アンモニアが下がらない
数字が動いたとき
判定: すぐ手を打つ
アンモニアが下がらないときは、まず餌を止めます。菌が足りないのか、餌と魚が多すぎるのか、水温とpHで菌が働けないのか——止まる理由は三つに分かれます。
どう見えるか・どんな数字か
総アンモニア態窒素(TAN)の比色試薬が、日をまたいでも濃いまま薄くなりません。値は0.25、0.5、1mg/Lと刻みで上へ動き、餌を与えた翌朝にいちばん濃く出ることが多いところです。亜硝酸はまだ出ないこともあれば、同じ週に一緒に上がることもあります。pHと水温の値そのものは平常どおりに見え、動いているのはアンモニアの欄だけ、という状態が続きます。
何が起きているか
魚が出す餌からアンモニアへの速さに、菌が変える速さが追いついていません。止まり方は三つに分かれ、菌の量がまだ足りないのか、餌と魚が多すぎるのか、菌が働けない条件になっているのかで、打つ手が変わります。酸素が薄い、pHが6を割る、水温が17℃を下回ると硝化は鈍ります。同じ濃さでも、pHと水温が高いほど毒性の強い非イオン性アンモニア(NH₃)の割合が増えます。
どうするか
まず餌を1〜3日止めます。入ってくる窒素を減らすのが、いちばん速い手です。次に曝気を足し、溶存酸素(DO)を5mg/L以上に戻します——硝化菌は酸素が薄いと働けません。それでも下がらなければ、塩素を抜いて水温とpHをそろえた水で、4分の1から3分の1を入れ替えます。ろ材を水道水ですすぎません。塩素で菌ごと落としてしまいます。
起こさないために
餌は食べ切る量にとどめ、残ったら数分のうちに取り除く。固形物が残ると分解に酸素が回り、硝化の側が痩せていく。魚の量の上限は資料で開きがあり、NMSU Circular 680 の経験則が水7.6Lに450g、FAO 589 の目安が水1000Lあたり20kg。控えめなFAO 589 の側に寄せるほうが、入ってくる窒素が先に勝つ形を避けやすい。測る間隔は立ち上げ中は毎日、落ち着いてからは週に1回。
どこまで確かめられているか
TAN 1mg/L未満、酸素5mg/L以上、pH6.4〜7.4という目安は、NMSU Circular 680(Sallenave 改訂)の表によります。餌を1〜3日止め、水を25〜50%替えるという手当ては、UF/IFAS FA16(Francis-Floyd ら 2009)が水槽と池について書いたもので、この系で測った値ではありません。止めてから何日で下がるかの実測は見当たりません。
解説動画: 【目からウロコ】水槽にバクテリアが定着しているか見極める方法を教えます/アクアリウム大学【アクアレンタリウム公式】
定着とは何か: 動画は、菌の定着をアンモニアと亜硝酸を硝酸まで変えられる状態と呼びます。砂やろ材に菌が付いて、はじめてそこまで進む。だから見るのはアンモニア・亜硝酸・硝酸態窒素(NO₃-N)の三つで、前の二つが出ずに硝酸だけ検出されるなら菌は働いている。この数字は汚れの量より、菌が動けているかを読む面が大きいと述べます。
測る日を決める: 魚がいなければアンモニアも出ないので、入れる前に測っても読めない、と動画は言います。目安は魚を入れて3日後に一度測ること。そこで総アンモニア態窒素(TAN)や亜硝酸が出ていれば、菌はまだ追いついていません。手を打ったあとも翌日、その2日後ともう一度測り、値がどちらへ動いているかを追う、という進め方です。
下がらないとき: 出てしまった分は水換えで抜く、というのが動画の第一手です。菌の側を助けるために挙げるのは、エアレーションを効かせて溶存酸素(DO)を保つことと、人の手で水を入れ替えて負荷を軽くすること。菌のためだけにそこまで手を入れるのは、立ち上げのときとトラブルのときくらいだと線を引きます。
目でも確かめる: 数字のほかに動画が見ているのは、水の透明度とやわらかい茶色いコケの付きぐあいです。立ち上げの初期にこのコケが出ているうちは、水の汚れの量に対して菌の量が足りていないという見立て。その間は魚を足さないか数を控えめにし、水換えの間隔を詰めると述べます。試薬の前に、目で拾える手がかりです。
菌の側を助ける: 菌を増やしたいとき、動画は市販の菌の資材を第一手には置きません。すでに回っている水槽の水や、そこで使っていたろ過フィルターを移すほうが早いからだと述べます。何も無いところから立ち上げるなら最初に入れる、入れれば変わるが絶対に要るものではないという置き方です。立ち上げから数字が動かないの側から読むと、待つあいだに何を足すかの線引きになります。