育てる作物図鑑
リーフレタス(葉物)
魚が出す養分だけで最後まで育ちます。植えてから3〜4週で採れて、立ち上げ途中の薄い水でも形になる、この系で最初に選ばれてきた作物です。養分の要求が低く、硝酸がまだ薄い立ち上げ途中の水でも形になります。FAO 589 は葉物を床1m²あたり1日40〜50gの給餌で釣り合う側に置き…
小松菜(葉物)
まいて20日台で採れることもある、回転の速い葉物です。ただし秋冬まきでは80〜90日かかり、同じ作物でも季節でまるきり日数が変わります。日本種苗協会の栽培資料では生育適温18〜20℃前後、5℃以下と35℃以上で生育が抑えられるとされ、冬の側にかなり寄れる葉物です。土壌酸度の適応はpH5.2〜6.8で…
水菜(葉物)
大株にせず、小さいうちに採るほうがこの系に合います。株を大きく育てると床の面積を長く占めるため、密に植えて早めに抜く形が回りやすくなります。株の大きさを選べるのが利点です。日本種苗協会の秋まきは1株2〜3kgの大株どりで、晩夏にまいて初霜のあとに採るまで床を数か月ふさぎます。小さいうちに抜けば…
チンゲンサイ(葉物)
養分の要求が低く、葉物の中でも早く形になります。低温にあたった株は暖かくなると一気にとう立ちするので、春先は早めに採る判断が要ります。FAO 589 は養分要求の低い葉物として、レタスやチャード、クレソンと並べてパクチョイを挙げています。日本種苗協会は生育適温を15〜25℃前後、適応の幅は広いとしていて…
サンチュ(葉物)
外側の葉をかき取れば、一株から何度も採れます。結球しないので床の入れ替えが少なく、収穫のたびに新しい葉が出る点が小さな系に向きます。非結球のリーフ型なので、FAO 589 が書く株ごと抜かずに葉を1枚ずつ摘む収穫ができます。床を空けないまま採り続けられるぶん、収穫のたびに苗を用意しなくて済みます。…
ケール(葉物)
レタスより多くの養分を欲しがる、葉物と果菜のあいだにいる作物です。葉の色は真っ先に鉄の不足を映すので、pHと合わせて見ます。FAO 589 はケールを、カリフラワーやブロッコリー、キャベツと同じ中程度の養分要求に置いています。低要求のレタスやチャードとは別の側で、立ち上げ直後よりも…
スイスチャード(葉物)
暑さにも寒さにも耐え、長く採り続けられる葉物です。株を残して外葉から収穫できるので、床を空けずに一度植えれば季節をまたいで採れます。FAO 589 は三つの床の型すべてでよく育つとしています。硝酸の要求は中程度で、カリウムとリンは果菜より少なくて済むため、魚由来の養分と釣り合いやすい作物です。…
クレソン(葉物)
もともと流れる水に生える植物です。冷涼な気候を好むため冷水性の魚と組みやすく、伸びすぎると床を覆うので、間引きながら使います。FAO 589 は養分要求の低い葉物の並びにクレソンを挙げています。半水生で、水耕そのものが自生地に近い作物です。ニジマスのように低い水温を好む魚とも季節が合います。…
葉ネギ(葉物)
根元を残して刈れば、同じ株から何度も伸びてきます。多年生で養分の要求も低いため、床の隅を長く任せる役に向きます。多年生なので、根元を残して刈れば同じ株から伸び直します。日本種苗協会は土壌酸度の適応をpH5.7〜7.4、最適を6.5前後としていて、系を6〜7に置く帯とそのまま重なります。…
空心菜(葉物)
水温が高い季節にだけ、勢いよく伸びる葉物です。発芽適温が25〜30℃と高く、温水性の魚を飼っている夏の系でしか本来の勢いは出ません。高い温度のときだけ働く作物です。発芽適温は25〜30℃、10℃で生育が止まり、霜に当たれば枯れます。水面に茎を浮かせて根を大量に出す性質から、水質の浄化にも使われてきた植物です。…
ホウレンソウ(葉物)
葉物の中では、この系でつまずきやすい側です。水温が25℃を超えると根が傷みやすく、とう立ちも早いので、涼しい時期に限る作物として扱います。日本種苗協会は生育適温15〜20℃、25℃以上で生育が抑えられるとしています。発芽も25℃以上で率が落ちます。耐寒性は強く、−10℃にも耐えます。涼しい季節に限れば育ちますが…
キャベツ(葉物)
育たないのではなく、床を長くふさぐのが問題になります。同じ床で葉物を何回転できたかと並べると、この作物の重さが見えてきます。FAO 589 は定植から45〜70日、1m²に4〜8株と置いています。リーフレタスは24〜32日で1m²に20〜25株なので、同じ面積の使い方がまったく違います。養分の要求が高く…
ミニトマト(果菜)
葉物より3割ほど多い養分が要り、足りない分は水の外から補います。カルシウムが届かないと実の尻が黒くくぼむので、実の形が最初の合図になります。立ち上げから2〜3か月がたち、ナイルティラピアのような温水の魚が育って餌の量が増えた系なら、実まで行きます。FAO 589 は床1m²あたりの餌の量を葉物40〜50g/日…
