亜硝酸が跳ね上がった

数字が動いたとき

判定: 魚を退避させる

亜硝酸が跳ね上がったら、魚を別の水へ移します。亜硝酸は血の中で酸素の運び手をふさぐので、アンモニアと違ってpHが低くても弱まりません。

どう見えるか・どんな数字か

亜硝酸態窒素(NO₂-N)の試薬が、薄紅から濃い紫へ一日で変わります。0.5mg/Lだった値が翌日には2mg/L、5mg/Lと桁で動くこともあります。アンモニアの側はむしろ下がりはじめていて、二つの数字が逆を向きます。魚はえらの動きが速い状態になり、水面近くへ寄ります。血の色そのものは変わりますが、外から読めるのはえらの色までにとどまります。

何が起きているか

アンモニアを亜硝酸に変える前半は回りはじめたのに、亜硝酸から硝酸への後半がまだ育っていません。亜硝酸はえらから塩化物イオンと競うように入り、血の中で酸素の運び手をふさぎます。pHが低くても毒性は弱まらないところがアンモニアと違います。水のほうに酸素があっても、体の中で足りなくなります。ここで扱えるのは、水を直すところまでです。

どうするか

水温と水質をそろえた別容器へ、まず魚を移します。移す先は別容器にかぎり、川・池・水路には放しません(外来生物法・水産資源保護法)。そのうえで餌を止め、塩素を抜いて水温とpHをそろえた水で、3分の1までを入れ替えます。曝気を強め、沈殿槽に溜まった固形物を抜きます。魚そのものへの手当ては、この本の外に置いています。

起こさないために

餌を増やすときは一度にではなく、数日おきに少しずつ足します。負荷が跳ねると、後半の菌だけが置いていかれます。餌の量は魚を足した数ではなく、菌が育つ速さに合わせます。立ち上げ中と魚を足した直後は毎日測り、1mg/Lを超えたところで換水に入ります。生物ろ材の量と曝気は、魚を足す前に先へ増やしておきます。まとめて一度に入れません。

どこまで確かめられているか

亜硝酸1mg/L以下を保ち、5mg/Lで毒性という目安は、NMSU Circular 680(Sallenave 改訂)がティラピアの系について書いたものです。えらでの取り込みが塩化物と競うため、水の塩化物イオンが多いほど毒性が下がることは、Kajimura ら 2023 のベタの96時間半数致死濃度の報告などが示しています。塩を足したとき株に何が起きるかまでは測られていません。

解説動画: 初心者に伝えたいNO2の考え方【アクアリウム】【亜硝酸】【水質】/株式会社セラジャパン

酸性でもアルカリでも: 動画はまず、亜硝酸態窒素(NO₂-N)は酸性でも弱アルカリ性でも、どんな水槽でも有害だと言い切ります。餌の残りや魚の排泄物から出てくる物質で、魚の生き死にに直結すると繰り返します。硝酸まで分解されていればまだ安心だが、その手前に出てくるアンモニアと亜硝酸が危ないという並べ方です。

数字の三つの段: 有害な物質はどれもゼロが最適だとしたうえで、動画は亜硝酸の目安を段に切って示します。0.9mg/Lまでは水が汚れてきたという警告どまり、そこを超えると水がかなり汚れ、魚に危機が迫っている。3.3mg/L以上では、すぐに死んでしまう恐れのある水だと言います。数字が上がるほど猶予が短くなる並べ方です。

同時に出ている: いちばん時間を割くのは、亜硝酸が出ているならアンモニアはもう無い、という広まった思い込みです。物質ひとつを取り出せばアンモニアから亜硝酸へ移り変わりますが、水槽は物質単体で動きません。ネットで広がっている情報には間違いもあると断り、両方が一緒に水にあることもありえると述べます。

毎日入ってくる: 魚は一日目も二日目も出し続けるので、分解の途中どうしが重なり、アンモニアも亜硝酸も硝酸も同時にありうると時系列の図で示します。亜硝酸だけが上がっていたという相談も紹介します。生き物は24時間呼吸も排泄もしていて量を止められないため、ろ過の側を足して追いかけるしかないと言います。

定期的に測る: 出ている物質は日ごとに入れ替わり続けるので、動画は定期的に水質を測ることに結びます。ろ過の部分だけを気にして済ませがちだが、生き物がいる以上、水の中は常に変わっている、という言い方です。一度の測定で安心しないこの構えが、この本でいう魚を退避させる判断を間に合わせる手がかりになります。