同じ主題を何冊かで読む
頭に残す
一冊で決めず、同じ話題の別の資料と突き合わせる
どんな技?
同じ話題について、書き手の違う資料を2〜3本並べて読みます。片方にしかない説明、言い方の違い、数字の食い違いに印を付け、どちらが何と言っているかを1枚にまとめます。1冊を読み切ることが目的ではなく、食い違いを見つける作業がこの技の中身です。読む順は易しいほうからで、印は付箋か余白のメモで足ります。同じ日にまとめて読む必要はありません。
なぜ効くのか
1冊だけで進めると、その著者の並べ方をそのまま覚える形になります。別の資料と突き合わせると同じ事実に別の説明が付く場面が出てきて、どちらが何を根拠にしているかを自分で決めなければなりません。この判断をはさむと、原因と結果を問われたときに答えられる形へ近づきます。一冊の中の矛盾は見落としやすく、本をまたぐと食い違いのほうが目に入ります。
やり方
入門の解説、詳しい教科書、元になった資料や統計を1本ずつ用意します。同じ節を続けて読み、共通する部分と食い違う部分を2列に分けて書き出します。食い違いが出たら日付と出どころの新しさを見ます。数字や図そのものの読み取りは図表を読むの側で、公開された資料の範囲から始めれば買い足しは要りません。章の対応は目次で取ります。
はまりどころ
冊数を増やせば理解が増えるわけではありません。同じ中身の入門書を3冊読むと、突き合わせる材料が無いまま時間だけ減ります。だから2本目は立場の違う資料にします。初めての分野で何本も同時に開くと認知負荷が重くなるので、1本を通したあとに足します。出どころの信用を確かめる手順は横読み、量そのものの話は読む量を増やすが担当です。
確かめられ方
Wiley と Voss 1999 は、同じ史実を教科書の形で読んだ群より複数の資料から自分で書いた群のほうが、因果を問う課題に強かったと報告しています。Barzilai ら 2018 の系統的レビューは、指導の型ごとに結果が違うと整理しています。材料は歴史や科学の課題文が中心で、何本読めばよいかという分量は調べられていません。
解説動画(海外・英語): Research Synthesis/USU Libraries
継ぎ合わせる作業: 動画は、資料を集め終えたあとに来る仕事を継ぎ合わせと呼びます。複数の資料から取り出した断片を組み合わせて新しい一枚の絵を作るパズルのようなものだと例え、合わない場所へ無理にはめれば読み手に見抜かれると釘を刺します。どう並べるかで、そこから立ち上がる話も変わってくる、とも述べます。
要約では足りない: この作業は、資料を一本ずつ要約を書くところから先へ進みます。並べて比べるだけ、良し悪しを言うだけ、引用を並べるだけでも届きません。動画は、自分の言い分を足すために継ぎ合わせるのだから、書き上がった文章の中で自分の声がいちばん強く響く状態にしておくよう求めます。
話題の会話を探す: 取りかかる前に、その話題でどんな会話が交わされているかを見つけます。記事を次々に読むうちに繰り返し現れる主題や小さな論点に気づくはずで、そこを読書メモに残しておくと後の組み立てが楽になると言います。研究の強いところ、弱いところ、抜けているところまで見分ける読み方が要る、とも述べます。
資料順に並べない: うまくいかない人の多くは、文章を資料ごとに一節ずつ並べてしまう、と指摘します。必要なのは考えごとに並べる形です。共通して現れる主題から自分の柱を決め、その柱をめぐって何が語られているかを書きます。その会話を本当に知るには複数の立場から見ておくしかない、と動画は言います。
表にして見比べる: 道具として挙がるのが一覧表です。考えごとに並べ、資料の隣へ自分の見立てを書き添えると、資料どうしの自然なつながりが見えてきます。空欄があってかまいません——そこは自分が言える場所です。ただし一つの柱に資料が一本だけなら調べ足りない合図で、柱ごとに二本以上あって初めて意味のあるやり取りになる、と結びます。