落とし穴図鑑

元本保証をうたう勧誘(勧誘・詐欺)

この一言が出たら、そこで終わり。「元本は保証します」「絶対に損はしません」と説明して出資を募る手口です。高い利回りとセットで語られます。出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(通称・出資法)は、不特定多数に元本以上の払い戻しを約束して資金を集めることを禁じ…

SNSの投資グループ(勧誘・詐欺)

無料の勉強会から、専用アプリへ。SNSの広告や著名人を名乗るアカウントから、LINEなどのグループに招待されます。最初は無料の投資講座や情報提供が続きます。信頼が育ったところで専用のアプリやサイトへ誘導され、そこに入金させる手口です。警察庁によると、少額の利益を実際に口座へ戻して信用させ…

著名人になりすました広告(勧誘・詐欺)

本人は何も関係していない。実在する経済評論家・経営者・タレントの写真と名前を無断で使い、投資を推奨しているかのような広告を出す手口です。クリックするとメッセージアプリのグループに誘導されます。警察庁によると、2025年のSNS型投資詐欺で最初の接触がバナー等の広告だったのは3,785件で…

未公開株・私募債(勧誘・詐欺)

上場すれば何倍、という話は届かない。「上場間近」「値上がり確実」と称して未公開株を売る手口です。金融庁は、株券が届かない、発行会社に確かめると上場の予定は無く譲渡制限もあったといった例を挙げています。社債では「限られた人だけが買える私募債」と勧められ、振込後に連絡が取れなくなる相談事例もあります。私募は…

ポンジ・スキーム(勧誘・詐欺)

配当の原資は、次に入ってきた人のお金。実際には運用せず、新しい出資者から集めたお金を、既存の出資者への配当に回す仕組みです。しばらくは配当が支払われ続けるので、成功しているように見えます。新規の出資が止まった瞬間に破綻します。米国証券取引委員会(SEC)は2008年12月…

ロマンス投資詐欺(勧誘・詐欺)

投資の話が出るまで、投資の話をしない。マッチングアプリやSNSで知り合い、数週間から数か月かけて信頼関係を作ってから、投資の話を切り出す手口です。相手は写真も経歴も偽物で、複数人のチームで運営されていることもあります。警察庁の確定値では、令和7年に認知されたSNS型ロマンス詐欺は5,645件・被害額546.4億円で…

毎月分配型のタコ足分配(商品の罠)

自分のお金が、手数料付きで返ってくる。分配金は投資信託の純資産から払われるため、分配のたびに基準価額がその分下がります。運用収益を超えて分配すると、積立金や元本を取り崩して配っていることになります。日本証券業協会の説明例では、収益50円の期に100円を分配すると基準価額が50円下がり、利益は50円です。…

テーマ型ファンドの高値設定(商品の罠)

話題になってから作られる、という順番。特定の分野(AI・環境・宇宙など)に絞って投資する投資信託です。その分野が話題になり、資金が集まる見通しが立ってから設定されるため、設定時点で既に価格が上がりきっていることが多いという構造的な問題があります。Ben-Davidら(2022年)は…

外貨建て保険の販売手数料(商品の罠)

保障と運用と為替が、一度に来る。外貨で払って外貨で受け取る貯蓄型の保険で、為替の変動も受けます。費用は契約時の販売手数料だけでなく、契約中の保険契約関係費、解約時の解約控除、円と外貨の両替手数料と、何段にも分かれます。日本経済新聞は、販売手数料が初年度5%、2年目以降0.1%という配分の例を挙げ…

「元本確保」という言葉(商品の罠)

保証ではない。条件付きという意味。「元本保証」と「元本確保」は違います。金融庁は、投資信託の元本確保型は元本を確保する運用を志向するだけで、元本保証の商品ではないと注意しています。債券の形をした元本確保型は、満期まで保有し、発行体が支払える場合に限って元本が戻る設計です。発行側のCIBC(YouTube)も…

高すぎる予定利回り(商品の罠)

利回りは、リスクの値段でしかない。年8%や10%といった利回りが提示される商品です。詐欺とは限らず、実在する事業に投資している場合もあります。ただし高い利回りは、それだけの危険を市場が織り込んだ結果であって、うまい話ではありません。米国証券取引委員会(SEC)は、集団を狙う投資詐欺の注意喚起で…

回転売買(売買の罠)

勧められるまま乗り換えると、手数料だけが残る。投資信託などを短期間で解約させ、別の商品へ乗り換えさせることを繰り返す行為です。乗り換えのたびに販売手数料が発生し、金融機関の収益になります。日本証券業協会は乗換え勧誘を保有する投資信託の売却と別の投資信託の取得をセットで勧めることと定義し…

