発酵が進まない・ふくらまない

発酵不足

判定: 場合による

発酵が進まない・ふくらまないは、菌が死んだか温度が低いか餌が無いかのどれかで、酸が出ていない間は安全とみなしません。

見分け方

パン生地がふくらまない、甘酒が甘くならない、ヨーグルトが固まらない、糠床が何日経っても酸味が出ない。「何も起きない」という形の失敗です。ただ、野菜の発酵は温度で日数が大きく変わります。ペンシルベニア州立大学の Extension は、ザワークラウトは21〜23℃なら約3〜4週で発酵し終え、15〜18℃なら6週ほどかかることがあり、15℃未満では発酵しないことがある、と書いています。

危険・注意

発酵が進んでいないということは、酸もアルコールも出ていない=守られていないということです。野菜の発酵では、バージニア工科大学の Extension が、発酵で出る酸が有害な菌の増殖を防ぎ、塩は発酵する菌を腐敗菌や有害な菌より優位にすると説明しています。酸がまだ出ていない仕込みは、安全だと見なさないでください。ぬめる・軟らかくなる・においがおかしいときは捨てます。

どうする

原因は3つに絞れます。菌を殺した、温度が低すぎる、餌(糖分・栄養)が無い。ヨーグルトはアラスカ大学の Extension が、115°F(約46℃)を超える牛乳に種を入れると菌を殺すことがあり、保温が高すぎても低すぎても増えが遅れることがある、と書いています。麹甘酒の糖化実験では、ブドウ糖が最多なのは50℃で、40℃はその約66%、70℃は約77%でした。まず温度を数字で測り、動かなければ種を替えて仕込み直します。

出典

  1. 公的機関・英語 Hirneisen A, Zepp M, LaBorde L, Penn State Extension(2023) Let's Preserve: Fermentation - Sauerkraut and Pickles
  2. 公的機関・英語 Eifert JA, Boyer RR, Williams RC, Virginia Tech Virginia Cooperative Extension(2025) Vegetable Fermentation
  3. 公的機関・英語 Cascio J, University of Alaska Fairbanks Cooperative Extension Service(2024) Making Yogurt at Home
  4. 論文・英語 Oguro Y, Nakamura A, Kurahashi A(2019) Effect of temperature on saccharification and oligosaccharide production efficiency in koji amazake

解説動画: パン生地がふくらまない3つの原因と温度・イーストの目安/にしけんパンちゃんねる

温度で酵母がどう変わるか: パンがふくらまない原因を、生地の段階と焼き上がりの段階に分けて解説している。前提として温度と酵母の関係を先に整理していて、0〜2度で発酵が止まり、3〜8度でもほとんど止まる。28〜32度が発酵に最適で、38度が品質と効率から見た限界、65度で死滅するという。酵母は生き物なので一筋縄ではいかないという立場で話が進む。

原因1 こね上げ温度が低い: こねあがった直後の生地の温度(こね上げ温度)を守ることがいちばん効くとしている。目安は28度。長時間発酵させるならもう少し低く、急ぎたいときは30〜32度まで上げてよいという。ここさえ合っていれば、こんなに簡単でいいのかと思うほどスムーズに発酵が進むという言い方をしている。

原因2 イーストの量と計量: イーストの適量は、小麦粉100gに対して2〜4g。問題は量そのものより計り方で、最小単位が1gのはかりで1gを計っても、実際は1gになっていないことが多いと指摘している。0.1g単位まで計れる微量計を使うか、4gを計って4等分すると正確な1gが出せるという手を勧めている。

やりがちなミス: 発酵中の生地は基本的にじっと見守るのが正解で、ガス抜きや折りたたみのときに雑に扱うと、ガスが抜けたり生地の組織が破れたりしてふくらまなくなるという。手粉や油で滑りをよくして、必要以上に触らない。もうひとつは焼くのが早すぎること。指で押してわずかに跡が残り、少し跳ね返るくらいが焼き時で、生地が若いうちに焼くと目の詰まった小さいパンになるとしている。