保温にしておけば劣化しない?
しまう・温め直す
止まるのは硬くなる側だけで、黄変とにおいの変化は進みます。70℃程度の保温ででんぷんの老化は抑えられますが、糖とアミノ酸の反応による黄変は別に進むためです。
図: 温度で、ごはんが硬くなるか、火が通るか
老化(β化)=炊いたごはんが冷めて硬くなること、糊化(α化)=生の米に火が通ること。檜作進(1970)と農林水産省によると、老化は0℃付近で最も速く、−10〜−20℃と60℃以上ではほとんど起こらない。糊化は60℃付近から始まり、98℃以上で20〜30分あれば十分とされる。
言われていること
炊飯器の保温にしておけば劣化しない、と言われます。取扱説明書には保温時間の目安が示され、長く保つための機能として案内されるため、保温にしてある間は炊きたてと同じ状態が続くものとして扱われがちです。朝に炊いて夜まで置く、という使い方もここから出てきて、保温にした時点で時間の管理から手が離れます。保温の時間を計っている人は多くありません。
測るとどうか
農林水産省は、炊飯後に飯を70℃程度に保つことででんぷんの老化(β化)を抑制できるとしています。公表されている保温温度は、象印マホービンが高め約73℃・低め約60℃、タイガー魔法瓶の家庭用が72℃です。一方でメイラード反応による黄変は、老化とは別に進みます。止まるのは老化のほうだけです。二つの変化は、別々に進んでいます。温度の数値は各社が公表しています。
誰が・何を・どう測ったか
老化の抑制は農林水産省「米の調理特性」、保温温度は各社が公表している値によります。黄変は糖とアミノ酸の反応によるもので、12時間を超えると目に見えて進むとされますが、これは家電の解説記事による記述です。保温時間ごとに色とにおいを測った試験までは確認できていません。黄変の進み方を時間ごとに追った公的な資料は見当たりません。保温温度も機種ごとに違います。
だからどうする
食べきるまでの時間が読めるなら保温のまま、読めないなら冷凍するへ切り替えます。黄色くなったと感じる前に移すのが目安で、保温する時間を延ばす方向では使いません。老化が止まっていることと、色とにおいが変わらないことは別だと分けて考えます。保温にした時刻を覚えておきます。移すかどうかは、残っている量で決めます。保温を切ったあとは、そのまま置かずに包みます。
まだ分かっていないこと
黄変とにおいの変化に人が気づくまでの時間は、機種、残っている量、蓋を開ける回数で変わるとされ、共通の目安は見当たりません。保温温度の高い・低いが食味にどれだけ現れるのかを比べた公開データも確認できておらず、何時間までなら保温でよいかを数値で言える段階にはありません。保温の温度を選べる機種もありますが、選び方の目安は示されていません。