水は米の重さの1.5倍?

炊く

水の量は、米の重さの1.3〜1.5倍という幅で示されています。基準加水量は1.5倍とされる一方、近年の電気炊飯器では1.3〜1.4倍という数字もあります。

図: 加水率の幅と、米の重さから出る水の重さ

農林水産省の基準加水量は米の重さの1.5倍、近年の電気炊飯器は1.3〜1.4倍。檜作進(1970)も約1.5倍としている。表は g で読む値で、合ではなく重さで持つとこの表がそのまま使える。

言われていること

水は米の重さの1.5倍にすれば失敗しない、と料理本や米穀店の案内が書いています。1.8倍という数字を挙げる記事もあり、合ではかるやり方と重さではかるやり方が混ざったまま、倍率だけが独り歩きしています。一合升と台ばかりでは基準がそもそも違うのに、炊飯器の目盛を使う説明と併記されている場合もあります。

測るとどうか

農林水産省は基準加水量を米の重さの1.5倍(容積の1.2倍)としつつ、近年の電気炊飯器では米の重さの1.3〜1.4倍と書いています。檜作進 1970 も約1.5倍で、加えた水のほぼ全量を米が吸うとしています。1.8倍の公的な出どころは見当たりません。水は米の重さの何倍か(加水量の重量比)をそろえて水をはかるなら、幅はこの範囲に収まります。

誰が・何を・どう測ったか

農林水産省「米の調理特性」と檜作進 1970(調理科学)が出どころです。前者は精白米1合150g、一合升の容量180mL、好ましい炊き上がりを米の重さの2.1〜2.3倍としています。炊飯器の機種ごとに内釜の目盛がどの倍率にあたるのかを比べた資料は確認できていません。無洗米は1合160gで、水は米の重さの何倍か(加水量の重量比)を器具ごとに示した公的な値も見当たりません。

だからどうする

1合150gなら水は195〜225mLの幅に入ります。この幅の中で好みを決めるのが水をはかる作業で、倍率そのものを疑うより水は米の重さの何倍か(加水量の重量比)で毎回同じところへ戻せる形にしておくほうが早いです。無洗米で炊くときは1合160gなので同じ倍率でも水は増えます。覚えるのは1合150gの1つで足り、同じ計り方に戻せることが比べる前提になります。

まだ分かっていないこと

1.3〜1.4倍と1.5倍の差が、どの炊飯器のどの工程から生まれるのかは公表されていません。機種ごとの蒸発量を測った公開データも見当たらず、品種やアミロースの違いで適した倍率がどれだけ動くのかも、炊き上がり倍率でそろえた比較も確認できていません。好みの幅がどこまで個人差なのかも、同じ機種での再現性も分かっていません。

解説動画: 大人の家庭科 【ごはん・白米の炊き方】 理屈がわかれば水加減も失敗しない! はじめての鍋炊き炊飯!/きじまごはん 【料理家きじまりゅうた公式チャンネル】

500gから始める: 動画は米を重さではかるところから始めます。今回量ったのは500gで、1合は150gと言われるので3合と少し、炊き上がりで茶碗6〜8杯ぶんにあたる量です。このあと吸った水の量を割合で見るので切りのよい重さにしたと断り、仕組みさえ分かれば鍋でも炊ける、という立て方で進めます。

研ぐのは優しく: 1回目の水はにおいが強いのですぐ捨て、そこから少量の水で洗う作業に入ります。動画は力を入れすぎると米が割れるので、粒どうしが優しく触れ合う程度にすると述べます。白く濁ってきたら水を足してすすぐ、を何度か繰り返し、濁りがかなり薄くなった時点で終わりにして、透明になるまでは続けません。

白くなるまで浸す: 研いだ米は水に浸す。ここを飛ばすと芯が残ったり炊きムラが出ると言い、30分置きます。半透明だった粒が芯まで真っ白になるのが水を吸えた印で、動画は浸ける前と後の米を並べて見せます。かかる時間は夏で15〜30分、冬で30分から1時間というのが通説だ、とも添えます。

吸った水を量る: ここで動画は秤に戻ります。浸ける前に500gだった米が630gになり、自分の重さの26%の水を吸ったと計算して見せます。20〜30%入っていれば吸水は足りているという見方で、白く見えた変化をその場で数字に置き換える手つきです。真っ白は芯まで水が届いた証拠だ、と重ねます。

水は米と同じ重さ: 水加減は、浸した米の水気を切って元の米と同じ重さの水を足す。動画は加える水を米の1.2〜1.3倍と述べ、500gの米に500mLを合わせて炊き、蒸らして仕上げます。食べたあとで自分ならもう少し硬めに450mLでもよかったと言い添え、水をはかる数字が好みの幅を含むことを示して結びます。