糠床の異臭(靴下・アンモニア)
産膜・におい
判定: 捨てなくていい
糠床の異臭(靴下・アンモニア)は、靴下臭なら酪酸菌の増えすぎ、アンモニア臭ならたんぱく質の分解しすぎが原因です。
見分け方
靴下や足のような匂いは酪酸菌の増えすぎ(底の無酸素部分で増えます)。酪酸菌の仲間(Clostridium属など)は酸素が全く無い環境でしか増えない偏性嫌気性菌で、たんぱく質を分解してアンモニアも作ります。アンモニア臭は、たんぱく質の分解が進みすぎたか、漬けた野菜を入れっぱなしにした結果です。九州大学の研究では、仕込んでから乳酸菌が優勢になるまでに数週間かかり、その間はpHの低下とともに菌の顔ぶれが入れ替わっていくことが分かっています——酸性化が浅い時期ほど、こうした匂いの菌に隙を与えやすいということです。
危険・注意
いずれもすぐに危険というわけではありませんが、床のバランスが崩れているサインです。酪酸菌は酸性に弱い菌で、飼料の発酵(サイレージ)を対象にした研究では、pHをおおむね4.2以下まで下げないと働きを抑えられないと報告されています。糠床でも、塩分や酸味が足りない床ほど、こうした匂いに傾きやすくなります。放置すると回復が難しくなります。
どうする
酪酸菌の匂いなら、床を大きく広げて空気に触れる面を増やしてから、底までしっかりかき混ぜ、数日休ませます——酪酸菌は空気に触れるだけで増殖が止まります。アンモニア臭なら、漬けっぱなしの野菜を全部取り出し、足し糠と塩をして冷蔵庫で休ませます。どちらも「混ぜる頻度」と「野菜を入れっぱなしにしない」で予防できます。カビや変色を伴う場合は、匂いの対処より先にそちらを確認してください。
出典
- 論文・英語 Ono Hほか(九州大学)(2014) Monitoring of the microbiota profile in nukadoko, a naturally fermented rice bran bed for pickling vegetables
- 資料 野英二(酪農学園大学副学長)(2019) 飼料作物の生産と調製―理論と実際―≪第3回≫飼料作物の調製利用~サイレージ発酵の理論~
解説動画: 糠床の匂い4種類から、いまの状態と手当てを見分ける/ぬか床TVチャンネル-伊勢屋漬物店-
匂いの種類で原因を切り分ける: 糠床の匂いをヨーグルト臭・シンナー臭・アルコール臭・腐敗臭の4種類に分けて、いまの状態を見分ける動画。匂いの感じ方には個人差があるので、自分の糠床がどれにいちばん近いかを当てはめて、その対応をすればいいという前置きから入る。
シンナーのような匂い: 糠床の中の酵母菌が増えすぎたサインで、原因はかき混ぜ不足だという。空気を好む酵母が表面へ上がってきて白い膜(産膜酵母)を張り、それがシンナーのような匂いを放つ。対処は簡単で、膜を少し取り除くか、酸素を好む菌なので底のほうへ沈めてしまう。そのうえで2〜3日冷蔵庫に入れておくのが、いちばん手軽に匂いを消す方法としている。
アルコール臭: シンナー臭に近い状態だが、酵母が増えすぎているのに加えて水分が多くなり、糠床が酸欠になっているのが違いだという。上下を返すようにかき混ぜ、乾いた糠を足して水分を吸わせる。混ぜたあと、ふわっと空気が入るような状態にしておくことを勧めている。
腐敗臭が出たとき: 腐ったような匂いは4つの中でいちばん悪い状態で、乳酸菌が非常に少なく雑菌が多いという。全部捨てて中身を入れ替えるのが、結果としていちばんいいと言い切っている。どうしても使いたい人向けに、半分ほどを捨てて新しい糠と水分を足す方法も挙げているが、結局もったいない結果になることが多いという立場。