目が分かっていません。握る力と、三角に握るなどの形のどちらが崩れやすさを決めるのかも測られていません。握った直後と数時間後で、ほどけ方がどう変わるのかも公開された比較がなく、持ち歩いたあとの崩れ方も、握り直したときの戻り方も記録が見当たりません。