分かったつもりを検算する
頭に残す
読み終えてすぐではなく、少し置いてから要点を書き出す
どんな技?
章を読み終えても、その場で分かったと決めません。30分から翌日まで置いてから本を閉じ、章の中身を表す語を何も見ずに書き出します。書けた語と出てこなかった語の差が、そのまま分かっていない場所の一覧になります。読み直すのはずれた章だけで、書けた章はそのまま次へ渡します。書き出しは3分ほどで切り上げ、開いてから抜けを照らし合わせます。
なぜ効くのか
読んだ直後は文がまだ頭に残っていて、その残りかすを理解と取り違えます。時間を置くと文そのものが薄れ、わかった気の元になる読みやすさの記憶も残りません。置くのは翌日でも遅くありません。そこで要点を自分で作れば、取り出せるかどうかで判断することになります。読み終えた直後の自信は当たり具合と結びつきにくく、判定を遅らせる覚えたかを後で見きわめると同じ構えです。
やり方
読み終えた章はいったん閉じ、別の作業をはさんで30分以上、できれば翌日まで待ちます。それから何も見ずに、章を表す語を5個前後書きます。次に「この章は人に説明できるか」を5段階で自分に採点し、開いて答え合わせをします。採点と実際のずれが大きい章に印を付けておきます。量を増やすなら白紙に書き出すの形に寄せます。
はまりどころ
読んだ直後にやるとこの効き目は出ません。直後に書き出した群では、見積もりの当たり具合が変わらなかったと報告されています。画面で読むより紙で読んだときのほうが見積もりは当たりやすい、という報告もあります。改善するのは自分の理解度の判断で、理解そのものが伸びる話ではありません。分かりやすい解説を読んだ心地よさを効き目と取り違える側はわかりやすさを効き目と取り違えるが扱います。
確かめられ方
Thiede, Anderson, Therriault 2003 では、時間をおいてからキーワードを書いた群だけ、自分の理解度の見積もりが実際の成績に近づきました。Thiede ら 2005 ほかで同じ向きが再現しています。対象は大学生と課題文で、Clinton 2019 は画面より紙で読んだときのほうが見積もりが正確(g=0.20)と報告しています。
解説動画(海外・英語): Can Adults Really Judge Their Own Learning Accurately? Here’s the Truth #267/stay curious radio
理解を自分で測る: 読んだ文章をどれだけ分かったかを自分で見積もる働きを、論文を一本ほどいて追う対談です。動画はこれを、何を覚えているかの見積もりとは別のものとして切り分けます。読んでいる最中と読み終えた直後の手ごたえがどれだけ当たるかで、次に読み直す文章の選び方まで変わると述べ、メタ認知の一部に置きます。
見分けがつかない: 確かめ方は、大学生に何本かの文章を読ませ、一本ごとにテストでどれくらい取れるかを答えさせ、あとで実際の点と突き合わせる形です。文章の間で出来の並び順が合っているかを見た総まとめでは、相関はプラス0.27どまりでした。どれを分かっていないかの見分けがついていない、と動画は言います。
読みやすさの罠: では何を手がかりに判定しているのか。動画は題材への馴染み、文章の追いやすさ、読み終えた直後にどれだけ思い出せたかを挙げます。整った文章ほど自信は上がるのに、理解は同じだけ上がりません。すらすら読めた感じは理解の証拠にならない、というのが動画の言い方です(わかりやすさを効き目と取り違える)。
錨は過去の自分: 判定の出発点は目の前の文章ではなく、自分は読める側だという思い込みだと動画は言います。教室での調査で次の試験の予想を動かしていたのは前の試験でどう感じたかのほうで、実際の点数ではありませんでした。何を問われるか分からないほどこの錨に頼るので、文章の難しさを変えても予想はあまり動きません。
問われ方に寄せる: 当たりを良くする道として、判定のしかたを問われ方に近づける考えが紹介されます。文章全体の手ごたえで答えるかわりに個々の語を思い出せるかを一つずつ予想させると、分かっている所とそうでない所の見分けが良くなりました。それでも完全ではない、と動画は付け加えます(思い出す練習)。