図表を読む

本以外を読む

軸と単位と比較の相手を先に見てから、線を見る

どんな技?

線や棒の形を見る前に、縦軸と横軸の目盛りを読みます。単位と起点がゼロかどうかを確かめ、何と何を比べた図かといつの期間かを言える状態にしてから、形の話に入ります。表であれば合計と分母を先に探し、それから中の数字を見ます。凡例と注記も、形より先に読みます。図の題と本文のどちらに条件が書かれているかも探します。

なぜ効くのか

同じデータでも表し方を変えると読み取りが変わります。人は形を先に見て意味を当てはめるので、自分の予想に合う読みが通りやすくなります。軸と分母を先に読むのは、形が与える印象より先に条件を確定させる順番の入れ替えです。形は一瞬で入ってくるので、意識してあとから見る順にします。役割は分かったつもりを検算すると同じです。

やり方

図を見たら、軸の名前と単位・目盛りの起点・比較の相手・期間の4点を確認します。次に割合か実数か、分母は何かを見ます。軸が2本ある図は、どちらの線がどちらの軸かを確かめます。最後に本文の説明と図が同じことを言っているかを突き合わせます。研究の図なら論文の読み方と合わせ、効果量の桁も見ます。慣れれば20秒ほどで一巡します。

はまりどころ

誤読の型は決まっています。縦軸を途中から始めた図は差が大きく見え、割合と実数の混同は増減の向きまで変えます。図が正しくても、そこから原因は言えません。作り手が何を見せたいかは、選ばれた軸と期間に出ます。手順の効き目は比べられていないので、これは誤読の型への備えで、読み取りの力が上がるかどうかは分かりません。

確かめられ方

Shah と Hoeffner 2002 の総説は、図表の解釈が見た目の形式、読み方の知識、内容についての予想の3つに左右されると整理しています。扱われているのは学生を中心とした実験群で、材料は折れ線や棒などの基本的な図です。「軸と単位を先に確かめる」という手順そのものを比べた実験は見つからず、効き目は分かっていません。

解説動画(海外・英語): How to spot a misleading graph - Lea Gaslowitz/TED-Ed

数字は争いにくい: 歯みがきの宣伝のような大げさな言い分には慣れていても、そこにグラフが付くと話が変わります。図は意見ではなく数字だから争えない、と感じてしまうからです。ところがグラフには、誤解させる作り方も、はっきり操る作り方もあると前置きされ、見るべき点が順に挙げられていきます。

縦軸の切り詰め: いちばんよく使われるのが目盛りの細工です。ある車の宣伝は、まだ走っている割合を98%と示し、比べた相手より倍も丈夫に見えました。ところが目盛りは95から100までしかなく、相手は96%台でした。ゼロから引き直すと差は消えます。棒グラフではとくに危ないのは、棒の長さの比を値の比だと思うからです。

期間の選び方: 横軸でも同じことが起きます。ある折れ線は目盛りの間隔をそろえず、長い期間を短く詰めて見せていました。点を等間隔に取り直すと、後半は勢いが収まって見えます。大きな出来事の直後から始める、都合のよい点だけを拾って間の動きを隠す——これらはつまみ食いと呼ばれます。

抜けている前提: 図そのものに嘘が無くても、要る数字が抜けていれば誤解させます。ある催しの視聴者数は年々伸びて見えましたが、人口の増えかたを入れていない図でした。見る人の数は増えても、全体に占める割合は変わっておらず、割合で見れば横ばいでした。実数と割合は別物だという例です。

大きさの意味: 同じ海水温のデータから、正反対に見える二つの図が作れます。年ごとの平均を並べた図はほとんど動かず、変化の幅を描いた図は大きく動きます。わずかな差でも生き物への影響が大きいので、後者のほうが意味を持つと説明されます。だから見出し・数字・目盛り・前後の事情を先に見て、この絵は何を語らせたいのかを問います。