読む目的を決める

読む前に決める

この本から何を持ち帰るかを先に決めてから開く

どんな技?

「この本から何を持ち帰るか」を一文にして、開く前にメモへ置きます。資格の範囲のうち第3章だけのように、章や語のレベルまで下ろすと使えます。読み終わりにその一文と照らし、拾えたかどうかだけを確かめます。目的が曖昧なままだとこの技は何も足さず、細かすぎると外側が丸ごと落ちます。読む前の1分で終わる手当てで、道具も要りません。

なぜ効くのか

目的に関係づけられた箇所には注意が多く割かれ、そこの記憶が上がるという報告が並びます。裏返しに、関係しない箇所の記憶は下がるという結果も同じ研究群から出ています。全体の理解が底上げされるのではなく、注意の配り方が変わる技だと考えたほうが実際に近いです。いま自分がどこを見ているかを見張るメタ認知の入口にもなります。

やり方

開く前に一文で目的を書き、目次を見てその目的に関わる章へ印をつけます。読みながら、印のない箇所は速度を落とさずに通します。読み終えたら目的の一文の下に、拾えた中身を2、3分で書き出します。何も書けないときは、目的の外の本だったのか、目的が粗すぎたのかを見ます。目的を疑問文にすると読む前に問いを立てるにつながります。

はまりどころ

目的を狭く決めるほど、その外側は落ちます。目的の外を捨てた代償は拾い読みと同じで、後から必要になったときに抜けたことに気づけません。初めて触る分野では何が重要かの見当がまだ無いので、目的は仮のものとして途中で書き換える前提にします。効くと確かめられているのは目的に沿った部分の記憶で、本全体の理解ではありません。

確かめられ方

McCrudden と Schraw が2007年にまとめた総説は、読む前に渡された関連性の教示で関係する箇所の記憶が上がる報告を並べています。同じ研究群では関係しない箇所の記憶は下がり、材料は与えられた課題文と短い教示が中心でした。読み手が自分で目的を立てた場面まで同じ効き目が出るかは、この総説の範囲の外です。