回転売買

売買の罠

よくある入口: 金融機関の窓口

勧められるまま乗り換えると、手数料だけが残る

どんな手口・どんな罠?

投資信託などを短期間で解約させ、別の商品へ乗り換えさせることを繰り返す行為です。乗り換えのたびに販売手数料が発生し、金融機関の収益になります。日本証券業協会は乗換え勧誘を保有する投資信託の売却と別の投資信託の取得をセットで勧めることと定義し、投資信託の商品性や費用の比較など、乗換えの合理性を顧客が判断できる説明を証券会社等に求めています。

なぜ引っかかるのか

「もっと良い商品が出ました」は断りにくい提案です。担当者との関係が続くと、断ること自体に心理的コストが生まれます(権威バイアス)。金融庁は2017年、投信の運用資産の82%が販売会社系列の運用会社によるもので、売れやすく手数料を稼ぎやすい商品を作りやすい構造があると指摘しました。純資産上位10本の投信の販売手数料は平均3.1%、信託報酬は平均1.5%でした(同庁の講演資料)。

見分け方のサイン

1〜2年以内の乗り換えが繰り返されている、乗り換え前後の商品の中身が似ている、担当者が代わるたびに提案が来る。過去の取引履歴を並べると、はっきり見えます。金融庁の監督指針は、解約する投資信託の損益や乗換えにかかる解約手数料・販売手数料などの重要事項を説明せずに乗換えを勧めることを、内閣府令が禁じる状況に当たるとしています。

こうなったらどうする

「今の商品を持ち続けた場合と比べて、何がどう良くなるのか」を書面で求めてください。日本証券業協会のガイドラインは、解約する投資信託の概算損益と、乗換えにかかる解約手数料・販売手数料を、乗換え勧誘の重要事項として挙げています。金融機関の対応に疑問があれば、証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)に相談できます。

出典

  1. 公的機関 金融庁(森信親長官)(2017) 「日本の資産運用業界への期待」(日本証券アナリスト協会 第8回国際セミナー基調講演)
  2. 公的機関 日本証券業協会 乗換勧誘
  3. 公的機関 日本証券業協会(2021) 「投資信託等の乗換え勧誘時の説明義務に関するガイドライン」の一部改正等について

解説動画: 長期保有(複利と単利)/金融経済教育推進機構 (J-FLEC) チャンネル

長く持つことの2つ目の利点: 長期保有の利点として、複利効果と並んで頻繁に売買した時と比べて売買に伴う手数料などのコストが少なくて済むことが挙げられている。回転売買が投資家にとって何を失わせるかが、裏返しで説明されている。

複利は時間で効く: 年5%で100万円を5年。単利なら125万円、複利なら約127万6千円。複利のものは長く持つほど雪だるま式に増えるので、すぐ売るより長期で保有するほうが有利になる。乗り換えを繰り返すと、この効果そのものを毎回リセットすることになる。