ラップより素手で握るほうがおいしい?
おにぎり
おにぎりは、素手とラップの味を比べた公開データが見当たりません。
言われていること
手の常在菌や手のぬくもりでうまみが出るので、素手で握ったおにぎりはラップで握るより味がよい、と飲食店の紹介やテレビで語られています。塩の当たり方が変わる、握る力が指先で読めるという言い方も添えられます。個人の動画配信では、測った数字は示さずに、知人から聞いた話として、母親の手の常在菌が時間とともに甘みを増すと紹介されています。
測るとどうか
握り方だけを変えて味を比べた公開データは見当たりません。米の味の比べ方には、日本穀物検定協会の食味官能試験のように、専門の評価員20名が基準米と比べる方法があります。吉田恵子 ら 2004(学会の発表要旨)はコンビニ6店の梅おにぎりと自家製を学生(人数の記載なし)が食べ比べ、自家製が好まれたと報告しますが、比べたのは握り方でなく市販か自家製かです。
誰が・何を・どう測ったか
自治体・学会誌を探した範囲での話です。東京都は、前夜に握って朝まで台所に置いたにぎりめしで家族5名中3名が発症した事例を、調理者の手などからの汚染と高温が原因と考えられたと載せ、手袋やラップで直接触れない握り方を案内しています。大阪府は、健康な人でも鼻や咽頭に保菌し、毒素は通常の加熱調理では分解できないと説明しています。
だからどうする
味の側に選ぶ材料が無いので、衛生の条件で決めるのが実際的です。素手で握るなら石けんで手を洗い、手に傷があるときはラップか使い捨て手袋を使う。手水と手塩は素手のときの手順なので、ラップで握るなら塩は米に混ぜるか表面にふり、水は使いません。どちらで握っても、握ったあとを常温に長く置かない。味の違いが気になるなら、同じご飯で両方作って食べ比べます。
まだ分かっていないこと
手とラップで、米の温度・握る回数・かける力を揃えて比べた試験がありません。手のぬくもりが表面の水分をどう変えるのかも測られていません。常在菌でうまみが出るという説明は、どの菌が何を作るのかを示した資料が見当たりません。衛生の側でも、ラップで握ると菌がほとんど付かなかったという生協(エフコープ)の検査センターの実験記事はあっても、本文に菌数の数字はありません。
出典
- 公的機関 東京都保健医療局 こうしておこった食中毒【家庭編】① にぎりめしによる黄色ブドウ球菌食中毒
- 公的機関 大阪府 ブドウ球菌による食中毒を防ごう!
- 資料 日本穀物検定協会 食味試験
- 論文 吉田恵子・熊田薫・吉羽美稔子・伊部さちえ(日本調理科学会大会 研究発表要旨)(2004) 市販おにぎりと自家製おにぎりの相違について
- 資料 エフコープ商品検査センター「りんご館」(生協)(2019) おいしいおにぎりを食べるために(りんご館実験室)
- 動画 パッション若菜のパッションチャンネル 【番外編】Facebookおにぎりリレー【なぜ素手で握るといいことあるのか】