白い粉・白い粒(チロシン)

変色・分離

判定: 捨てなくていい

白い粉・白い粒(チロシン)は、カビではなくアミノ酸の結晶で、体に害はありません。

見分け方

熟成した味噌や長期熟成のチーズに出る白い粉状、または砂のような小さな粒。横浜市の衛生研究所は、苦情のあった味噌の「カビのように見える」白い粉を赤外分光で調べ、チロシンの結晶と確認しました。長崎県工業技術センターの報告(1991年)は、包装味噌にチロシンが析出するとカビや異物を疑われる、と書いています。

危険・注意

体に害はないと、横浜市の衛生研究所は書いています。チロシンは冷水に極めて溶けにくいアミノ酸で、温度やpHの変化、細菌や自己消化酵素の作用で結晶になって出ます。バーモント大学のチームは、粉末X線回折で、2年熟成のパルミジャーノ・レッジャーノや長く熟成したゴーダに多い、硬くざりざりした結晶がチロシンだと確かめました。チェダーの表面に出る乳酸カルシウムの結晶は、カビや腐敗と間違われやすいと総説は書いています。

どうする

見分けは出た場所で。のだみそチャンネル(YouTube)は、空気に触れにくい容器の側面に点々や筋になるのが結晶で、無味無臭だと話します。表面に出るモコモコと立体的なものはカビの可能性(→味噌の表面のカビ)、平らな白い点々は多くが白い膜(産膜酵母)です。結晶はそのまま食べて構いません。舌ざわりが気になるなら、加熱する料理に回してください。

出典

  1. 公的機関 横浜市 医療局 衛生研究所 検査研究課 苦情事例集 味噌中の異物
  2. 論文 前田正道(長崎県工業技術センター食品科)(1991) 麦味噌のチロシン析出とその防止法
  3. 論文・英語 Tansman GF, Kindstedt PS, Hughes JM(University of Vermont)(2015) Crystal fingerprinting: elucidating the crystals of Cheddar, Parmigiano-Reggiano, Gouda, and soft washed-rind cheeses using powder x-ray diffractometry
  4. 論文・英語 Kindstedt PS, Polowsky PJ(2021) Invited review: Crystals in cheese: More than a curiosity
  5. 動画 のだみそチャンネル 味噌に生える白カビとその他の見分け方と対処方法│産膜酵母、白カビ、アミノ酸など

解説動画: 【聞き流し】意外と知らないチーズの雑学|あの「穴」も「白い粒」も、正体は…/食卓の雑学

チーズは水を抜く: チーズを牛乳を固めて水を抜いたものと言い切るところから始まります。固め方は二つあり、酢やレモンなどの酸を加える方法と、レンネットという酵素を加える方法。かたまりを切るとしみ出す黄色っぽい水をホエイ、残るほうをカードと呼び、水を抜くほどかたく日持ちするチーズになると述べます。

寝かせると何が起きるか: 熟成とは寝かせて味を深めることで、その間に二つのことが起きると整理します。一つは水分がさらに抜けていくこと、もう一つはうまみが増えていくこと。たんぱく質が分解されてアミノ酸に変わるためで、長く寝かせるほど味は濃く深くなると続けます。熟成の年月がそのまま味の深さになる、という言い方です。

白い粒は塩ではない: パスタにかける粉のチーズでおなじみのパルメザンを、かたまりでよく見ると白くじゃりっとした小さな粒があります。塩の粒だと思っている人もいるが、塩ではないと否定し、正体はチロシンといううまみのもとが結晶になったものだと明かします。アミノ酸が集まって粒として目に見えていて、粒はうまみそのものだと言います。

見た目に驚かない: 二年、三年と寝かせることもあるパルメザンのじゃりっとした食感を、動画は時間の結晶と呼びます。わざとカビを生やす青カビチーズや白カビのチーズも紹介し、パンのカビは捨てるのにチーズでは喜んで食べると対比します。強い匂いのもとも腐敗ではなく熟成が進んだ証だと述べ、こわがられる菌を味方につけているとまとめます。