食味値が高い米はおいしい?

品種と買い方

点数が高いほどおいしい、とは言えません。食味計が推定しているのはアミロースやタンパク質などの量で、人が感じる味を直接測った数字ではありません。

言われていること

食味値80点以上といった数字が通販ページや産地の資料に載り、点数が高いほどおいしい米だと説明されています。近赤外分光の食味計で測った値で、店頭でも比較の材料として示され、産地品種銘柄や等級と並べて置かれることもあります。点数の高さを見出しにした売り文句も見かけ、測った条件が書かれていないこともあります。

測るとどうか

食味計が測っているのは成分であって、味そのものではありません。判定項目はアミロース、米のタンパク質、水分、脂肪酸度(玄米のみ)の4つで、測定値と官能検査を結ぶ較正式から推定値を出します。農林水産省は官能検査のようなヒトが感じる食味を直接的に評価できないと限界を書いています。点数は成分の推定値であって味の順位ではありません。

誰が・何を・どう測ったか

農林水産省「米の食味の理化学評価」を根拠にできるのは、近赤外分光が米を壊さずに成分を測る方法であることと、装置ごとの較正式から出す推定値だという限界までです。判定項目の内訳は食味計を作る各社の仕様によります。機種の違う食味計で同じ試料を測って値がどれだけ揃うのかを比べた公開データは見つからず、食味官能試験やヨウ素比色法によるアミロース定量との突き合わせも確認できていません。

だからどうする

点数は成分がその範囲にあるという情報として受け取り、味の順位には使いません。同じ米を自分の水加減で炊いて比べるほうが手元の答えに近く、食味ランキングも「基準と比べてどうか」という組み立てです。点数の高低からタンパク質が低いほどおいしいへ短絡せず、数字を見比べる前に同じ条件で炊いてから決めます。

まだ分かっていないこと

食味値と、家庭で炊いたときの評価がどれだけ対応するのかは公表されていません。較正式の中身や装置ごとの差も分からず、アミロースや米のタンパク質以外の成分がどこまで味に効いているのかも、近赤外分光の食味計の再現性も整理されていません。同じ試料を複数の機関で測った報告も、点数の算出式も公開されていません。

解説動画: 米・食味分析鑑定コンクール:国際大会2022で上位受賞団体の事務局長(スマート農業家はるきん)が語る米の食味を上げるための方法|#過去動画アップデート|#アグリマネジメントコンソーシアム/スマート農業家-HARUKING-ハルキン

数値と味は別物: 動画は、米の食味を語るときに機械的な数値が大事なのか、食べておいしいかどうかが大事なのかを立て、この2つは全く別物だと言い切ります。数値の上では良いのに食べると大して変わらない米もあれば、数値は大したことがないのに食べるとおいしい米も実際にある、というのが出発点です。

点数の上げ方: 点数のほうは作り方で動かせるとも述べます。水分が高く、タンパク質と脂肪酸が低いほど点数は上がるので、窒素を残さない栽培にし、刈り取りは最後まで登熟させて遅めにし、乾燥はゆっくりかける。タンパク質が低いほどおいしいという言い方についても、窒素を減らせば数値は下がるが、それが一概においしいかというとそうではない、と断ります。

早く刈った米: 食べるほうはどうか。静岡県立大学の研究として、刈り取り日数を40日としたときに10日ほど早く刈った米のほうが、粘りの成分もうま味も甘味も高かったという結果を挙げます。長野の研究所の話も引き、緑の籾が5〜0%まで減ったころ、コシヒカリなら積算気温940〜1040℃が良かったとします。

向きが逆になる: つまり点数を上げる刈り取りは遅め、食べておいしいのは早上がりで、同じ刈り取り時期をめぐって向きが逆になります。青い米が少し混じるくらいがうまい、という昔から農家が言ってきたこととも合うとして、迷信ではなく、研究と照らしても筋が通ると話します。コンクールでは食味計の数値がいちばん効くので、自分の米は賞にすら入らないとも言い添えます。

好みと品種に戻る: 最後は食べる人の好みと品種の特性に戻ります。ミルキークイーンはもっちりして甘みが濃く、ササニシキはあっさりしている。弁当やおにぎりに詰めるなら粘りすぎない米が向くこともあり、その人と、その人の料理に合う米を選ぶことが大事だと述べます。いま大きいと考えているのは香りと舌触りだが、出どころの論文は思い出せないと自分で断ります。