水の判定図鑑
アンモニアが下がらない(数字が動いたとき)
アンモニアが下がらないときは、まず餌を止めます。菌が足りないのか、餌と魚が多すぎるのか、水温とpHで菌が働けないのか——止まる理由は三つに分かれます。総アンモニア態窒素(TAN)の比色試薬が、日をまたいでも濃いまま薄くなりません。値は0.25、0.5、1mg/Lと刻みで上へ動き…
亜硝酸が跳ね上がった(数字が動いたとき)
亜硝酸が跳ね上がったら、魚を別の水へ移します。亜硝酸は血の中で酸素の運び手をふさぐので、アンモニアと違ってpHが低くても弱まりません。亜硝酸態窒素(NO₂-N)の試薬が、薄紅から濃い紫へ一日で変わります。0.5mg/Lだった値が翌日には2mg/L、5mg/Lと桁で動くこともあります。…
pHが毎日下がる(数字が動いたとき)
毎日下がるpHは、硝化が酸を出している証拠です。止めるのは水を足すことではなく、KH(炭酸塩硬度)を戻すことです。毎朝おなじ時刻に測ると、前日より0.1から0.2低い値が続きます。1週間で7.0が6.5を割り、数週間で6.0へ近づくこともあります。アルカリ度(KH)を並べて測ると、pHより先にそちらが下がっています。…
pHが高いまま動かない(数字が動いたとき)
pHが高いまま動かないと、先に困るのは魚ではなく株です。鉄が効かなくなる一方で、魚と硝化菌には悪くないので、急いで下げにかかりません。7.6や8.0といった値が、何週間測っても同じところで止まります。硝化が回っている系ではpHは下がるほうへ動くので、動かないこと自体が印になります。アルカリ度を測ると高めに出ます。…
KHがゼロに近い(数字が動いたとき)
KHがゼロに近い水は、pHがまだ正常でも支えを失っています。翌朝いきなり崩れることがあるので、pHが下がる前に戻します。滴定なら1〜2滴で色が変わり、試験紙なら最も薄い段で止まります。このときpHはまだ6.8や7.0を指していて、数字だけ並べれば正常に読めます。…
硝酸だけが増え続ける(数字が動いたとき)
硝酸だけが増えるのは、株に対して魚が多い状態です。魚にすぐ効く数字ではないので、株を増やすか、餌を減らすかを次の収穫までに決めます。硝酸態窒素(NO₃-N)の試薬が回を追うごとに濃い赤へ寄り、5mg/Lだった値が50、100、150mg/Lと上がっていきます。アンモニアと亜硝酸はどちらもほぼゼロのままで…
明け方だけ酸素が足りない(数字が動いたとき)
昼は足りていても、明け方だけ酸素が底を打ちます。夜は藻も菌も魚も酸素を使う一方で、光合成が止まっているからです。昼に測ると7から8mg/Lあるのに、夜明け前に測ると3から4mg/Lまで落ちています。昼だけ測っている限り、この谷は記録に残りません。魚は水面で口をぱくぱくさせるのが明け方だけで…
水温が上がったまま下がらない(数字が動いたとき)
水温が上がると、酸素が減り、アンモニアの毒性は上がります。一つの数字が二つの危険を同時に連れてくるので、水温は真っ先に下げにいきます。日中に30℃を超え、夜になっても28℃までしか戻らない日が続きます。曝気を変えていないのに溶存酸素の値だけが下がり、明け方の谷が深くなります。魚はえらの動きが速い状態が長引き…
ECが上がり続ける(数字が動いたとき)
ECの上昇そのものは、魚にも株にもすぐには効きません。足し水で何が濃くなったのかを、硝酸とKHの動きから読み分けます。週ごとに0.1や0.2mS/cmずつ、値が上へ動き続けます。魚にも株にも、その週のうちに見える変化はありません。足し水をした直後だけ少し下がり、数日でまた戻っていきます。…
立ち上げから数字が動かない(数字が動いたとき)
