読む技図鑑
読む目的を決める(読む前に決める)
読む目的を決めるのは、この本から何を持ち帰るかを先に決めてから開くことです。「この本から何を持ち帰るか」を一文にして、開く前にメモへ置きます。資格の範囲のうち第3章だけのように、章や語のレベルまで下ろすと使えます。読み終わりにその一文と照らし、拾えたかどうかだけを確かめます。目的が曖昧なままだとこの技は何も足さず…
下読み(読む前に決める)
下読みは、本文に入る前に全体をひと巡りして見当をつけることです。本文に入る前に、目次と見出しと図表を5分前後でめくります。中身を読むのではなく、どこに何があるかの見当をつけるだけの作業です。数字や結論を覚える必要はありません。この本が何をどの順で言うつもりかを拾ったら、そこで止めて本文は後回しにします。厚い本なら…
読む前に問いを立てる(読む前に決める)
読む前に問いを立てるのは、答えを知る前に問いを作り、当てにいってから読むことです。見出しを見た時点で、その節が答えているはずの問いを自分で作り、答えを当ててから本文に入ります。外れる前提の技なので、当てにいく必要はあっても当たる必要はありません。「この章は費用の話だろう」程度の粗い予想でも成立します。…
目次から地図を作る(読む前に決める)
目次から地図を作るのは、目次と見出しで文章の組み立て方を先につかむことです。目次と見出しを並べて、その文章がどの型で組まれているかを見抜きます。対比・原因と結果・列挙のどれに当てはまるかを章ごとに決め、関係を線でつないだ一枚の図にします。全体をざっと見る下読みとは別で、こちらは文章の骨組みだけを取り出します。…
読まない判断(読む前に決める)
読まない判断は、途中でやめる・最初から読まないと決める見切り方です。読む前に、目的に照らして読む章と飛ばす章を分けます。あわせて「10分読んで拾えるものが無ければ閉じる」のような、やめる線を先に決めておきます。最後まで読む前提を外すだけの話で、本の良し悪しの判定ではありません。開かない章を決めるのも同じ判断なので…
語彙と背景知識(速さと拾い方)
語彙と背景知識は、読む速さの上限を決める、眼ではなく言葉の力です。読む速さを決めているのは眼の動かし方ではなく、語をどれだけ速く同定できるかです。その話題をどれだけ知っているかも、同じくらい効きます。だから速く読みたいなら、分野の言葉と前提知識を増やす側に手を入れることになります。…
拾い読み(速さと拾い方)
拾い読みは、速く通す代わりに細部と推論を捨てる読み方です。各段落の先頭の1文と見出し、図表と章末のまとめだけを目で追い、残りの本文は読まずに送ります。全体の主張と構成はおおよそ手に入りますが、細部と行間の推論は落ちます。速さと引き換えに何を捨てるかを先に決める技なので、捨ててよい場面に限るという条件が付きます。…
速さを切り替える(速さと拾い方)
速さを切り替えるのは、同じ本の中で拾い読みと精読を行き来することです。一冊を同じ速さで通さず、要点を探す区間は拾い読みの速さで送り、必要な箇所に来たら落として一文ずつ読みます。切り替えの合図に使えるのは、読み返しが増えた、いまの段落を言い直せない、といった自分で気づける手がかりだけです。…
読み返し(速さと拾い方)
読み返しは、目が戻る動きのことです。無駄ではなく、理解の修復作業です。戻りたくなったら戻るのを基本にして、目が前の語や行へ向かう動きを止めません。指でなぞって戻りを封じたり、読んだ行を隠して進むやり方は採りません。戻る回数が多い箇所は、そこが自分にとって難しいという印になるので…
内なる声(速さと拾い方)
内なる声は、頭の中で文字が音になって聞こえる現象です。消すと、難しい文でかえって損をします。読んでいるとき頭の中に文の音が浮かぶ現象を、消さずに残して使うという構えです。難しい一文に来たら、声に出さないまま口の形だけで音をたどるか、小さく読み上げて意味を取ります。速さの足かせとして訓練で消すのではなく…
読む量を増やす(速さと拾い方)
読む量を増やすのは、地道に読んだ量を語の処理の速さへ返していくことです。読む速さを上げる練習をするのではなく、量が積み上がる置き方を作ります。持ち歩く一冊を決める、待ち時間や移動でその一冊だけを開く、寝る前は机ではなく枕元に置く、といった形です。冊数の目標ではなく、開く回数が増える置き場所のほうへ手を入れます。…
紙と画面の使い分け(速さと拾い方)
紙と画面の使い分けは、説明文を急いで読むときだけ紙の方が少し有利だという選び方です。同じ内容でも、説明文を時間に追われて読むときだけ紙に回し、物語や下読みは画面のままにします。試験範囲の解説や仕様の文章を締切前に読むなら印刷し、目次で当たりを付ける段階は画面で足ります。差は小さいので、迷うくらいなら手元にある方で読み…
自分の読む速さを測る(速さと拾い方)
自分の読む速さを測るのは、分速何文字かを一度測ることです。ただし目安の数字は当てになりません。タイマーを1分にして、いつも読んでいる本を普段どおりの速さで読みます。止まった行までの行数に1行の文字数を掛けると、分速の文字数が出ます。同じ本でも節によって差が出るため、何か所か測って幅で見ます。…
読んで唱えて見直す(頭に残す)
読んで唱えて見直すのは、一節読んだら本を閉じて口に出し、それから見直すことです。1節分を読んだところで本を閉じ、いま頭にある中身を何も見ずに声に出して言います。言い終えてからページを開き、抜けた箇所と間違えた箇所だけを見直します。読む・唱える・見直すの3つを節ごとに1回ずつ回す形にして…
