内側の若い葉の先が茶色く枯れる

株のようす

判定: このまま様子を見る

内側の若い葉の先が枯れるのは、養分より風の問題です。カルシウムは水と一緒に運ばれるので、蒸散が止まると先端まで届きません。

どう見えるか・どんな数字か

外葉は緑で張りもあるのに、株の内側に巻き込まれた若い葉の先だけが茶色く縮れます。縁から数mmの帯で始まり、乾いた紙のような手ざわりになります。リーフレタスやキャベツのように葉が重なる作物で目立ち、外から見ただけでは分からず、割ってはじめて出てくることもあります。水の数字はどれも動いていません。

何が起きているか

カルシウムは株の中を移動せず、蒸散で引かれる水の流れに乗ってしか運ばれません。内側の葉は外葉より蒸散が小さいので、水にカルシウム(Ca)があっても先端まで届かず、伸びている途中の細胞が壊れます(FAO 589・UC IPM)。伸びが速い時期ほど供給が追いつかず、ミニトマトの尻腐れも同じ理由で実の先に出ます。

どうするか

まず株の上に風を通します。温室の浮き床で育てたレタスの試験では、上から1.0 m/sの送風を1日12時間当てた区は28日目の傷んだ葉が7%以下、送風なしの区は39%でした(Moosavi-Nezhad と Meng 2025)。次に湿度を下げ、光と養分を絞って伸びを緩めます。カルシウムを足しても届かないので、水には手を入れません。

起こさないために

株元ではなく葉の上を空気が動く配置にして、日中の湿度がこもらないようにします。密植を避けると株の間の風通しが保てます(FAO 589)。急に光や養分が増えると伸びだけが先行するので、変える幅は小さく刻みます。水のカルシウムの数字を追うより、蒸散が続いているかを見るほうが早く気づけます。

どこまで確かめられているか

カルシウムが蒸散の流れでしか運ばれず、湿度が高いと水にあっても届かないことは、FAO 589とUC IPMのレタス資料が同じ機構で説明しています。送風の効き目は温室の浮き床・1品種・28日の1試験(Moosavi-Nezhad と Meng 2025)で得られたもので、作物や季節をまたいでどこまで同じかは分かっていません。

解説動画: 【野菜の水耕栽培】葉の周りが黒くなるチップバーンの原因と対策/サラリーマンの水耕栽培

病気ではない: 動画は、チップバーンを葉の周りが黒くなる生理現象で病気ではないと最初に押さえます。育てているのは水耕のレタス(サラダ菜)で、黒ずんだ部分は収穫できる面積を減らし、見栄えも落ちるので、放っておける現象でもない。水耕栽培でとくに起きやすいもののひとつだ、と位置づけてから原因の話に入ります。

密集が引き金: 原因として動画が挙げるのは株が密集することです。葉は蒸散という働きで葉の裏に水蒸気を出しますが、混み合うとその湿気が葉のあいだにこもり、代謝のめぐりがうまく回らなくなると説明します。水の中身ではなく、株のまわりの空気の状態が引き金だという組み立てで、養分が足りないという話はしません。

間引いて散らす: 実際に育てていた株が混み合ってチップバーンが出たので、動画は間引いて別の容器へ移します。手元の容器と、ジョイントマットを切って中央に穴を開けた自作のネットポットと定植パネルに植え替え、株の間を空けて育て直す。抜いた苗の根は白いままで、根腐れの気配は無いことも見せています。

風を送るという手: 以前に紹介した手として扇風機で風を送る方法も挙げます。ただし無風の場所や閉め切った空間では、間引いて株が密集しない環境をつくるほうが解消につながる、という使い分けです。どちらも空気を動かすか、空気が動く余地をつくるかという同じ話で、動画は置き場所に応じて選べばよいと並べます。

見る先は空気: 育て直しでは液肥の濃さをEC1800前後に合わせ、容器を遮光して藻が出ないようにするところまで手を入れます。ただしチップバーンへの手当てとして挙がるのは株の間隔を空けることと風を通すことの二つだけで、EC(電気伝導度)や養分の不足は原因として語られません。混み具合を見る、という着地です。