数字が動かないのは、順調ではなく、まだ始まっていない印です。試薬の期限、水道水の塩素、水温、pHのどれかが硝化を止めています。2週間たっても、アンモニアも亜硝酸も硝酸も試薬の色が変わりません。pHも動かず、数字だけ並べれば安定しているように読めてしまいます。餌は入れているのに、山も谷も出てきません。…
水が白く濁る(見た目とにおい)
白い濁りは、菌が一気に増えた跡です。多くは数日で澄むので、水をいじらず餌を控えて、酸素だけ切らさないようにします。水槽の奥の壁がかすみ、全体が均一に乳白色になります。緑や茶の濁りと違い、コップにすくっても白さが残るのが見分けで、光を当てると細かい粒が舞って見えます。一日か二日で急に現れ…
水が緑色になる(見た目とにおい)
緑の水は、光と養分が余っているという合図です。藻そのものは魚を害しませんが、夜の酸素とpHの振れを大きくします。水が抹茶を溶いたような緑に変わり、手を入れると指先が見えなくなります。壁やDWC(浮き床の水耕)の板の裏にも緑の膜が付き、ぬぐうと指が緑に染まります。数字は時刻で顔を変え、昼過ぎにpHと酸素が上がり…
水面に油膜が張る(見た目とにおい)
油膜は水面の呼吸をふさぐので、その日のうちに崩します。餌の油と有機物が、流れの弱い水面に集まってできています。水面に、光の当たり方で虹色に見える薄い膜が張ります。流れの弱い隅や角に集まり、水を揺らしても割れずに寄って戻ります。紙を浮かせて引き上げると膜だけが移り、紙が油じみます。上から見ると水面が鏡のように平らで…
水面の泡が消えない(見た目とにおい)
消えない泡は、水に溶けた有機物が増えた合図です。泡そのものは害を持ちませんが、同じ有機物が硝化菌の場所を奪います。戻り水の落ち口にできた泡が、数十秒たっても消えません。隅に寄って層になり、白から薄い黄色に色づくものもあります。指で触れても割れにくく、静かな水面へ広がっていきます。曝気を強めた覚えがないのに…
配管や培地がぬるつく(見た目とにおい)
ぬめりは病気ではなく、菌が住み着いた印です。はがすほど硝化が落ちるので、流れが細るまでは触りません。配管の内側や培地の表面が、茶色がかったぬるぬるした膜で覆われます。指でなでると滑り、こすると簡単にはがれます。色は茶から灰色までさまざまで、光の当たらない配管の中ほど厚くつきます。においはほとんどなく…
培地の底に黒い泥がたまる(見た目とにおい)
培地の底の黒い泥は、酸素が届かない場所ができた印です。そのまま置くと硫化水素が生まれるので、泥の側を減らします。培地を掘ると、底のほうだけ黒っぽい泥が出てきます。持ち上げると水が黒く濁り、粒のあいだが詰まっています。表面はふつうに見えるので、手を入れるまで気づかないことがほとんどです。排水にかかる時間が以前より延び…
卵の腐ったにおいがする(見た目とにおい)
腐った卵のにおいがしたら、先に魚を別の水へ移します。硫化水素は薄くてもえらに効き、泥をかき混ぜた瞬間にまとめて出ます。ふたを開けた瞬間や培地を持ち上げたときに、卵が腐ったようなにおいが立ちます。泥をかき混ぜた直後がいちばん強く、数秒のうちに部屋へ広がります。同じにおいが排水口や貯水槽の側からも上がってきます。…
器具に白い粉がこびりつく(見た目とにおい)
白い粉は水が硬いだけで、魚にも株にも急には効きません。ただし足し水のたびに何が濃くなっているかは、ECとKHで確かめます。水面のふちやヒーター、ポンプの首に白いざらついた粉が付きます。爪で削れて粉になり、水しぶきが乾く場所ほど厚くなります。水に沈んだままの部品には付きにくく、水と空気が入れ替わる境目に集まります。…
水面で口をぱくぱくさせる(魚のようす)
水面で口をぱくぱくさせるのは、いちばん酸素が多い層に来ている状態です。空気を送っても戻らないときは、水を直すより先に魚を移します。魚が水面のすぐ下に集まり、口を空気に出して開け閉めします。えらぶたの動きも速く、餌を入れても寄ってきません。先に水面へ出るのは体の大きい個体で…
