新芽だけが黄色く、葉脈が緑に残る

株のようす

判定: すぐ手を打つ

新芽だけが黄色く、葉脈が緑に残るのは鉄の不足です。この系では鉄が足りなくなりやすく、pHが高いほど効かなくなります。

どう見えるか・どんな数字か

色が抜けるのは株のいちばん上、いま伸びている葉からです。葉脈だけが緑の線として残り、その間が黄色い網目に見えます。下の古い葉は濃い緑のままで、古い葉の縁から枯れ込むのとは出る場所が逆になります。進むと葉全体が白っぽくなり、縁がゆがんで枯れた斑が出ます。硝酸態窒素(NO₃-N)もpHも動いていないことが多く、数字を見ているだけでは気づけません。

何が起きているか

鉄は株の中を動けない養分なので、足りなくなるとまず新しい葉に出ます。餌の粒は魚に足りるよう作られていて、植物が要るだけの鉄(Fe)・カリウム・カルシウムまでは入っていません(FAO 589)。この三つが足りないことは、肥料は魚のフンだけで足りる?の側で測られています。鉄はpHが7を超えると沈みやすく、水にあっても根が取り込めない形に変わります。

どうするか

先にpHを測ります。7を超えていればpHが高いまま動かないの手当てで下げ、そのうえでキレート鉄を1〜2 mg/Lになるよう溶かして加えます(FAO 589。NMSU Circular 680はDTPA型を2 mg/L、3週ごとを挙げています)。多めに入れても系は壊れませんが、水槽や配管が色づきます。黄色くなった葉は緑には戻りません。効いたかどうかは、次に出てくる葉の色で見ます。

起こさないために

pHを6〜7に置き続けることが先で、鉄を足すのはその後です。硝化は酸を出し続けるのでpHは下がる向きに動きますが、上げ直すときに選ぶ資材で系に入る養分が変わります。葉物ならカルシウム側、果菜ならカリウム側から選びます(FAO 589)。立ち上げから3か月は、鉄を切らさない前提で組んでおきます。

どこまで確かめられているか

鉄が動かない養分で欠乏が新しい葉に出ること、pHが7を超えると沈みやすいこと、餌由来では鉄・カリウム・カルシウムが不足しやすいことは、いずれもFAO Technical Paper 589に書かれています。足す量は1〜2 mg/L(FAO 589)、DTPA型2 mg/Lを3週ごと(NMSU Circular 680)と幅があり、系の大きさや作物ごとの適量までは決まっていません。

解説動画: アクアポニックスの栄養補給・追肥/アクアポニックス大学

餌から養分までの道: 動画は、魚が餌を食べて排泄し、それをバクテリアが分解して株の養分に変える流れを、家畜のふんを堆肥にする有機栽培になぞらえて説明します。そのうえで餌に含まれていても、その量が足りないことがあると続け、葉の色が変わったら栄養不足のしるしなので日々よく見るように、と話します。

足りなくなる三つ: この系で不足しやすいものとして挙がるのが鉄(Fe)・カリウム・カルシウムの三つで、マグネシウムもそう言われると添えます。株の様子が悪くなったら、まずこの三つを疑うという順です。魚の餌だけでは補いきれないので、足りないぶんは水に溶かして加える必要がある、と述べます。

足し方は二通り: 一つは養分ごとに単体で足す方法で、食品添加物や水産用の肥料に含まれるものを使います。小さな設備なら使う量は限られるので、それで足りると言います。もう一つはまとめて含む肥料で、手軽な代わりに一つだけを補うことができず、資材によっては水の色が大きく変わると注意を付けます。

つり合いを先に疑う: 動画が強く言うのは、足りないのがその三つとは限らないことです。餌の量がそもそも足りない、株を植えすぎている場合も栄養不足になるので、まず魚と株と微生物のつり合いを見る。サプリメントより日々の食事だ、という人のたとえで魚と野菜のつり合いは餌の量で決まる?側へ話を戻します。

入れすぎに注意: カリウムとカルシウムは多めに入れても許される幅がある一方、鉄は微量必須の養分なので、入れすぎると具合が悪くなる。水1Lあたり5mgほどあれば十分という数字を挙げます。またカリウムとカルシウムの資材はアルカリ性で、少量でもpHが大きく動くので、少しずつpHを見ながら、と結びます。