残ったご飯は冷蔵庫に入れる?

しまう・温め直す

冷蔵庫に入れると、ご飯は硬くなる速さが大きい温度帯に置くことになります。

図: 温度で、ごはんが硬くなるか、火が通るか

老化(β化)=炊いたごはんが冷めて硬くなること、糊化(α化)=生の米に火が通ること。檜作進(1970)と農林水産省によると、老化は0℃付近で最も速く、−10〜−20℃と60℃以上ではほとんど起こらない。糊化は60℃付近から始まり、98℃以上で20〜30分あれば十分とされる。

言われていること

残ったご飯は冷蔵庫に入れる、と家庭向けの記事や保存容器の説明で案内されます。傷みにくくするために冷やすという理由づけが添えられ、翌日そのまま温め直す前提で、置き場所として勧められています。炊飯器の中に置いておくよりは良い、という比べ方で語られることもあり、一晩置く先として最初に挙がる場所になっています。保存容器の売り文句も、この前提に合わせて書かれています。

測るとどうか

檜作進 1970 は総説で、老化は0〜4℃付近で最も速いといわれ、−10〜−20℃ではほとんど起こらないと述べます。冷蔵庫で宵越ししたご飯は老化がかなり進むとし、老化の進みを避けるには60℃以上で保存すればよいとしています。Cho ら 2026 は、炊きたての白米の相対結晶化度が12.1%で、4℃7日後は17.2%、−18℃21日後は13.9%だったと報告しています。

誰が・何を・どう測ったか

檜作進 1970 は調理科学の総説で、水分は30〜40%が最も老化しやすいと書き、著者らが種々のでんぷんで調べた温度の結果も引いています。鈴木一成 1989(東京ガス技術研究所)は、新潟産コシヒカリの飯15〜20gをびんに密封し、+5・0・−5・−20℃で酵素法により糊化率を追いました。要旨に官能試験の記載はありません。Cho ら 2026 は、炊いた白米を4℃1〜7日・−18℃3〜21日で保存して比べています。

だからどうする

食べきれない量は冷蔵庫に入れるのではなく、冷凍するへ切り替えます。数時間のうちに食べるなら保温するままにします。冷蔵庫のごはんが硬いと感じたときに直すのは温め方ではなく置き場所で、冷やす目的が保存なら、冷凍が同じ目的をかなえます。冷蔵庫に入れるなら、農林水産省は小分けにして速やかに、英国の NHS は1時間以内に冷やして24時間以内に食べるよう案内しています。炊く量を食べきれる量に寄せる手もあります。

まだ分かっていないこと

保温(60℃以上)と冷蔵を、食味で並べて比べた公開データは見当たりません。鈴木一成 1989 の指標は糊化率、Cho ら 2026 は結晶化度で、人が食べて比べた結果は要旨にありません。何時間で硬いと気づくのか、容器の形や量、冷えるまでの速さの違いも測られていません。冷やしてから凍らせた場合との比較もありません。60℃以上という目安も、食味ではなく老化の測定から出ています。

出典

  1. 論文 檜作進(調理科学)(1970) 炊飯とでんぷんの老化
  2. 論文 鈴木一成(日本家政学会誌)(1989) 米飯の老化に及ぼす保存温度の影響
  3. 論文・英語 Cho DH, Ha M, Irawan F, Lee JH, Park J, Chung HJ(Food Research International)(2026) Modulation of starch ordering by cold storage and microwave reheating alters starch digestibility and glycemic response in cooked rice
  4. 公的機関 農林水産省 セレウス菌(細菌)
  5. 公的機関・英語 NHS(英国) Starchy foods and carbohydrates