糸を引く・ぬめる(納豆以外で)

危険なサイン

判定: 捨てる

糸を引く・ぬめる(納豆以外で)は、熱に強い芽胞を作る菌が原因なので、パンも漬物も同じ場所で保管していたものごと廃棄します。

見分け方

パンの中身がねばついて糸を引き、甘ったるい異臭がする(ロープ現象と呼ばれます)。原因は熱に強い芽胞を作る菌の仲間で、ブラジルの大学のチームが小麦粉100点を調べた研究では、全粒粉から1gあたり平均1000個規模の耐熱性の芽胞が見つかり、分離した327株のうち45株がデンプン分解酵素(アミラーゼ)を作って実際にパンをロープ状にする力を持っていました(そのうちBacillus licheniformisが6割強)。この酵素が生地のデンプンを糖に変え、ねばつきと甘ったるい匂いを生みます。漬物の汁や煮豆がぬるぬるして糸のように伸びる場合も、同じ仲間の菌の仕業と考えられます。納豆以外でこの状態になったら、狙っていない菌が優位になっています。

危険・注意

芽胞を作る菌が原因なので、焼き直しや加熱では解決しません。2025年に米国オハイオ州の公衆衛生当局がまとめた報告では、複数拠点の職場に配られたケーキが同じ仲間の菌(Bacillus velezensis)で汚染されており、食べた人は食べなかった人より発症のリスクが9倍以上高く、症状は摂取から30分〜4時間半ほどで出たとされています。糠床やパン種に納豆菌が入った場合と見た目が近いので、同じ台所で納豆を扱っていないかも確認してください。

どうする

糸を引くパン・煮豆・漬物は廃棄してください。同じ場所で保管していた他のパンも一緒に処分する—— 胞子が広がっています。容器と道具は洗剤で洗ってから熱湯かアルコールで消毒。漬物の汁がぬるぬるするときは、塩水が薄すぎる・保存温度が高すぎる・野菜が漬け汁の下に沈みきっていないのいずれかが起きていないかを確かめてください(米国の家庭保存の公的機関がまとめた原因)。パンの再発を防ぐには、生地の酸性度を上げる(サワー種を使う)、保存料を使う、保管温度を下げるのが有効です——先の研究でも、生地の水分活性とpHを下げて保存料(プロピオン酸カルシウム)を加えると、7日間ロープの発生を抑えられたと報告されています。

出典

  1. 論文・英語 Pereira APら(カンピナス大学、ブラジル)(2020) Occurrence and enumeration of rope-producing spore forming bacteria in flour and their spoilage potential in different bread formulations
  2. 論文・英語 Brannen DEら(Greene County Public Health、米国オハイオ州)(2025) First report of the agricultural biocontrol agent Bacillus velezensis and foodborne outbreak due to rope spoilage in cakes
  3. 公的機関・英語 National Center for Home Food Preservation, University of Georgia Causes and Possible Solutions for Problems with Fermented Pickles