ラップより素手で握るほうがおいしい?
おにぎり
手とラップで握り方を揃えて比べた公開データは見当たりません。味の側は測られておらず、素手で握るなら手洗いという衛生の条件が別に付きます。
言われていること
手の常在菌や手のぬくもりでうまみが出るので、素手で握ったおにぎりはラップで握るより味がよい、という説明が飲食店の紹介やテレビで語られています。塩の当たり方が変わる、握る力が指先で読めるといった言い方が添えられ、専門店では素手で握る所作そのものを売りとして見せることもあり、味の理由として紹介されています。
測るとどうか
握り方だけを変えて味を比べた公開データは見当たりません。米の味を比べる枠組みには、日本穀物検定協会が専門の評価員20名で基準米と比べる食味官能試験や、差が分かるかどうかだけを見る三点識別試験法がありますが、握り方についてこの形で行われた試験は、公的機関にも学会誌にも確認できていません。
誰が・何を・どう測ったか
農林水産省・自治体・学会誌の公開資料を探した範囲での話です。衛生の側には資料があり、東京都は家庭の食中毒事例として「にぎりめしによる黄色ブドウ球菌食中毒」を挙げ、手指の洗浄と、ラップや使い捨て手袋で直接触れない工夫を案内しています。食品安全委員会も、産生された毒素は通常の加熱調理では活性を失わないとしています。
だからどうする
味の側に選ぶ材料が無いので、衛生の条件で決めるのが実際的です。素手で握るなら石けんで手を洗い、手に傷があるときはラップか使い捨て手袋を使う。手水と手塩は素手のときの手順なので、ラップで握るなら塩は米に混ぜるか表面にふり、水は使いません。味の違いが気になるなら、同じご飯で両方作って食べ比べます。
まだ分かっていないこと
手とラップで、米の温度・握る回数・かける力を揃えて比べた試験がありません。手のぬくもりが表面の水分をどう変えるのかも測られていません。常在菌でうまみが出るという説明にいたっては、どの菌が何を作るのかを示した資料が見当たらず、握ってから食べるまでの時間で差が出るのかも分かっていません。