pHが毎日下がる
数字が動いたとき
判定: すぐ手を打つ
毎日下がるpHは、硝化が酸を出している証拠です。止めるのは水を足すことではなく、KH(炭酸塩硬度)を戻すことです。
どう見えるか・どんな数字か
毎朝おなじ時刻に測ると、前日より0.1から0.2低い値が続きます。1週間で7.0が6.5を割り、数週間で6.0へ近づくこともあります。アルカリ度(KH)を並べて測ると、pHより先にそちらが下がっています。数日測らずにいて4.5まで落ちた記録もあり、そこではアンモニアが30mg/Lを超えていました。落ちる速さは日ごとに増していきます。
何が起きているか
硝化が出す酸が、水の緩衝力を毎日少しずつ削っています。アンモニアを亜硝酸に、亜硝酸を硝酸に変える二段はどちらも酸素を使い、アルカリ度を壊して水素イオンを出します。緩衝力が残っているうちはpHが動かず、使い切ったところで落ちはじめます。pHは結果で、先に減っているのは緩衝力のほうです。ここを取り違えると、水を足す手当てに向かってしまいます。
どうするか
まずKHを測り、下がった元がアルカリ度だと確かめます。戻すのは水酸化カルシウムと水酸化カリウムを交互に、少量ずつ入れる形です。どちらも株の要るカルシウム(Ca)とカリウム(K)を兼ねています。一度に大量を入れると、アンモニアが毒性の強い側へ一気に傾きます。1日0.2ほどを上限に、数日かけて7.0へ戻します。急ぐほうが危ない場面です。
起こさないために
pHは毎日、KHは週に1回測ります。硝化が回っている系では、pHは放っておくと下がるほうへ動くものだと考えておきます。アルカリ度を炭酸カルシウム換算で100mg/L以上に置いておけば、同じ量の酸が入っても値は動きにくくなります。餌の量を増やした週は削られる速さも上がるので、補う量も一緒に増やします。測らない日を続けて作りません。
どこまで確かめられているか
pH6.4〜7.4、アルカリ度100mg/L以上という値と、6.4を割ったら水酸化カルシウムか水酸化カリウムで7.0へ戻すという手順は、NMSU Circular 680(Sallenave 改訂)によります。同じ資料に硝化菌はpH7.5より上で最もよく働き、6を割るとほぼ止まるとも書かれています。1日に出る酸の量は餌と魚種で変わり、家庭規模の実測は見当たりません。
解説動画: 水槽のpH低下が止まらない!?プロが実践するpH管理と上昇させる方法とは!/トロピカチャンネル
放っておけば下がる: 動画は、pHが下がる一番の元を硝化が出す酸に置きます。アンモニアが亜硝酸へ、亜硝酸が硝酸へと分解される過程で水素イオンが出るので、ろ過が進むほどpHは下がっていく。ろ過が足りない水ならなおさら下がる。どちらにしても、何もしなければ勝手に下がる側の数字だと言い切ります。
水換えで戻る分: 戻す手として最初に挙がるのは水換えです。日本の水道水はおおむね中性なので、入れれば酸性に寄った値を戻せると言います。ただし下がったからと慌てて一気に半分以上を換えないと釘を刺します。水質が急に変わると生き物がついていけないからで、頻度を決めて回すほうが扱いやすいと述べます。
戻らないなら掃除: 水を換えても値が戻らないときは、ろ過の力が落ちていないかを疑えと言います。洗うときは水道水ではなく飼育水を使い、表面のぬめりがざっくり落ちる程度でやめる——生物ろ材についた菌への痛手を小さく済ませるためです。古くなった材を替えるときも、一度に半分までにとどめると付け加えます。
貝殻で引き戻す: それでも戻らない水には、サンゴ砂やカキ殻を入れる形を挙げます。どちらも水をアルカリ性の側へ引き戻すもので、要らなくなればすぐ取り出せる。過密な水槽で値が3から4まで落ち、毎週の水換えも月一のろ材の掃除も効かなかった水が、カキ殻を入れて1週間で戻ったという自分の記録を添えます。
薬剤で止めない: pHを動かす薬剤にはあえて触れないと明言し、その理由をその場しのぎにしかならないからと述べます。値を押し戻しても、酸を出している側は同じだけ働き続けるからです。日々の水換えと、ろ過の力に見合った魚の数——毎日の管理のほうを合わせることが安定の近道だと結びます。