レバレッジの減価(売買の罠)

上下に往復するだけで、資産が削れる。レバレッジ型ETFやCFD(差金決済取引)など、日々の値動きを倍にする商品で起きる現象です。金融庁は、指数・指標の値動きの倍率を日次(1日)で達成するように運用されるため、2日以上の期間では指数の倍率にならないことがあると説明しています。指数が元の水準に戻っても…

ナンピン地獄(売買の罠)

平均取得価額は下がるが、損失額は増える。値下がりした銘柄を買い増して取得単価(平均取得価額)を下げる行為です。計画的な積立と、感情的なナンピンはまったく違います。後者は、下がるたびに投じる金額を増やし、1銘柄への集中度を高めていきます。YouTube の解説(larry_lawliet)は…

追証(おいしょう)(売買の罠)

期限までにお金を入れるか、強制的に決済される。信用取引やFX(外国為替証拠金取引)で、担保の価値が必要な水準を下回ったときに、追加の担保を差し入れるよう求められることです。期限までに入れられなければ、建玉は強制的に決済されます。金融庁は、相場変動で証拠金を超える損失が発生する「未収金」を…

逆日歩(ぎゃくひぶ)(売買の罠)

空売りしているだけで、突然発生する費用。信用取引で株を借りて売っているとき、貸し出せる株が不足すると発生する追加の費用です。品貸料とも呼ばれ、日本証券金融が行う入札で、料率の低い注文から順に採用して決まります。金額は日々変動し、事前には確定しません。受渡日を基準に日数を数えるため、土日や連休をまたぐと…

過去のリターンの見せ方(情報の罠)

切り取る期間を変えれば、どんな結論も作れる。「過去10年で年率15%」といった数字は、どの10年を切り取ったかで劇的に変わります。強気相場の底から高値までを取れば、どの商品も見栄えのする数字になります。投資シミュレーターまむすん(YouTube)は S&P500 で…

生存者バイアス(消えたファンド)(情報の罠)

成績の悪い商品は、ランキングから消えている。純資産総額が減った投資信託は、繰上償還で消えることがあります。運用会社が信託期間の途中でやめて受益者に返すもので、残存口数が一定規模を下回った場合などが代表例です(資産運用業協会)。約款に条件が書いてあれば、受益者の賛否を問わず償還できます。今ランキングに並んでいるのは…

アフィリエイトのランキング(情報の罠)

順位を決めているのは、成績ではなく報酬額。「おすすめ証券会社ランキング」「人気の投資先3選」といった記事には、紹介経由で口座が開設されると報酬が入る仕組みで運営されているものがあります。報酬と勧め方の関係を測った研究に、インドの生命保険の代理人を調べたフィールド実験(Anagolら)があります。…

情報商材とオンラインサロン(情報の罠)

売っている人が儲けているのは、投資ではない。投資手法を教える教材や、月額制のコミュニティです。提供者の収益源は、投資の成果ではなく参加費です。事業を運営する側の話として、Alex Hormozi(Acquisition.com のチャンネル)は、教材の価値は早く薄れるが…

金融庁に登録の無い業者(手続きの罠)

確認は1分で終わる。やる人が少ないだけ。国内で金融商品の販売や助言を業として行うには、金融商品取引業の登録が必要です。登録業者は当局の監督と勧誘のルールの下にありますが、無登録の者はどちらも受けずに資金を集めています(日本弁護士連合会の2026年1月の意見書)。金融商品取引法は…

出金できない口座(手続きの罠)

増えた数字は、画面の中にしかない。SNS広告からグループへ招かれ、入金も運用画面の操作も正常に動くのに、出金しようとすると手続きが進まない状態です。警察庁は、高額の偽の利益を画面に表示したうえで、出金時に「保証金」「税金がかかる」「全額引出のための手数料」「監督当局による資金の差し止め」といった名目を持ち出し…

名義貸し(手続きの罠)

頼まれて貸すと、加害者の側に立たされる。他人のために自分名義の口座を開いたり、自分の名前で契約したりすることです。「名前を貸すだけ」と持ちかけられます。通帳・カード・ネットバンキングのIDを、有償か無償かを問わず譲る・貸す行為は犯罪で、貸した側も罰せられます。譲渡の罰則は2026年7月10日から…

高齢の家族の口座(手続きの罠)

本人が困る前に、家族が知っておく。高齢期の問題は、資産そのものより、資産にたどり着けなくなることです。全国銀行協会は、預金は本人の資産で意思確認が要るため家族でも払い出せず、判断力が落ちた本人との取引では成年後見制度の利用を促すのが一般的だと述べます。認知症と判断された預金者の口座は、銀行が凍結することもあると…