見分け図鑑

カビ(青・黒・赤・緑)(カビ)

カビ(青・黒・赤・緑)は、塩分が高く量の大きい食品なら周囲ごと取り除けますが、水分の多い食品は全体を捨てます。ふわふわと立体的に毛羽立ち、青・緑・黒・赤・オレンジといった色を持ちます。産膜酵母のなめらかな白い膜とは、見た目がはっきり違います。糠床の縁、味噌の表面、パン種の縁に出やすいところです。

味噌の表面のカビ(カビ)

味噌の表面のカビは、周囲を数cm大きくすくって捨てれば、下の味噌は続けて使えます。仕込んだ味噌の表面、とくに容器の縁や空気に触れている部分に出ます。白い産膜酵母は混ぜ込めますが、青・黒・緑と色づき、モコモコと立体的に毛羽立ったものはカビです。味噌屋の四代目(のだみそチャンネル)は…

糠床の縁のカビ(カビ)

糠床の縁のカビは、空気に触れ続ける場所に出るので、その部分をこそげ取れば床全体は続けられます。容器の内側の壁、糠が薄く付いて乾いたところに出ます。床の中ではなく「縁」に出るのが特徴で、これはそこだけ空気に触れ続けているからです。イリノイ大学の Extension は…

黒い点・黒ずみ(カビ)

黒い点・黒ずみは、毛羽立っていればカビ、平らなら酸化や鉄との反応で、光を当てて確かめれば見分けられます。3つの可能性があります。毛羽立った立体的な黒はカビ。味噌や糠床の表面が平らに黒ずんでいるだけなら、空気に触れて糖とアミノ酸が反応し、メラノイジンという褐色の物質ができる褐変で、色が濃いだけです。…

赤・ピンクのぬめり(カビ)

赤・ピンクのぬめりは、乳酸菌ではなく水回りの細菌が増えた状態なので、仕込みごと作り直します。糠床の表面や漬け汁、容器の縁に、ピンクや赤のぬるっとした膜が出る状態です。カビのような毛羽立ちがなく、ぬめりと光沢を持つのが特徴。浴室の排水口に出るピンク汚れと同じ見た目です。…

白い膜(産膜酵母)(産膜・におい)

白い膜(産膜酵母)は無害な酵母なので、薄いうちはそのまま混ぜ込んで構いません。糠床や漬物、味噌の表面に張る、白くて薄い膜です。面としてなめらかに広がり、しわが寄ったように見えることもあります。ふわふわと毛羽立っていたらカビなので、そこが見分けの分かれ目です。

シンナーのような匂い(産膜・におい)

シンナーのような匂いは、酵母が増えすぎてアルコールとエステル類を作りすぎているだけで、多くは危険な状態ではありません。接着剤、除光液、セメダインのような刺激的な匂いです。糠床、パン種(サワードウ)、甘酒の失敗でよく出ます。匂いのもとは…

糠床の異臭(靴下・アンモニア)(産膜・におい)

糠床の異臭(靴下・アンモニア)は、靴下臭なら酪酸菌の増えすぎ、アンモニア臭ならたんぱく質の分解しすぎが原因です。靴下や足のような匂いは酪酸菌の増えすぎ(底の無酸素部分で増えます)。酪酸菌の仲間(Clostridium属など)は酸素が全く無い環境でしか増えない偏性嫌気性菌で、たんぱく質を分解してアンモニアも作ります。…

腐敗のにおい(酸味との違い)(産膜・におい)

腐敗のにおい(酸味との違い)は、発酵の匂いから外れた不快な匂いのことで、出た仕込みは廃棄します。健全な酸味とは別に、腐った野菜や傷んだ乳製品のような匂いが出たら腐敗側です。バージニア工科大学の資料は、発酵キュウリがレシピどおりでも、保存中に酸が減って乳酸が消え…

納豆のようなにおい(納豆菌の混入)(産膜・におい)

納豆のようなにおい(納豆菌の混入)は、納豆を扱った手や器具から強い菌が入り込んだ状態で、匂いの強さで対処が変わります。糠床、パン種、甘酒、味噌から納豆のような匂いがして、少し糸を引く。納豆を扱った手や器具、同じ台所に置いた容器から納豆菌(枯草菌の一種)が入り込んだ状態です。ただし…

