水が緑色になる
見た目とにおい
判定: このまま様子を見る
緑の水は、光と養分が余っているという合図です。藻そのものは魚を害しませんが、夜の酸素とpHの振れを大きくします。
どう見えるか・どんな数字か
水が抹茶を溶いたような緑に変わり、手を入れると指先が見えなくなります。壁やDWC(浮き床の水耕)の板の裏にも緑の膜が付き、ぬぐうと指が緑に染まります。数字は時刻で顔を変え、昼過ぎにpHと酸素が上がり、明け方にはどちらも下がります。魚の姿は見えにくくなり、水からは草か土のようなにおいが立ちはじめます。
何が起きているか
浮いている微細な藻が、光と養分を使って増えています。昼は光合成で二酸化炭素を引き抜くのでpHが上がり、酸素は飽和の近くまで届きます。夜は藻自身が呼吸して酸素を奪い、pHを押し戻します。魚と菌の呼吸もそこへ重なるため、負担が集まるのは日の出前です。藻は硝酸態窒素(NO₃-N)も吸うので、株と同じ養分を分け合う相手にもなります。
どうするか
薬ではなく光を切ります。順に、水槽と配管と貯水槽に光を当てない、床や浮き板のあいた面を覆う、透明な部材を不透明なものへ替える。緑は一晩では消えず、光をふさいでからしばらくかけて薄れます。藻をすくい取るのは水を澄ませるだけで、光が残れば戻ります。切り替えたあとは明け方の溶存酸素(DO)を数日続けて測り、下がり方が浅くなるのを確かめます。
起こさないために
光の当たる面を、あらかじめ減らしておきます。透明なホースや容器を使わない、床の表面は培地か株で覆う、貯水槽にはふたをする。株が少なく養分が余る時期ほど藻に回るので、収穫のあとに空き面をつくらない。次の苗を先に育てておくと、面が空く日を短くできます。明け方の酸素が細るなら明け方だけ酸素が足りないも合わせて読みます。
どこまで確かめられているか
藻が昼夜で酸素とpHを振ることは池の管理で古くから使われてきた見方ですが、家庭規模の系で振れ幅を測った資料は見当たりません。目安として置けるのは、Sallenave の NMSU Circular 680 が示す溶存酸素5ppm以上、pH6.8〜7.0という常時の範囲だけです。藻の量と振れ幅の関係は分かっていません。
解説動画: ある生物を水槽に入れると緑色の水が透明になる!?/癒乃 さえり
貝を入れて待つ: 動画は、緑に濁って中が見えなくなった水槽にヒメタニシを入れるだけで澄むかを試します。薬は一切使わない、という前置きから始まります。翌日にはもう透明感が出て、3日後には奥にいるザリガニが見えるところまで澄みました。隣にある澄んだ水槽がなぜ緑にならないのかは、後の節で明かす作りです。
壁の緑もはがれる: 水の色だけでなく、ガラス壁についた緑の膜も貝が食べます。倍速で撮った映像では、貝が動いた跡から順に壁が透けていくのが分かる、と見せます。壁をなめる貝としては石巻貝も出てきて、こちらも壁の緑をよく食べる。動画はこの二つを、はたらきと増え方の両方から比べていきます。
どこにいる貝か: ヒメタニシは意外と身近な川にいる、と動画は言います。傘をさして探しても一匹も採れない川がある一方で、田んぼのある土地の川では密集している。網ですくえば20〜30匹はすぐ取れるほどで、きれいすぎる川にはあまりいないのも特徴でした。似た種類が多いので、よく見分けてから採るようにと付け加えます。
増えると困る場合: 同じように壁の緑を食べる石巻貝は、もともと汽水で繁殖する貝です。ザリガニやメダカを飼うような真水では繁殖ができません。だから貝が増えて困るのが嫌な人に向くと動画は分けます。同じ役目をする生き物でも、増えるかどうかで選び分けられる、という置き方をしています。
なぜ水が澄むのか: 最後に理由を説明します。ヒメタニシは壁についた緑を食べるだけでなく、水の中の植物性プランクトンを体に取り込んで餌にする。だから緑の色素そのものが減って透明になる、という筋です。二枚貝が入ったタナゴの水槽がずっと澄んでいるのも、同じはたらきだろうと結びます。