ヒスタミン(加熱しても消えない)
危険なサイン
判定: 捨てる
ヒスタミン(加熱しても消えない)は、常温放置で細菌の酵素が作る物質で、加熱しても冷凍しても分解されません。
見分け方
赤身魚(マグロ、カツオ、サバ、イワシ、ブリ)を常温に置くと、魚に付いた細菌の酵素(ヒスチジン脱炭酸酵素)が、身に多いヒスチジンというアミノ酸をヒスタミンに変えます。同じ反応は、ヒスチジンを含む発酵食品でも起こり得ます。見た目はほとんど変わりませんが、口に入れたときに舌がしびれる、ピリピリするという感覚が出ることがあります。
危険・注意
一度できたヒスタミンは、加熱しても冷凍しても分解されません。食べると顔の紅潮、じんましん、頭痛、吐き気といったアレルギーに似た症状が出ます(ヒスタミン食中毒)。干物や発酵させた魚醤の製造過程でも起こりうる問題です。2024年のレビュー論文は、味噌で最大221mg/kg、醤油で最大398.8mg/kg、キムチで最大947.3mg/kg(目安の9.5倍)のヒスタミンを市販品で検出したと報告しています。
どうする
予防しかありません。赤身魚は常温に置かず、購入後すぐ冷蔵・冷凍する。「解凍してから常温で放置」が最も危険な流れです。冷蔵しなければ6〜12時間ほどで危険な濃度に達すると米国FDAは示しています。食べたときに舌がしびれたら、そこで食べるのをやめてください。症状が出た場合は医療機関へ——抗ヒスタミン薬が効果的とされています。
出典
- 論文・英語 Saha Turna N, Chung R, McIntyre L(2024) A review of biogenic amines in fermented foods: Occurrence and health effects
- 公的機関・英語 U.S. Food and Drug Administration(2017) Scombrotoxin Poisoning and Decomposition
- 公的機関 消費者庁 ヒスタミン食中毒
解説動画: 保育園の給食のサバで起きたヒスタミン食中毒と防ぎ方/カンテレNEWS
保育園で起きた事例: 奈良市の4つの保育園などで、給食のサバの塩焼きによる食中毒が起き、43人の園児に口の周りや背中、腹部の発疹が出た(全員軽症で回復)。調理する前の生のサバから、症状が出る濃度のヒスタミンがすでに検出された。調査では室温に長く放置された状況は確認できず、どこで発生したのかは特定できなかったという。
どんな食べ物で起きるか: サバ・カツオ・マグロといった赤身魚とその加工品が代表だが、チーズやヨーグルトなどの発酵食品、なすやほうれん草といった野菜でも起こりうるという。魚を原料にするうどん出汁のパックに含まれていた事例も紹介している。同じものを食べても症状が出るのは2〜3割程度で、体格や代謝能力による差があるとも話している。
加熱しても消えない: いったんできたヒスタミンは熱に強く、加熱しても減らない。加熱すれば新しく作られるのは止まるが、すでに蓄積した分は分解されないと専門家が説明している。エラや内臓にはヒスタミンを作る細菌が多いので早めに取り除き、そのあとは速やかに冷蔵庫へ。気温が高い時期は特に注意が要る(湿度より温度が要点)としている。
気づき方と受診: 症状は蕁麻疹・頭痛・発熱で、多くは6〜10時間で回復する。2〜5歳の子どもに多いが、頻度は少ないものの大人も発症する。舌先にピリピリした刺激を感じたり、少しでも味がおかしいと思ったら、食べずに処分する。アレルギーと間違えやすく、思い込みで魚を避け続けてしまう例があるため、薬で症状は軽くなることも含めて、受診してきちんと診断を受けるよう勧めている。