ボツリヌス菌(最も注意すべき相手)

危険なサイン

判定: 捨てる

発酵食品でもボツリヌス菌は、密閉して酸素が少ない状態で増え、強い毒素を作ることがあります。毒素は見ても、嗅いでも、味わっても分からないので、見た目や匂いが普通でも安心はできません。加熱しても安全とは限りません。1歳未満の乳児には、はちみつを絶対に与えないでください。膨らんだ容器や異臭があれば、その密閉食品は食べずに捨ててください。

見分け方

ボツリヌス菌は酸素が少ない環境で増え、神経に作用する毒素を作ります。米国で2011〜2023年の非乳製の発酵食品の集団発生を集計した論文(Weed BDら、2026)では、原因が1つに特定されたもののうち、ボツリヌス菌が16件(47%)で最多でした。家庭で作って傷んだ卵を食べた家族の症例報告(Wei Sら、2025年)もあります。芽胞の状態では100℃数分の加熱でも生き残ることがあります(消費者庁)。

危険・注意

自家製の油漬け(にんにくなど)は、低酸性の食材を油に漬けると酸素のない環境になるため、ボツリヌス菌が増えやすい形です(オレゴン州立大学)。米国では、家庭で缶詰にした低酸性の野菜が、ボツリヌス症の集団発生で最も多い原因です(米国CDC)。1歳未満の乳児には、はちみつを与えてはいけません。乳児は腸内細菌の環境が整っておらず、菌が増えて毒素を作ることがあるためです(消費者庁)。

どうする

予防が基本です。混ぜたものの全体に、最低限の一様な酸が要ります(米国NCHFP)。自家製の油漬けは冷蔵で4日までにし、長く置くなら冷凍してください(オレゴン州立大学)。加熱しても芽胞は残ることがあるため、加熱で安全になるとは限りません。疑わしい密閉食品は食べずに捨ててください。症状が出たら、ただちに救急要請を。救急の際は、食べた物を伝えてください。

出典

  1. 論文・英語 Weed BDら(Journal of Food Protection)(2026) Foodborne Illness Outbreaks Linked to Microbial Hazards Associated with Non-Dairy Fermented and Cultured Foods in the United States, 2011-2023
  2. 論文・英語 Wei S, Sun L(Frontiers in Medicine)(2025) Foodborne botulism from consumption of homemade spoiled eggs: a case series and literature review
  3. 公的機関・英語 米国疾病対策センター(CDC)(2024) Home-Canned Foods | Botulism
  4. 公的機関・英語 Raab C, Woodburn M(オレゴン州立大学エクステンション)(2025) Herbs and Vegetables in Oil
  5. 公的機関・英語 National Center for Home Food Preservation(ジョージア大学) General Information on Fermenting
  6. 公的機関 農林水産省(2025) ボツリヌス菌
  7. 公的機関 消費者庁 ハチミツと乳児ボツリヌス症について

解説動画: 密封の惣菜を常温で2か月置いて起きたボツリヌス食中毒/日テレNEWS

何が起きたのか: 新潟市で50代の女性がボツリヌス食中毒になり、救急搬送されたニュース。密封容器で包装された惣菜を買ったあと、要冷蔵の食品なのに自宅で常温保管していた。購入からおよそ2か月後にそれを食べていて、惣菜からはブルーチーズのような匂いと味がしたという。

症状の出方: 女性は目のチカチカ感や口の渇きを訴えて入院。意識はあるものの全身に麻痺があり、人工呼吸器を装着している状態だという。毒素を口にすると8時間から36時間の間に、嘔吐や下痢、物が飲み込みづらいといった症状が出る。最強の自然毒素とも言われ、食品衛生の分野で最も注目される食中毒のひとつだと専門家が話している。

増える条件: 菌そのものは土や水の中に広く存在し、野菜や果物に付着していることがある。空気のある通常の条件では増殖できず、酸素のない状態になってはじめて増えるため、密封容器に入った食材こそ注意が必要で、常温での保管は危険だという。温度管理の条件が書いてあるものは、必ずそれを守って保管することが重要だとしている。

危険を知らせるサイン: 密封容器を開けたときに強い異臭がする例が多く、容器がふくらんでいるケースも多いという。少しでも異変を感じたら口にしないことが大切だと締めている。ただしこの菌は見た目・匂い・味に変化が出ないこともあり、異変が無いことは安全の証明にはならない。1歳未満の乳児にはちみつを与えないことも、同じ菌への基本として外せない。