読む量を増やす

速さと拾い方

地道に読んだ量が、語の処理の速さに返ってくる

どんな技?

読む速さを上げる練習をするのではなく、量が積み上がる置き方を作ります。持ち歩く一冊を決める、待ち時間や移動でその一冊だけを開く、寝る前は机ではなく枕元に置く、といった形です。冊数の目標ではなく、開く回数が増える置き場所のほうへ手を入れます。読む物の水準は下げてよく、雑誌や薄い新書のような楽に読める本も量に数えます。

なぜ効くのか

読んだ量が多い人ほど読解や語の処理の成績が高いという相関が、多くの研究で同じ向きに出ています。読み慣れた語は見た形から意味へ直に届くようになると考えられ(自動化)、拾える手がかりが増えます。ただし読めるから読むという逆向きの循環も同じ相関を作るので、量が原因だとは決められません。読むうちに背景知識も増えるので、次に読む本の中身が推測しやすくなる面もあります。

やり方

一日のうち読む時間を先に置き、十五分から三十分を毎日同じ場面へ差し込みます。難しすぎる本で止まるより、辞書なしで進む水準の本を並べて量を確保し、専門書はそのうちの一冊に留めます。読み終えられない本は読まない判断へ回し、途中で降りた記録だけを残します。同じ本を一週間以上開かなければ、場面が合っていないと見て入れ替えます。

はまりどころ

量を積めば速くなるとは言えず、練習で伸びる幅は控えめだと総説は書いています。年間の冊数を目標にすると、目を通しただけの本まで数に入り、わかった気の側へ寄ります。読んだ量を積むこと自体は、語彙と背景知識が育っていく道筋として見るほうが正確です。読める人がもともと多く読んでいる、という順番が逆の説明も混ざっています。

確かめられ方

Mol と Bus 2011 は99の研究をまとめ、読書量が読解や語の処理と中から強の相関を示すと報告しました。大学生の標本では言葉の力の分散の34%を読書量が説明しますが、これは読解そのものの値ではないという点に注意が要ります。中心は相関研究で、著者自身が読める人がより読む上向きの循環として説明しています。