甘酒が甘くならない

発酵不足

判定: 捨てなくていい

甘酒が甘くならないは、たいてい保温の温度が高すぎたか低すぎたかが原因で、味の問題であって安全性の問題ではありません。

見分け方

麹と米(またはお粥)を保温したのに、数時間たっても甘みが出ない。あるいは甘みが薄いまま止まっている状態です。甘みの正体は、麹の酵素(アミラーゼ)が米のでんぷんを分解して出るブドウ糖です。新潟県の醸造会社・八海醸造の研究チームが温度を変えて糖化を比べると、ブドウ糖は50℃で最も多く、その量を100%とすると60℃は91.9%、70℃は76.6%、40℃は66.4%でした。

危険・注意

安全性の問題ではありません—— 味の問題です。ただし甘みが出ないまま長時間ぬるい温度に置くと、乳酸菌が増えて酸っぱくなったり、雑菌が増えたりします。放置せずに原因を潰してください。

どうする

原因は2つに絞れます。湯が熱すぎて酵素が傷んだか、温度が低すぎて酵素が動かなかったか。50〜60℃に保つのを、体感ではなく温度計で測るのが唯一の解決です。シクロエの家は、炊飯器の保温温度は機種で違うと説明しています。静岡大学の講演要旨では、糖化は50・55℃で8時間まで進み続け、60℃は6時間でほぼ頭打ちでした。温度が低かっただけなら、正しい温度に戻して時間を延ばすと甘みが増します。

出典

  1. 論文・英語 Oguro Y, Nakamura A, Kurahashi A(八海醸造)(2019) Effect of temperature on saccharification and oligosaccharide production efficiency in koji amazake
  2. 論文・英語 Kurahashi A(八海醸造)(2021) Ingredients, Functionality, and Safety of the Japanese Traditional Sweet Drink Amazake
  3. 論文 鈴木絢子・村上陽子(静岡大学)(2022) 糖化温度が麹甘酒の糖化および食嗜好性に及ぼす影響(日本調理科学会大会 講演要旨)
  4. 動画 シクロエの家 【保存版】○○で絶対甘くなる発酵あんこの作り方!失敗しないコツ&4種の調理器具ごとの作り方まで徹底解説

解説動画: 【保存版】世界一あまい甘酒の作り方・レシピ!アレを入れたら驚くほど甘い甘酒ができました/べっぴん菌ちゃんねる

甘くならない相談: せっかく作ったのに甘くならないという相談がよく届く、と切り出します。作り方が正しいのに甘くならないなら、麹を替えたほうがいいとのこと。そのうえでヨーグルトメーカー・発酵器のように温度と時間がはっきり分かって調整できる道具を勧めます。自分たちは58度で8時間、世に多いレシピも55〜60度だと言います。

保温が切れたあと: 帰宅の2時間前に保温が終わってしまうと、そこから温度が下がっていろいろな菌が繁殖しやすい温度帯に入ります。だから帰るまで保温が続く時間に設定してから出かける。保温の終わる時刻を帰宅に合わせて逆算するわけです。出来上がったらすぐ粗熱を取って冷蔵で止める。寝てしまって、起きたら味が変わっていたという失敗も挙げます。

麹で甘さが変わる: 乾燥の麹と生米麹を比べることには、あまり意味がないと言います。手に入る麹はたいてい酒蔵のものか味噌屋のもので、最終のゴールが違うから。味噌用は大豆を分解するのでタンパク質を分解する酵素が強い。日本酒用はその酵素が雑味になるとも言われ、すっきりした甘みが出る。だから甘酒だけなら酒蔵の麹が向いている。

白米ともち米の差: 甘さでいえば白米で作るものが一番甘い。ご飯を足すかどうかは麹の酵素の量しだいで、酵素が足りないと米を分解しきれず、かえって甘みが弱くなることもあると言います。白米よりさらに甘くなるのがもち米で、切り餅でも同じ。生麹150g・切り餅100g・水120gという配合で、余った餅の使い道としても勧めています。

麹を入れるまで待つ: 切り餅と水を加熱し、混ぜてとろとろにしてから容器に移して粗熱を取ります。冷めた容器に移すほうが早く冷める。ここを面倒がって急ぐと酵素が失活しかねません。動画では温度計を刺して、47度まで下がったのを確かめてから麹を入れました。混ぜるうちに餅が糸を引くほどねっちりしてきます。あとは保温するだけで、出来上がりはかなり濃厚だと言います。