新米は水を1割減らす?

炊く

新米と古米で水分が大きく違う、という前提のほうが崩れています。米の水分が、年間およそ15〜16%に管理されるようになったためです。

言われていること

新米は水を1割減らして炊き、古米は逆に増やす、と料理本や米穀店の案内が書いています。新米は水分を多く含むから、というのが理由として添えられる説明で、水加減を直す作法として秋になるたび繰り返されます。新米のほうが古米よりおいしいという話とも結びつき、産地のパンフレットにも同じ書き方が見られます。

測るとどうか

農林水産省は、以前は古米に多めに加水していたが、保存技術が進歩して米の水分が年間およそ15〜16%に管理されるようになり、水加減に配慮することも少なくなった、と書いています。つまり新米と古米で水分が大きく違うという前提のほうが変わりました。産年と炊き上がりを結ぶ数値も、減らす量を水は米の重さの何倍か(加水量の重量比)で測った公開データも見当たりません。

誰が・何を・どう測ったか

農林水産省「米の調理特性」および「米の貯蔵中の変化」の記述が根拠です。低温貯蔵の基準は15℃以下・湿度70〜75%とされ、玄米の保管基準では水分15%が示されています。産年をそろえて食味を比べた試験は探した範囲で見つからず、穀粒水分計の実測を並べた資料も、食味官能試験の公開例も確認できていません。

だからどうする

まず通常の水加減で1回炊き、べちゃついたと感じたときだけ次から水加減を直す。減らすなら5%ほどから動かすと、戻すのも簡単です。古米も同じ順序で、水を足す前に米を保存する場所と脂肪酸度が上がる条件のほうを先に見直します。動かすのは一度に一つにしておくと、何が効いたのかが読めます。季節ではなく、目の前の炊き上がりで決めます。

まだ分かっていないこと

収穫からの日数と炊き上がりの硬さの関係は測られていません。産年の違う同じ品種を同条件で炊き分け、テンシプレッサーや食味官能試験で比べた公開データも見当たらず、新米に特有とされる性質が保管のどの段階まで残るのかも確認できていません。吸水の速さが産年で変わるのかも分かっておらず、保管の温度と湿度をそろえた比較も見当たりません。