えらの動きが速い(魚のようす)
えらの動きが速いのは、酸素が足りないか、水が刺激になっているかです。見た目より先に、酸素・アンモニア・亜硝酸・pHの4つを測ります。えらぶたの開閉が、ふだんより明らかに速くなります。口を大きく開け、泳ぎ方は変わらないのに呼吸だけが上がるのがこの姿の特徴です。水面には出ていないこともあります。えらや目のふち…
底でじっと動かない(魚のようす)
底でじっとしているのは、水温の話か、数字の話かで意味が変わります。水温が下がっただけなら休んでいるだけで、数字が動いていれば別です。底に沈んだまま、ひれをたたんで動きません。餌を入れても寄ってこないか、寄っても口を使わないことがあります。先に見るのは、群れ全体か、一匹だけかです。全体なら水の話…
体を底や配管にこすりつける(魚のようす)
体をこすりつけるのは、水が刺激になっているという合図です。pHの急な変化や、換水後の塩素が原因のことがあり、まず水を測ります。体を底や壁、配管にこすりつけます。ひねった瞬間に腹が光るので、離れていても目に入ります。数分おきに繰り返し、何匹かが同じ動きをすることもあります。こすった場所が赤くなったり…
えさを残すようになった(魚のようす)
えさを残しはじめたら、量ではなく水を疑います。水温が下がったときにも起きるので、残した餌はその場ですくい上げます。与えて30分たっても、底や隅に粒が残ります。同じ量を同じ時間に与えているのに、ある日から残りはじめるのが合図です。寄ってくる魚の数が減り、口をつけずに向きを変えることもあります。…
一晩で何匹も死んでいた(魚のようす)
一晩で何匹も死んでいたら、残りの魚を別の水へ移します。夜のうちに酸素が尽きたのか、水が変わったのかを、移してから調べます。朝に見ると、何匹かが底に沈んでいるか、水面に浮いています。口とえらぶたを大きく開いたままのことが多く、大きい個体が死んで小さい個体が生きているという並びになります(FAO 2014)。…
新芽だけが黄色く、葉脈が緑に残る(株のようす)
新芽だけが黄色く、葉脈が緑に残るのは鉄の不足です。この系では鉄が足りなくなりやすく、pHが高いほど効かなくなります。色が抜けるのは株のいちばん上、いま伸びている葉からです。葉脈だけが緑の線として残り、その間が黄色い網目に見えます。下の古い葉は濃い緑のままで、古い葉の縁から枯れ込むのとは出る場所が逆になります。…
内側の若い葉の先が茶色く枯れる(株のようす)
内側の若い葉の先が枯れるのは、養分より風の問題です。カルシウムは水と一緒に運ばれるので、蒸散が止まると先端まで届きません。外葉は緑で張りもあるのに、株の内側に巻き込まれた若い葉の先だけが茶色く縮れます。縁から数mmの帯で始まり、乾いた紙のような手ざわりになります。リーフレタスやキャベツのように葉が重なる作物で目立ち…
古い葉の縁から枯れ込む(株のようす)
古い葉の縁から枯れ込むのは、カリウムが足りない形です。餌から入るカリウムは株の必要量に届かないので、外から足す前提で組みます。下のほう、いちばん古い葉から縁が茶色く焦げたようになります。点が縁に沿って並び、やがてつながって帯になります。葉脈の間が黄ばむこともあります。新しい葉は緑のままで、株全体に張りがありません。…
根が茶色くぬめる(株のようす)
根が茶色くぬめったら、水温と酸素を先に見ます。根腐れは水温が高く酸素が少ないときに進み、株はいっきに萎れます。白からクリーム色で張りがあるはずの根が茶色から黒に変わり、つまむと外側の皮がずるりと剥けます。ぬめりと、泥のようなにおいが付きます。抜いた根を水ですすぐと、傷んだ部分だけがほどけて散ります。…