キュウリ(果菜)
伸びるのが速く、そのぶん水から養分を持っていきます。つるを支える棚が要り、株間を30〜60cm取るので、床の面積をまとめて使う作物です。FAO 589 は、根が大きく張るのでメディアベッドに向く作物としています。DWC(浮き床の水耕)でも育ちますが、NFT(薄膜水耕)は根が伸びすぎて詰まるとも書いています。…
ピーマン(果菜)
一度実り始めると、秋まで採り続けられます。25〜30℃を好み、60日ほどで最初の実が付きますが、カリウムとカルシウムは途中で足りなくなりがちです。FAO 589 はメディアベッド向きとし、11cm径のパイプならNFT(薄膜水耕)でも支柱を足せば育つとしています。硝酸20〜120mg/Lが初期の茎葉を作る範囲で…
ナス(果菜)
株が大きくなるほど、水から吸い上げる量も増えます。長く採れる代わりに床を占め続けるため、魚の数と餌の量が見合っているかで決まります。FAO 589 は、根が深く張るためメディアベッドに向くとし、1株から10〜15果、合わせて3〜7kgという数字を挙げています。窒素とカリウムの要求が高いので、株数は床の広さではなく…
イチゴ(果菜)
養分よりも、温度で決まる作物です。実を付けるには涼しい時期が要り、鉄とカリウムは水だけでは足りなくなりやすいので、葉の色を見ながら補います。魚の水だけでは足りず、鉄とカリウムを足す前提の作物です。FAO 589 はイチゴを養分要求の高い組に置いています。床は根が張れるメディアベッドが合い…
サヤインゲン(果菜)
マメ科ですが、この系では窒素を自分でまかなうとは限りません。培地に根粒菌がいなければほかの果菜と同じく水から養分を取り、45日ほどで莢が付きます。FAO 589 はマメ科を養分要求の低い組に入れ、立ち上げ直後の系にすすめています。ただし根粒は、根粒菌が培地にいて感染したときにだけできる器官です。まわりの硝酸が高いと…
ズッキーニ(果菜)
よく実る代わりに、床の面積を大きく取ります。株が広がり、屋内では受粉を人の手でやることになるので、置き場所から先に決める作物です。FAO 589 はズッキーニを養分要求の高い組に入れています。クレムソン大学の普及資料では株間30〜38cm、畝間90cmで、1株が床の面積をまとめて取ります。雄花と雌花が別に咲き…
スイカ(果菜)
採れる量に対して、床と養分の取り分が大きすぎます。つるが広がり実も重いので、小さな系では場所ごと使い切ってしまい、ほかの作物が入りません。育たないわけではありませんが、家庭で組む大きさの系では割に合いません。クレムソン大学の普及資料では畝間1.8〜2.4m、株間1.5〜1.8m、1株におよそ2.2m²で…
バジル(ハーブ)
養分の要求が低く、5〜6週間で摘めるようになります。摘芯を繰り返すと枝が増え、根が強く張るので、培地を使う床のほうが扱いやすくなります。魚の水だけで育つ側の作物です。FAO の手引き(Somerville ら 2014)は養分の要求が低い葉物とハーブの一覧にバジルを並べ…
ミント(ハーブ)
よく育ちすぎることのほうが問題になります。地下茎で床いっぱいに広がり、ほかの株の根を押しのけるので、別の容器に区切って入れます。薄い水でも育ちます。FAO の手引き(Somerville ら 2014)は養分の要求が低いハーブにミントを数える一方、付録の栽培表からは外しています。…
シソ(ハーブ)
夏の水温でも勢いが落ちない、数少ないハーブです。25℃前後がよく伸びる帯で、根がよく張るので、培地を使う床に向きます。夏に勢いが落ちない側のハーブです。よく伸びる帯が25℃前後とされ、ナイルティラピアのような温水性の魚を飼う夏の系と重なります。…
イタリアンパセリ(ハーブ)
低い気温に耐え、冬のあいだも採り続けられます。生育はゆっくりで、床へ移してから20〜30日で摘めるようになりますが、株を長く置くぶん床は動きません。低い気温に耐え、冬の床を埋められます。FAO の手引き(Somerville ら 2014)はパセリを養分の要求が低いハーブに置き、生育は15〜25℃、0℃にも耐え…
パクチー(ハーブ)
育つかどうかより、発芽と、とう立ちで決まります。芽が出そろいにくく、水温が上がると早く花に向かうので、涼しい時期にまき直しながら使います。養分は壁になりません。FAO の手引き(Somerville ら 2014)はコリアンダーを要求の低いハーブに数えますが、付録の栽培表12種には入れていません。…
ローズマリー(ハーブ)
根が濡れ続ける場所を嫌うため、この系には向きません。乾く時間があってはじめて根が保つ植物で、常に湿った培地では株元から傷みます。落ちる理由は養分ではなく、水の当たり方です。英国王立園芸協会の栽培案内は濡れた根を嫌い、冬はとくに傷むとしています。ノースカロライナ州立大学の解説も多湿への耐性が低く…