落とし穴図鑑

元本保証をうたう勧誘(勧誘・詐欺)

この一言が出たら、そこで終わり。「元本は保証します」「絶対に損はしません」と説明して出資を募る手口です。高い利回りとセットで語られます。預貯金など一部を除き、元本を保証して出資を集めることは法律で禁じられています。

SNSの投資グループ(勧誘・詐欺)

無料の勉強会から、専用アプリへ。SNSやメッセージアプリのグループに招待され、最初は無料の投資講座や情報提供が続きます。信頼が育ったところで専用のアプリやサイトへ誘導され、そこに入金させる手口です。画面上では資産が増えていきますが、その数字は運営側が表示しているだけです。

著名人になりすました広告(勧誘・詐欺)

本人は何も関係していない。実在する経済評論家・経営者・タレントの写真と名前を無断で使い、投資を推奨しているかのような広告を出す手口です。クリックするとメッセージアプリのグループに誘導されます。生成AIによる偽の動画や音声が使われる例も増えました。

未公開株・私募債(勧誘・詐欺)

上場すれば何倍、という話は届かない。「まもなく上場する会社の株を、特別に譲る」と持ちかける手口です。実在しない会社、あるいは上場の予定が無い会社の株を高値で売りつけます。社債の形をとる場合もあります。

ポンジ・スキーム(勧誘・詐欺)

配当の原資は、次に入ってきた人のお金。実際には運用せず、新しい出資者から集めたお金を、既存の出資者への配当に回す仕組みです。しばらくは配当が支払われ続けるので、成功しているように見えます。新規の出資が止まった瞬間に破綻します。

ロマンス投資詐欺(勧誘・詐欺)

投資の話が出るまで、投資の話をしない。マッチングアプリやSNSで知り合い、数週間から数か月かけて信頼関係を作ってから、投資の話を切り出す手口です。相手は写真も経歴も偽物で、複数人のチームで運営されていることもあります。

毎月分配型のタコ足分配(商品の罠)

自分のお金が、手数料付きで返ってくる。運用がうまくいっていない月も分配を続けるため、元本を取り崩して分配している状態です。受け取った金額とほぼ同じだけ基準価額が下がっているので、資産は増えていません。

テーマ型ファンドの高値設定(商品の罠)

話題になってから作られる、という順番。特定の分野(AI・環境・宇宙など)に絞って投資する投資信託です。その分野が話題になり、資金が集まる見通しが立ってから設定されるため、設定時点で既に価格が上がりきっていることが多いという構造的な問題があります。

外貨建て保険の販売手数料(商品の罠)

保障と運用と為替が、一度に来る。外貨で運用する貯蓄型の保険です。契約時の販売手数料が大きく、その多くは契約者の払込金から賄われています。加えて為替の変動と、保障のための費用が重なります。

「元本確保」という言葉(商品の罠)

保証ではない。条件付きという意味。「元本保証」と「元本確保」は違います。元本確保型と呼ばれる商品の多くは、満期まで保有し、かつ発行体が破綻しない場合に限って額面が戻る設計です。途中解約や条件の抵触があれば、この前提は消えます。

高すぎる予定利回り(商品の罠)

利回りは、リスクの値段でしかない。年8%や10%といった利回りが提示される商品です。詐欺とは限らず、実在する事業に投資している場合もあります。ただし高い利回りは、それだけの危険を市場が織り込んだ結果であって、うまい話ではありません。

回転売買(売買の罠)

勧められるまま乗り換えると、手数料だけが残る。投資信託などを短い期間で解約させ、別の商品へ乗り換えさせることを繰り返す行為です。乗り換えのたびに販売手数料が発生します。販売する側の収益になる一方、投資家の資産は手数料の分だけ確実に減ります。

レバレッジの減価(売買の罠)

上下に往復するだけで、資産が削れる。レバレッジ型ETFやCFD(差金決済取引)など、日々の値動きを倍にする商品で起きる現象です。指数が元の水準に戻っても、商品の価格は元に戻りません。上下動が激しいほど、この目減りは大きくなります。

ナンピン地獄(売買の罠)

平均取得価額は下がるが、損失額は増える。値下がりした銘柄を買い増して取得単価(平均取得価額)を下げる行為です。計画的な積立と、感情的なナンピンはまったく違います。後者は、下がるたびに投じる金額を増やし、1銘柄への集中度を高めていきます。

追証(おいしょう)(売買の罠)

期限までにお金を入れるか、強制的に決済される。信用取引やFX(外国為替証拠金取引)で、担保の価値が必要な水準を下回ったときに、追加の担保を差し入れるよう求められることです。期限までに入れられなければ、建玉は強制的に決済されます。

逆日歩(ぎゃくひぶ)(売買の罠)

空売りしているだけで、突然発生する費用。信用取引で株を借りて売っているとき、貸し出せる株が不足すると発生する追加の費用です。品貸料とも呼ばれます。金額は日々変動し、事前には確定しません。

過去のリターンの見せ方(情報の罠)

切り取る期間を変えれば、どんな結論も作れる。「過去10年で年率15%」といった数字は、どの10年を切り取ったかで劇的に変わります。強気相場の底から高値までを取れば、どの商品も見栄えのする数字になります。

生存者バイアス(消えたファンド)(情報の罠)

成績の悪い商品は、ランキングから消えている。成績の振るわない投資信託は純資産総額が減り、繰上償還されて消えます。今ランキングに並んでいるのは、生き残ったものだけです。過去の平均成績を計算すると、消えたものが除かれているぶん、実態より良く出ます。

アフィリエイトのランキング(情報の罠)

順位を決めているのは、成績ではなく報酬額。「おすすめ証券会社ランキング」「人気の投資先3選」といった記事の多くは、紹介経由で口座が開設されると報酬が入る仕組みで運営されています。順位が報酬の高さと相関していることは珍しくありません。

情報商材とオンラインサロン(情報の罠)

売っている人が儲けているのは、投資ではない。投資手法を教える教材や、月額制のコミュニティです。提供者の収益源が、投資の成果ではなく参加費であることが本質です。全部が無価値とは言いませんが、利益相反はここに存在します。

金融庁に登録の無い業者(手続きの罠)

確認は1分で終わる。やる人が少ないだけ。国内で金融商品の販売や助言を業として行うには、金融商品取引業の登録が必要です。無登録の業者との取引は、トラブルになっても救済の枠組みがほとんど使えません。

出金できない口座(手続きの罠)

増えた数字は、画面の中にしかない。入金と運用画面は正常に動くのに、出金しようとすると手続きが進まない状態です。「税金の前払い」「認証手数料」「上位会員へのアップグレード」など、さまざまな名目で追加入金を求められます。

名義貸し(手続きの罠)

頼まれて貸すと、加害者の側に立たされる。他人のために自分名義の口座を開設したり、自分の名前で契約したりすることです。「あなたは名前を貸すだけ」「手数料を払う」と持ちかけられます。犯罪に使われた場合、名義人が責任を問われます。

高齢の家族の口座(手続きの罠)

本人が困る前に、家族が知っておく。判断力が低下してから狙われる勧誘、本人しか知らない口座、認知症による口座の凍結——高齢期には資産そのものより、資産にたどり着けなくなることが問題になります。