根が茶色くぬめる
株のようす
判定: すぐ手を打つ
根が茶色くぬめったら、水温と酸素を先に見ます。根腐れは水温が高く酸素が少ないときに進み、株はいっきに萎れます。
どう見えるか・どんな数字か
白からクリーム色で張りがあるはずの根が茶色から黒に変わり、つまむと外側の皮がずるりと剥けます。ぬめりと、泥のようなにおいが付きます。抜いた根を水ですすぐと、傷んだ部分だけがほどけて散ります。上の株は昼だけしおれて朝には戻る出かたを何日か繰り返し、やがて戻らなくなります。培地や水路の底に細かい泥がたまっていることも多いです。
何が起きているか
根のまわりの酸素が減り、根が呼吸できずに壊れます。そこへPythiumなどの病原体が広がります。溜まった固形物を分解する細菌も酸素を使うので、泥の多い場所ほど酸素が薄くなります(分解が奪う酸素)。水温が上がると水に溶ける酸素は減り、その増えかたは速くなります(水温が上がったまま下がらない)。
どうするか
まず曝気を足して、根のまわりへ酸素を送ります(エアストーン)。次に水温を下げます——FAO 589は根腐れを避ける線として28〜30℃未満を挙げています。そのうえで溜まった固形物と傷んだ根を取り除き、水の流れが滞る場所をなくします。株はまだ抜きません。見るのは、新しく伸びてくる根の色です。
起こさないために
溶存酸素(DO)を切らさないことと、固形物を残さないことの二つです。ハウスの装置で2年・トマト4作を追った記録では、しおれた株の根まわりが2.6 mg/L、しおれない株が5.8 mg/Lでした(Rezaei ら 2026)。沈殿槽で先に固形物を落とし、床の中に泥がたまる場所を作らない設計にします。
どこまで確かめられているか
溶存酸素を2.9・3.5・4.0 mg/Lに分けて浮き床のレタスを育てた試験では、低い区の根が小さく黒ずみました(Ries ら 2026)。28〜30℃未満という線はFAO 589の記述で、日本の小さな系にそのまま当てはまるかは測られていません。鉄を多めに入れると水槽や配管も色づくので、色だけでは決められません。
解説動画: 水耕栽培の根腐れ対策はコレをする!/サラリーマンの水耕栽培
上は元気でも根は: 動画の主はイチゴを塩ビ管の水耕で育てていて、上の株は花も実もたくさん付いて元気そのものだと言います。ところが持ち上げてみると、前に見たときはクリーム色だった根が茶色く変わっていました。上だけ見ていては気づけないので、抜いて根まで確かめたと話します。まだ悪くなりきってはいないが、対策は打っておいたほうがいいと判断します。
窒息と濃くなる水: 根が傷む筋道を二つに分けます。一つは水位が高すぎて根が呼吸できず窒息すること。もう一つは、土から移した株の古い根が腐り、その老廃物が水に溶け出して濃くなりすぎることです。動画はこれを、肥料が多すぎる状態に近づくと言い表します。どちらも根そのものより、根のまわりの水のほうの話として語られます。
打った手の順番: まず水位の低い容器へ株を移します。塩ビ管より水位が低い分、根が窒息しにくいという理由です。次に根を水ですすぐと、軽く触っただけで老廃物がほどけて出てきました。仕上げに網目が細かい竹炭を栽培槽へ入れ、溜まった老廃物を分解させる狙いだと述べます。発根を促す資材も、液肥に薄めて足しています。
見分けは難しい: 根腐れが進んでいる途中なのか、土にいたころの古い根が入れ替わっている途中なのかは、抜いて見ても見分けが難しいと動画の主は正直に言います。手がかりは上から新しい根が伸びているかで、伸びていればさほど問題ではない。少しでも心配なら先に手を打つ、対策を取る分には株に不利はないから、と話します。
浮かせる型ほど: 最後に、株を浮かせて根をまるごと水に沈める型ほど傷みやすいと話します。勧めているのは、ある程度の水位差を保ち、根の一部が水から出る高さにするやり方のほうです。すすいだ根は、そのまま栽培槽に戻してよい。この項目にとっては、色に慌てる前に水位と新しい根を確かめるという順番が要点になります。