最初の水は10秒以内に捨てる?
洗う・浸す
一杯目を何秒で捨てるかを変えて味を比べた公開データは見当たりません。吸水が最初の30分で速く進むことは実測されていますが、秒数の作法そのものは測られていない段階です。
言われていること
米穀店の案内や料理番組で「一杯目の水は乾いた米が一気に吸うので、10秒以内に捨てないとぬかの匂いごと吸い込む」と語られます。最初の水を捨てるという動作が洗うより前に置かれた独立の作法として扱われ、ここで手間取ると最後まで匂いが残るという言い方が続きます。料理書によっては、秒数ではなく「入れたらすぐ流す」とだけ書かれています。
測るとどうか
吸水が初期ほど速いこと自体は実測があり、20℃の水では2時間で米の重さの20〜30%、そのうち約65%が最初の30分で進みます。ただし、一杯目を何秒で捨てるかを変えて炊き上がりを比べた公開データは見当たりません。ぬか層の匂い成分がどれだけ水と一緒に米へ入るのかを測った例もなく、速いほうがよいという方向だけが残っています。
誰が・何を・どう測ったか
吸水の数値は檜作進 1970 の実測と農林水産省「米の調理特性」によります。秒数の作法そのものは、農林水産省と日本穀物検定協会の資料、調理科学の学会誌のいずれにも三点識別試験法のような比較が見当たりません。浸漬吸水率の測定も分単位で行われており、米穀店の経験則として広く共有されている段階にとどまります。
だからどうする
水を注いだら数回混ぜて、そのまま流すまでで十分で、時間を計る必要はありません。匂いの元は水を切る速さより、落としきれずに残った量で決まります。器を大きめにして水を多く張ると、1回で流れる量が増えます。それでも炊いたごはんがにおうときは、一杯目の速さではなく洗うの回数と水の量を見直し、ぬか層がどこまで落ちているかで判断します。
まだ分かっていないこと
ぬか層に多いリン・カリウム・マグネシウムなどの無機質が糊化(α化)を抑え老化(β化)を促すという実験はありますが、一杯目の滞在時間と匂い成分の移り方を結んだ測定は見当たりません。何秒までなら差が出ないのか、無洗米や分づき米でも同じことが言えるのかも分かっていません。測られているのは吸水の量までで、匂いの側は数字になっていません。