テーマ型ファンドの高値設定
商品の罠
よくある入口: 金融機関の窓口
話題になってから作られる、という順番
どんな手口・どんな罠?
特定の分野(AI・環境・宇宙など)に絞って投資する投資信託です。その分野が話題になり、資金が集まる見通しが立ってから設定されるため、設定時点で既に価格が上がりきっていることが多いという構造的な問題があります。Ben-Davidら(2022年)は、米国の株式ETFで業種・テーマ特化型を調べ、設定後5年のリスク調整後の成績が約30%のマイナスで、主因は手数料でなく設定時の割高だったと分析しています。
なぜ引っかかるのか
テーマは物語として理解しやすいからです。「これから伸びる分野」という説明には納得感があり、指数の説明よりずっと魅力的に聞こえます。売る側にとっても説明しやすい商品です。米国のETFでは、特化型は運用資産の18%で手数料収入の36%を占めます(2019年末)。Ben-Davidらの研究では、特化型ETFへの資金流入は手数料の高低と関係がなく、過去の値上がりに強く反応していました。
見分け方のサイン
設定日が新しく、そのテーマがニュースで盛り上がっている、信託報酬が年1.5%を超える、純資産が急増している。人気の絶頂で買うことになりやすい組み合わせです。米国の研究では、設定間もない特化型ETFは、組み入れ株が直近で値上がりし、好意的に報道され、株価純資産倍率も高い傾向がありました。金融庁が2021年10月末に調べたESG投信225本は、設定が2017年の6本に対し2021年は96本でした。
こうなったらどうする
テーマの是非ではなく、同じ分野が既に世界株の指数に何%含まれているかを確認してください。多くの場合、全世界株式型を持っていれば既に相応の比率で保有しています。償還期限も目論見書で確かめてください。金融庁は、調査したESG投信の37%が償還期限を10年以下にしていて、中長期の視点が求められる商品として理由の説明が要ると指摘しています。買うなら全体の一部に限ること。
出典
- 論文・英語 Itzhak Ben-David・Francesco A. Franzoni・Byung-Wook Kim・Rabih Moussawi(Review of Financial Studies)(2022) Competition for Attention in the ETF Space
- 論文・英語 Itzhak Ben-David・Francesco A. Franzoni・Byung-Wook Kim・Rabih Moussawi(NBER)(2022) Competition for Attention in the ETF Space(NBER Working Paper 28369)
- 公的機関 金融庁(サステナブルファイナンス有識者会議 第11回 資料)(2022) ESG関連公募投資信託を巡る状況