酸っぱくなりすぎた(過発酵)

酸っぱくなりすぎたは、失敗ではなく発酵が行きすぎただけなので、用途を変えれば使い切れます。想定より強い酸味。糠漬けが刺すように酸っぱい、ヨーグルトがホエイと大きく分離している、キムチが酸味主体になっている、といった状態です。キムチの熟成指示薬を作った研究(Oun ら 2023)は…

容器がふくらむ・ガスが出る(過発酵)

容器がふくらむ・ガスが出るは、酸や塩で守られた仕込みならふつうの発酵ですが、密閉した油漬けなどでは危険なサインです。キムチ、ピクルス、パン種、コンブチャでガスが出るのは、酵母や乳酸菌が働いている証拠です。ふたを開けるとプシュッと音がし、酸味のある匂いがします。一方…

吹きこぼれる・あふれる(過発酵)

吹きこぼれる・あふれるは、ガスと水分に押し出されているだけで、中身そのものに問題があることはほとんどありません。パン種が容器から溢れる、キムチの汁が押し出される、糠床から水が上がって縁を越える。発酵で出たガスと、上がってきた水分に押し出されている状態です。発酵中はガスが出続けるため…

たまり(味噌の上に出る液)(過発酵)

たまり(味噌の上に出る液)は、うま味と塩分が濃縮された液体なので、取り分けて調味料に使えます。仕込んだ味噌の表面や、重石の周りに濃い茶色の液が溜まる。これが「たまり」で、大豆から出たうま味と塩分が濃縮された液体です。異常ではなく、発酵が順調に進んでいる証拠で、醤油の原型でもあります。…

漬物がシュワシュワする・発泡する(過発酵)

漬物がシュワシュワする・発泡するは、乳酸菌や酵母が糖を分解して出す二酸化炭素で、酸味を伴えば発酵が進んだだけです。白菜漬け、キムチ、ピクルスを口に入れると舌の上で細かい泡がはじける。汁に細かい気泡が立ち、ふたを開けると音がします。乳酸菌や酵母が糖を分解して二酸化炭素を出している状態です。乳酸菌にも種類があり…

発酵が進まない・ふくらまない(発酵不足)

発酵が進まない・ふくらまないは、菌が死んだか温度が低いか餌が無いかのどれかで、酸が出ていない間は安全とみなしません。パン生地がふくらまない、甘酒が甘くならない、ヨーグルトが固まらない、糠床が何日経っても酸味が出ない。「何も起きない」という形の失敗です。ただ、野菜の発酵は温度で日数が大きく変わります。…

水が上がらない(発酵不足)

水が上がらないは、材料が液に沈まず空気に触れ続けている状態で、カビにとって最も好都合な環境です。白菜漬け、梅干し、ぬか漬けで、数日たっても材料が水に沈まない。上のほうが乾いて空気に触れたままになっています。バージニア工科大学の Extension は、塩が野菜から水分と糖を引き出し…

甘酒が甘くならない(発酵不足)

甘酒が甘くならないは、たいてい保温の温度が高すぎたか低すぎたかが原因で、味の問題であって安全性の問題ではありません。麹と米(またはお粥)を保温したのに、数時間たっても甘みが出ない。あるいは甘みが薄いまま止まっている状態です。甘みの正体は、麹の酵素(アミラーゼ)が米のでんぷんを分解して出るブドウ糖です。…

ヨーグルトが固まらない(発酵不足)

ヨーグルトが固まらないは、酸がまだ十分に出ていない状態なので、種と温度を確かめて仕込み直します。規定の時間を保温しても、牛乳がゆるいまま固まらない。表面がうっすら固まっただけ、混ぜるとすぐ崩れる、という状態も含みます。ユタ州立大学の Extension は固まった目安をpH4.6以下、保温を4〜8時間と書き…

パン種が浮かない・ふくらまない(発酵不足)

パン種が浮かない・ふくらまないは、種が死んだのではなく活動が鈍っているだけのことが多いです。自家製のパン種(サワードウ)が、かけ継ぎしても体積が増えず、水に落とすと沈む。表面に気泡が立たず、匂いも弱い状態です。Grant Bakes(YouTube)は、作り始めの種が一度も倍になっていないなら…

白い粉・白い粒(チロシン)(変色・分離)

