自分の言葉で言い直す

頭に残す

一区切りごとに、書いてない言葉で自分に説明する

どんな技?

一段落読み終えたところで目を離し、本文に出てこない言葉で中身を自分に説明します。「要するに前の話とここでつながる」と自分に向かって言えれば一区切りです。手順書や機器の操作、数式の解き方でもなぜその順番なのかを声にします。20秒ほど言葉が出てこない箇所が読めていない場所なので、そこは段落に戻って言い直します。

なぜ効くのか

言い直すには、読んだ文と自分の知っていることを突き合わせなければなりません。この作業で文と文の間の抜けが埋まり、ばらばらの記述がつながった形になります。詰まる箇所は分かっていない場所そのもので、そこで生じる引っかかりは望ましい困難の側にあたります。楽に読めた実感より、詰まった数のほうが目印になります。

やり方

段落か小見出しごとに止まり、20〜30秒で「何の話か」「前とどうつながるか」「自分の場面ではどれか」の3つを言います。促す言葉を先に決めておくと続きます。区切りは章ではなく段落に置き、まとめて後でやらないようにします。相手がいるつもりで話すと口が動きやすく、教えるつもりで学ぶと地続きになります。書く形にするなら2〜3行で足ります。

はまりどころ

本文をなぞって言い換えるだけでは、この技になりません。語尾を変えた読み上げは手応えだけを作ります。促す言葉を決めないままだと読み流しに戻りやすいので、問いの形で紙に貼っておきます。前提の知識がまったく無い分野では説明が組めないため、そこは先に用語を覚える段階です。短くまとめる作業は要約を書く、理由を足して覚える側はなぜと問うが扱います。

確かめられ方

Bisra ら 2018 のメタ分析は64報告・69の効果量をまとめ、自己説明を促した群の効果量がg=0.55だったと報告しています。課題・教科・学年・促し方など20の条件で分けても、向きは変わりませんでした。ただし効果が出ていたのは説明するよう指示された条件で、指示なしに自分でできるかは示されていません。

解説動画(海外・英語): Jordan Peterson - How to Remember Everything You Read/Better Chapter

講義は聞いてから: 本や講義のノートをどう取るかという問いへの答えです。講義の最中に書くのはやめてまず聞くことに徹し、終わってから書けばよいと述べます。書きながら聞いていると講義そのものを聞いていないからで、後から書けば思い出す作業を通ることになるという理由づけです。分野によっては当てはまらないと断ったうえで、自分の学生にはそう伝えていると言います。

線は引かない: 本のほうは、読むこと自体は勧めますが線を引いたり下線を入れたりはしないと言い切ります。手を動かした気になるだけの見せかけの作業だという評価で、線を引く・色を塗るを正面から退ける立場です。代わりに置かれるのが、少し読んだところで本を閉じ、頭にあるものを出すという手順になります。

数段落で本を閉じる: 進め方は具体的です。二、三段落、本の密度によっては一編ぶんを読んだところで本を閉じる。そのうえで考え、いま考えていることを書き出します。覚えている中身も書きますが、あくまで自分がいま考えていることの文脈で書く。そうすることで中身が記憶に据わり、すぐ取り出せる場所に置かれると述べます。

知っている考えに繋ぐ: 頭の中で何をしているかも語られます。面白い考えだと思ったら、自分が知っている他の考えとどう関わるか、この考えにとってどんな意味を持つか、自分はそれを信じるか、どう批判できるかを順に当てていく。そうやって五通りの引っかかりを付けたものは自分の一部になる、という言い方です。

自分の文に組み直す: 読む作業と書く作業を分けて、読む・考える・書くの順に置けと結びます。一文読んでその一文をそのまま書き写すのは助けにならず、読んだら本を閉じ、自分の文になるよう組み直す。見覚えがある状態と自分から思い出せる状態は別のものだとして、符号化と想起の想起の側を通すことが理解にもつながると述べます。