自分の言葉で言い直す(頭に残す)
自分の言葉で言い直すのは、一区切りごとに書いてない言葉で自分に説明することです。一段落読み終えたところで目を離し、本文に出てこない言葉で中身を自分に説明します。「要するに前の話とここでつながる」と自分に向かって言えれば一区切りです。手順書や機器の操作、数式の解き方でもなぜその順番なのかを声にします。…
同じ主題を何冊かで読む(頭に残す)
同じ主題を何冊かで読むのは、一冊で決めず同じ話題の別の資料と突き合わせることです。同じ話題について、書き手の違う資料を2〜3本並べて読みます。片方にしかない説明、言い方の違い、数字の食い違いに印を付け、どちらが何と言っているかを1枚にまとめます。1冊を読み切ることが目的ではなく…
分かったつもりを検算する(頭に残す)
分かったつもりを検算するのは、読み終えてすぐではなく少し置いてから要点を書き出すことです。章を読み終えても、その場で分かったと決めません。30分から翌日まで置いてから本を閉じ、章の中身を表す語を何も見ずに書き出します。書けた語と出てこなかった語の差が、そのまま分かっていない場所の一覧になります。…
間をあけて再読する(頭に残す)
間をあけて再読するのは、続けて2回読まず日をまたいでもう一度読むことです。同じ文章を2回読むなら、続けて2回ではなく日を分けます。1回目を読んだ日付を目次の脇に書き、数日後に同じ節を開きます。2回目は頭から通さず、見出しを見て思い出せない節だけを拾う形にします。決めるのは読む回数ではなく、いつ読むかのほうです。…
読書メモ(頭に残す)
読書メモは、書くこと自体より、あとで見返す前提で書くかどうかが分かれ目です。読みながら気になった所を書き留め、いつどこで見返すかまで先に決めておきます。抜き書きを並べるのではなく、ページ番号に自分が思ったことを一言添えます。置き場所は一つにまとめるのが前提で、探せない所に散らすと見返しが起きません。…
要約を書く(頭に残す)
要約を書くのは、短くまとめることです。ただし書き方を習っていないと効きにくいです。一章を読み終えたら本を閉じ、要点だけを自分の文で短く書き直します。原文の文を抜き出してつなぐのではなく、何を残して何を捨てるかを決める作業が中心になります。字数を先に決めると、選んで捨てる判断がいやおうなく起きます。…
論文の読み方(本以外を読む)
論文の読み方は、頭から順に読まず、要旨・図表・方法の順に必要な所だけを取ることです。頭から順に読まず、要旨で主題と結論をつかみ、図表で結果の大きさを見て、必要になったら方法へ戻ります。先に自分の知りたいこと(効くのか、誰に効くのか、どれくらいか)を決めておくと、戻る場所が決まります。…
契約書と規約の読み方(本以外を読む)
契約書と規約の読み方は、読みにくさの正体を内容ではなく文の入れ子だと捉えることです。読めない一文に当たったら、内容を疑う前に文の形を見ます。主語と述語の間に長い定義やかっこ書きが挟まっている所を探し、その挟まりを外へ出して短い文に割ると、書かれている条件が並びます。「ただし」「除く」の位置にも印を付け…
横読み(本以外を読む)
横読みは、そのページを読み込む前に外側で出どころを調べることです。目の前のページを読み込む前に、いったん離れて外側を調べます。書いた人と運営元の名前を別のタブで検索し、他が何と言っているかを先に見ます。自己紹介だけで判断せず、外からの記述をいくつか集めてから本文に戻る順番にします。本文を読むのは…
図表を読む(本以外を読む)
図表を読むのは、軸と単位と比較の相手を先に見てから線を見ることです。線や棒の形を見る前に、縦軸と横軸の目盛りを読みます。単位と起点がゼロかどうかを確かめ、何と何を比べた図かといつの期間かを言える状態にしてから、形の話に入ります。表であれば合計と分母を先に探し、それから中の数字を見ます。凡例と注記も、形より先に読みます。…
コードを読む(本以外を読む)
コードを読むのは、文章のように上から読まず動く順にたどっていくことです。ファイルを1行目から順に追うのをやめて、入口を1か所だけ決めるところから始めます。実行が始まる関数や、画面のボタンが押されたときに呼ばれる処理を選び、そこから呼び出し先へ飛び、戻ってきたら次の分岐へ進みます。たどった順番は短いメモに残し…
字幕をつけて見る(本以外を読む)
字幕をつけて見るのは、音と同じ言語の字幕を出して聞き取りを文字で支えることです。動画の設定で、音声と同じ言語の字幕を出します。英語の音声なら英語の字幕で、日本語に訳した字幕とは別のものとして扱います。聞き取れなかった語がその場で文字として見えるので、巻き戻して聞き直す回数が減ります。知らない語に出会ったら一度止めて…
耳で読む(本以外を読む)
耳で読むのは、全体の理解では読みと変わらない聴き方です。推論を問われる場面では、読みの方が有利になります。同じ内容を、文字で読む代わりに音声で聞きます。移動中や家事の合間を使えるので、読む時間が取れない場面の代わりになります。ただし全部を耳に置き換えるのではなく、通しでつかむ回は聞いて…
倍速で聴く(本以外を読む)
倍速で聴くのは、1.5倍までなら損が小さい聴き方です。それより速くすると成績が落ちます。講義の動画や録音を、再生の速さを上げて聞きます。上げ幅は1.5倍あたりまでにとどめ、そこから先は成績の落ち方が大きくなります。初めて触れる内容では下げ、一度聞いた復習では上げるという使い分けにします。速さを上げて浮いた時間は…