米は一晩水につけておくとよい?
洗う・浸す
水を吸う量は2時間でほぼ頭打ちになります。そこから先に増える量はわずかで、夏場の常温放置は細菌が増える条件になると指摘されています。
言われていること
「前の晩から浸すと芯が残らない」という言い方が、料理書や暮らしの記事で語られます。芯が残ったときの手当てとして、また玄米を浸すときの目安として紹介され、長くつけるほど水を含んでやわらかく炊き上がるという前提が置かれています。置き場所が台所か冷蔵庫かは、書かれていないことが多くあります。
測るとどうか
吸水は約2時間で飽和し、そこから先に増える量はわずかです。一方で夏場の常温放置は、水に溶け出た糖質やアミノ酸を餌にした浸漬中の細菌増殖が起こる条件になると指摘されています。やわらかく炊き上がるかどうかは水の量と加熱で決まり、浸ける時間を延ばした先には残っていません。効果が頭打ちになる側と衛生の側が、同時に立つ説です。
誰が・何を・どう測ったか
吸水の飽和は檜作進 1970 の浸漬吸水率の測定と農林水産省の記述、衛生の指摘は新潟大学 大坪研一 監修の質疑応答集によります。後者は種類によっては芽胞や耐熱性の毒素が残る可能性は皆無ではないという書き方で、何時間からという線は引いていません。冷蔵庫での浸漬を同じ形で比べた試験も見当たりません。
だからどうする
長く置くなら冷蔵庫に入れます。冷蔵庫で浸すなら水温が低いぶん、吸水も細菌の増え方もゆっくり進みます。夏場に内釜へ入れたまま常温で放置しない。朝まで置くなら、前の晩に洗って冷蔵庫へ入れておきます。芯が残ったときは、時間を延ばすより水温を選ぶで調整するほうが早く済みます。水は、米が隠れる量で足ります。
まだ分かっていないこと
何時間・何℃から浸漬中の細菌増殖が問題になるのか、家庭向けの数値は示されていません。冷蔵庫で一晩置いた米を食味官能試験で比べた資料も見当たらず、長く浸けたこととべちゃついたとの関係も測られていません。玄米を浸す場合にどこまで延ばしてよいのかも分かっていません。冷蔵庫の中でも何日まで置けるのかは示されていません。
解説動画: 米の浸水時間によって味は変わるのか。一番美味しい浸水時間は○○分でした。ベストの時間を検証します。/COCOCOROチャンネル
条件をそろえる: 前の回の研ぎ方の実験に研ぐ時間が違えば水に浸る時間も変わると指摘が来たことを受け、動画は浸す時間だけを動かす回だと切り出します。米は150gずつ、注ぐ水の量も混ぜる回数もそろえ、吸ったあとで360gになるよう水を足してから、4つを同時に火にかける形にしています。
0分と12時間: 比べたのは0分・15分・1時間・12時間の4つで、12時間ぶんは前の晩に店じまいをしたときに仕込んだものです。袋のまま並べると12時間のものはふくらんで白く、1時間は締まって見え、15分は透明感が残っている。火にかける前から見た目に差が出ていることを、動画は先に映します。
伏せて食べる: どれがどれか分からないように器を4つに分け、違いが素人にも分かるかどうかを見る形にします。食べた側は硬い、よく粘る、甘みが強い、と言葉にしながら並べていき、4つを取り違えないくらいの差はその場で出ました。どれを良いと感じるかは人によって割れ、動画も一つに決めていません。
12時間の側: 12時間置いたものについて、動画はとてもよく粘ると言い、そこから長く置くほど良いとは限らないという受け取りに変わります。そのうえで、置いているあいだに米の側が変わった可能性や、水の温度でも結果は動くはずという点を自分で条件に足し、次に試すこととして残しました。
15分に落ち着く: 話し手は15分がいちばん好みだと言い、浸けていない0分のご飯についても、粒が立っていて良い米に見えると評します。すすめているのは0分と一晩を自分で比べることで、そこなら差が読めるはずだと結びます。長く浸けるほど良いという前提は出てこず、増える量が頭打ちになる話(浸水は2時間で吸水が止まる)とも向きは同じです。