読む前に問いを立てる
読む前に決める
答えを知る前に問いを作り、当てにいってから読む
どんな技?
見出しを見た時点で、その節が答えているはずの問いを自分で作り、答えを当ててから本文に入ります。外れる前提の技なので、当てにいく必要はあっても当たる必要はありません。「この章は費用の話だろう」程度の粗い予想でも成立します。答えを読む前に一度自分の言葉で言うところが中身で、頭の中で済ませてもかまいません。
なぜ効くのか
先に答えを取り出そうとすると、本文が答え合わせとして入ってきます。しまう作業と取り出す作業の順序が入れ替わり、符号化と想起のうち取り出す側を先に置く形になります。メタ分析でも問いで扱った内容の記憶が上がっています。習う前にまず解いてみる先に解いてみると同じしくみを、読む場面へ持ち込んだものだと言えます。
やり方
見出しごとに1つか2つの問いを作り、30秒ほどで自分の答えを口に出すか書きます。それから本文を読み、当たり外れをその場で見ます。外れた箇所には印をつけ、節の終わりで答え合わせをするまで通します。答え合わせを省くと、自分が外した答えのほうが残る使い方になってしまいます。問いは紙の端に書いておけば、節を出たあとでもまとめて見返せます。
はまりどころ
効いたと確かめられているのは問いで扱った内容だけです。問いに関係しない部分はほとんど変わらず、メタ分析の効果量はg=0.04でした。だから「先に問いを立てれば本全体が分かる」とは言えません。問いを増やすほど読む前に時間を使うので、見出し1つに1問あたりで止めておくのが現実的です。見出しから離れた問いを作ると、答えが本の中に無いことも起きます。
確かめられ方
St. Hilaire らが2023年に出したメタ分析では、問いで扱った内容がg=0.54、扱わなかった内容がg=0.04でした。効果量の数は97件と91件で、材料は実験室の短い課題文が中心です。著者自身が教室での検証を今後の課題に挙げており、Pan と Carpenter の2023年の総説も同じ整理をしています。
解説動画(海外・英語): KWL Charts in ESL | Teacher Val/Teacher Val
三つの欄に分ける: 教える側に向けて、読む授業の組み立て方を実演する回です。黒板に三列の表を引き、左から知っていること、知りたいこと、分かったことと見出しを付けます。教科書や物語、新聞記事に使う道具だと紹介され、前の二列は読む前に、右の一列は読んだ後に埋めます。狙いは目的を持って読むことだと述べられます(読む目的を決める)。
間違いを残す: 最初の欄には、思いついたことをそのまま書かせます。南極を題材にした例では「とても寒い」「氷が多い」「ペンギンがいる」に混じってホッキョクグマがいるという誤りが出ますが、その場では正しません。読み進めるうちに自分で気づくか、後で直すことになるからだと動画は言います。
問いを先に並べる: 次に、その題材について知りたいことを問いの形で書かせます。南極なら「どれくらい寒いのか」「国なのか島なのか」「どんな動物がいるのか」「人は住んでいるのか」。授業の側も「都市か、国か、島か」と同じ問いを掲げ、読んで確かめようと言ってから本文へ進みます。問いが並んだ状態を作るまでが読む前の工程です。
本文が答えていく: それから本文を読みます。「国なのか島なのか」には南極は大陸だという一節が当たり、「どれくらい寒いのか」には1983年に氷点下89.2度という一節が当たります。動物の問いにはクジラとアザラシ、コウテイペンギンが出てきます。動画は読みながら真ん中の欄へ戻り、出した問いに答えが付いたかを確かめるよう促します。
最後に照らし合わせる: 読み終えたら右の欄に分かったことを書き、真ん中の問いに戻って答えがそろったかを見ます。ここで最初の欄の誤りを消すので、どこを取り違えていたかが見えます。答えを先に当てにいく形までは踏み込みませんが、問いを立てて読み、後で照らす骨組みはここに揃っています(答え合わせをする)。