迷ったらコシヒカリを買えばよい?

品種と買い方

品種名だけでは、その年の味までは決まりません。品種は食感の傾向を示しますが、粘りと硬さを左右するアミロース含量は登熟期の気温で年ごとに動きます。

言われていること

コシヒカリは店頭でも通販でも基準として扱われ、迷ったらこれを買えば外れないと案内されます。日本穀物検定協会の食味ランキングで比べる相手となる基準の米も、複数産地のコシヒカリをブレンドしたものです。ものさしそのものに使われていることが、品種名がそのまま味の保証として読まれる後押しになっています。産地と品種の組み合わせで選ぶ人には、最初に候補へ入る名前です。

測るとどうか

農研機構は、粘りと硬さを左右するアミロースの含量が登熟期の気温で動くとし、気温が低い年は多く、高い年は少なくなると説明しています。うるち米の含量には17〜23%の幅があり、同じ品種でも作柄年によって、この幅の中で位置が変わります。品種名に固定の数値を貼ることはできません。同じ銘柄を買い続けても、年が替われば中身は同じではありません。

誰が・何を・どう測ったか

農研機構 東北農業研究センターが公表している低アミロース米の解説に、登熟期の気温と含量の関係が示されています。含量そのものはヨウ素比色法によるアミロース定量で測ります。ただし、同じ品種を複数の産年で並べて振れ幅を数値で示した一覧は見当たりません。単年の食味の評価を、その品種の性質として読むことはできません。産地ごとの気温の記録と突き合わせた資料も見当たりません。

だからどうする

品種名は食感の傾向を示す手がかりまでと読み、同じ袋の米で水加減だけを変えて、自分の好みの位置を決めます。前に買ったものと違うと感じたときは、袋の精米時期と産年を見比べます。品種を替える前に、保管の場所と炊き方の条件を先に揃えると、何が効いたのかを切り分けられます。銘柄を替えるのは、二度以上比べてからにします。水加減は一度に大きく変えず、少しずつ動かします。

まだ分かっていないこと

気温で含量が動くことは分かっていますが、その差が食べたときに気づける大きさなのかを、同じ品種・同じ産地の複数の産年で比べた官能試験の公開データは見当たりません。品種名からどこまで粘りを言い当てられるのか、その幅も示されておらず、年ごとの当たり外れを数値で説明できる段階にはありません。買った年と銘柄を控えておく以外に、手がかりがない状態です。