立ち上げから数字が動かない

数字が動いたとき

判定: このまま様子を見る

数字が動かないのは、順調ではなく、まだ始まっていない印です。試薬の期限、水道水の塩素、水温、pHのどれかが硝化を止めています。

どう見えるか・どんな数字か

2週間たっても、アンモニアも亜硝酸も硝酸も試薬の色が変わりません。pHも動かず、数字だけ並べれば安定しているように読めてしまいます。餌は入れているのに、山も谷も出てきません。立ち上がっている系なら、アンモニアが上がって下がり、次に亜硝酸が上がって下がるという二つの山が、順に出るはずです。試薬を替えて測り直しても、同じ色のままということがあります。

何が起きているか

順調なのではなく、まだ始まっていません。生物ろ過の担い手になる菌は、餌になるアンモニアと酸素と足場が揃ってから増えていきます。水道水の残留塩素とクロラミンは入れる前に抜く必要があり、抜かずに足せば菌は定着しません。17℃を下回ると硝化は遅くなり、pHが6を割るとほぼ止まります。足場になるろ材の表面積が小さければ、増えるのにそのぶん時間がかかります。

どうするか

慌てて魚を足さない。順に潰していく——足した水の塩素を抜いたか、水温が17℃を下回っていないか、pHが6を割っていないか。アンモニアの供給が無ければ、菌の餌そのものが無いので、フィッシュレスサイクリングの手順へ戻る。試薬の期限と使いかたも、一度は疑ってみる。動きが出るまでは、日付と値と水温をそろえて記録に残しておく。

起こさないために

魚を入れる前に水を回し、菌が付いてから入れるという順を崩さないこと。NMSU Circular 680 が挙げる時間は魚を入れない立ち上げで10日から3週間、魚を入れる方法で4〜6週間で、フィッシュレスサイクリングに置いたFAO 589 の3〜5週間より短い見積もりになります。見分けは、アンモニアと亜硝酸が0.5mg/L以下に落ち、硝酸が測れるようになったときです。水温を17℃より上に置くと、この期間は縮みます。

どこまで確かめられているか

立ち上げの期間と、完了の目安(アンモニアと亜硝酸が0.5mg/L以下・硝酸が検出)は、NMSU Circular 680(Sallenave 改訂)によります。硝化菌がよく働く帯が17〜34℃で、そこを下回ると働きが落ちることはFAO 589(Somerville ら 2014)です。試薬の期限切れで色が出ない話は経験として語られますが、比べた資料は見当たりません。

解説動画: 【目からウロコ】水槽にバクテリアが定着しているか見極める方法を教えます/アクアリウム大学【アクアレンタリウム公式】

定着とは何か: 動画はまず、菌が定着した状態を砂やろ材に菌がつき、出たアンモニアを硝酸まで分解しきれる状態だと言い直します。だからアンモニア・亜硝酸・硝酸の三つを測れば、定着したかどうかは見極められると述べます。試薬は水に悪いものがあるかを探すためというより、菌が働けているかを見るために使うのだという置き方です。

三つを並べて測る: 測るのは総アンモニア態窒素(TAN)と亜硝酸と硝酸の三つです。アンモニアと亜硝酸が出ず、硝酸だけが検出されるなら、菌が最後まで分解した証になると言います。逆にアンモニアや亜硝酸が残るうちは、菌がまだ追いついていないので、水を換えてそれらを外へ出してやる必要があると述べます。

測るのはいつか: 動画が念を押すのは測るタイミングです。魚を入れないうちはアンモニアも亜硝酸も出ないので、測ってもあまり意味がない。魚を入れて3日後に一度測り、水を換えたら翌日やその2日後にもう一度測る。一度きりの値ではなく、数字がどう動いていくかを並べて、止まっているのか進んでいるのかを読むという形です。

茶色いコケの印: 目で見る印としては、水の透明度と、水槽に出てくる柔らかい茶色のコケを挙げます。この茶色が出ているうちは、汚れの量に対して菌がまだ足りていないと判断する。そのあいだは魚を入れないか、入れるとしても数を抑えて水を換える頻度を上げる。試薬のほかにも、動かない時期に見るものがあるということです。

足すより助ける: 数字が動かないときに最初にすることは、菌の資材を足すことではないと述べます。曝気で溶存酸素(DO)を保ち、アンモニアや亜硝酸が高いなら水を換えて菌を助ける——人の手で支える側に回るということです。資材は補助にとどめ、落ち着いている水にあえて足して変化を起こさないと結びます。