白い粉・白い粒(チロシン)は、カビではなくアミノ酸の結晶で、体に害はありません。熟成した味噌や長期熟成のチーズに出る白い粉状、または砂のような小さな粒。横浜市の衛生研究所は、苦情のあった味噌の「カビのように見える」白い粉を赤外分光で調べ、チロシンの結晶と確認しました。長崎県工業技術センターの報告(1991年)は…

ホエイ(透明な水)が分離した(変色・分離)

ホエイ(透明な水)が分離したは、たんぱく質が酸で固まる際に押し出された水分なので、捨てずに使えます。自家製ヨーグルトの表面に黄色みがかった透明な液が浮く。水切りヨーグルトを作ったときに落ちるのと同じもので、たんぱく質が酸で固まったときに押し出された水分(乳清)です。乳製品の研究では…

味噌の色が濃くなった(変色・分離)

味噌の色が濃くなったは、アミノ酸と糖が反応するメイラード反応が進んだ結果で、無害な変化です。仕込んだときは薄い黄土色だったのに、数ヶ月で赤茶〜こげ茶に変わっていく。表面のほうがとくに濃くなります。

漬物が青紫・緑に変色した(変色・分離)

漬物が青紫・緑に変色したは、色素の反応であることが多く、毛羽立ちやぬめりが無ければ食べられます。なすの漬物が茶色くなる、赤かぶの色が抜ける、ぬか漬けの大根やかぶが青く(青緑に)なる。大根内部の青変は「青変症」と呼ばれ、漬物づくりの現場で古くから知られてきた現象です。ムラのある面としての変色で…

水が上がりすぎた(変色・分離)

水が上がりすぎたは、野菜から出た水分で塩分濃度が薄まっている状態で、足し糠や塩で濃度を戻せます。水が上がりすぎたとは、野菜から出た水で塩分濃度が薄まった状態です。糠床はゆるくなって手に付き、漬物は材料が液に浮いて、味が水っぽくぼやけます。塩は野菜から水分と糖を引き出すために入れるもので…

ボツリヌス菌(最も注意すべき相手)(危険なサイン)

発酵食品でもボツリヌス菌は、密閉して酸素が少ない状態で増え、強い毒素を作ることがあります。毒素は見ても、嗅いでも、味わっても分からないので、見た目や匂いが普通でも安心はできません。加熱しても安全とは限りません。1歳未満の乳児には、はちみつを絶対に与えないでください。膨らんだ容器や異臭があれば…

ヒスタミン(加熱しても消えない)(危険なサイン)

ヒスタミン(加熱しても消えない)は、常温放置で細菌の酵素が作る物質で、加熱しても冷凍しても分解されません。赤身魚(マグロ、カツオ、サバ、イワシ、ブリ)を常温に置くと、魚に付いた細菌の酵素(ヒスチジン脱炭酸酵素)が、身に多いヒスチジンというアミノ酸をヒスタミンに変えます。同じ反応は…

糸を引く・ぬめる(納豆以外で)(危険なサイン)

糸を引く・ぬめる(納豆以外で)は、熱に強い芽胞を作る菌が原因なので、パンも漬物も同じ場所で保管していたものごと廃棄します。パンの中身がねばついて糸を引き、甘ったるい異臭がする(ロープ現象と呼ばれます)。原因は熱に強い芽胞を作る菌の仲間で、ブラジルの大学のチームが小麦粉100点を調べた研究では…

虫がわいた(危険なサイン)

虫がわいたは、どこから入ったかで対処が変わり、床の中までいるなら作り直します。糠床や粉ものに白い小さな粉のような虫(コナダニ)が動いている、容器のまわりに小さなハエ(ショウジョウバエ)が集まる、あるいは糠の中に幼虫がいる。ショウジョウバエの仲間は、傷んだ果物や発酵中の果物に引き寄せられると…

口に入れてしびれる・刺す(危険なサイン)

口に入れてしびれる・刺すは、ヒスタミンなど複数の原因が考えられるので、その場で飲み込まず出します。口に入れた瞬間に舌がピリピリする、しびれる、刺すような刺激がある。酸味による「酸っぱい」とは違う、感覚そのものへの刺激です。消費者庁はヒスタミン食中毒の症状に「唇や舌先の、いつもと違うピリピリした刺激」を挙げ…