拾い読み
速さと拾い方
速く通す代わりに、細部と推論を捨てる読み方
どんな技?
各段落の先頭の1文と見出し、図表と章末のまとめだけを目で追い、残りの本文は読まずに送ります。全体の主張と構成はおおよそ手に入りますが、細部と行間の推論は落ちます。速さと引き換えに何を捨てるかを先に決める技なので、捨ててよい場面に限るという条件が付きます。資料の当たりを付ける段階や締切前の下見が向いていて、覚えるための読みには使いません。
なぜ効くのか
説明文は主張が見出しや段落の先頭へ寄せて書かれているので、そこだけ拾っても重要な考えは残ります。一方で行間を埋める推論は読み手が自分で組む作業なので、飛ばせばその分はそのまま抜け落ちます。時間が足りないとき、作業記憶に載せる対象を要点へ絞る配分の技だと考えると、何が残って何が落ちるのかの区別が付きます。要点が前に無い文章では、拾える量そのものが減ります。
やり方
何を取りに来たかを読む目的を決めるで先に固め、目次から地図を作るの手順で見出しの並びを押さえます。次に各段落の1文目と図表、章末のまとめだけを一定の速さで送り、1章あたり数分を目安に切ります。目的に当たる箇所が来たらそこで止め、いつもの速さへ戻す形で読み直します。飛ばした章には印だけを残し、必要になってから戻る順番を決めます。
はまりどころ
細部が要る材料、たとえば契約書や数式や手順書では拾い読みが向きません。練習すれば落ちる分が戻るという報告は無く、眼を速く動かす速読術の宣伝と同じものではありません。読んだ後に要点を言い直せるかは分かったつもりを検算するで別に確かめ、言えなければその回は失敗と見なします。目的が決まらないまま速く送ると、何も残らず読んだ気だけが残ります。
確かめられ方
Duggan と Payne 2009 の3つの実験では、時間を制限した拾い読みが重要な考えの記憶を助け、細部と行間の推論のほうは助けませんでした。材料は実験室で読ませた文章で、時間が足りない条件に限った話です。Rayner ら 2016 の総説も、理解を保ったままの高速化は難しいとまとめています。落ちる分が練習で戻るかは、調べられていません。
解説動画(海外・英語): IELTS Reading - Skimming and Scanning/Distinct Motion Media
時間が敵になる: 動画は英語試験の読解を材料に、1時間で40問という制約から話を始めます。時間は味方にも敵にもなり、必要な中身へ速く辿り着けるかで結果が変わると述べます。そこで身につけるのが、大づかみに取る拾い読み、狙った中身を探す探し読み、一語ずつ読む精読の三つで、順に重ねて答えへ寄せる構えを取ります。
大づかみに取る: 拾い読みは全体の考えだけを取りに行く読み方で、動画は三つの手を挙げます。文章の上へ目を走らせて意味の見当をつけ、そのとき分からない語で止まらないこと、止まっても速さが落ちるだけだと言います。最初と最後の段落と、あれば要約を読むこと。そして各段落の主題文、いちばん大事な一文をはっきり見ることです。
狙って探しに行く: 探し読みは、狙った中身だけを見つけに行く別の動きです。動画はまず問いを読んで鍵になる語を決めよと言います。読む目的を決めるのと同じで、何を取りに来たかが先です。あとは語を頭に置いたままページを前後上下へ目で追い、読む作業から探す作業へ切り替えます。例に出るのは国の数を答える問いで、数字なら形で目立ちます。
最後は一語ずつ: たどり着いた段落では、最後に速さを落とします。動画は一語ずつ読み直し、文ごとに全体の意味をよく考える段をあらためて置きます。つまり答えが出るのはここで、拾い読みと探し読みは当たりを付けるまでの役だという組み方です。拾って探し、止まってから読む——この順番が動画の骨組みです。
飛ばした跡を残す: 締めくくりは二つの助言です。拾い読みは場所から場所へ飛び移る動きだから、全部の語を読む必要はない、飛ばしてよい箇所は飛ばす。探し読みのほうは、答えがありそうな場所の余白に印や問いの番号を書いておく。後から呼び戻せるようにしておけ、というのが最後の一言です。飛ばした場所を覚えておくところまでが手順です。