生存者バイアス(消えたファンド)
情報の罠
よくある入口: ネット広告
成績の悪い商品は、ランキングから消えている
どんな手口・どんな罠?
純資産総額が減った投資信託は、繰上償還で消えることがあります。運用会社が信託期間の途中でやめて受益者に返すもので、残存口数が一定規模を下回った場合などが代表例です(資産運用業協会)。約款に条件が書いてあれば、受益者の賛否を問わず償還できます。今ランキングに並んでいるのは、生き残ったものだけです。消えたものを除いた平均は、実態より良く出ます。
なぜ引っかかるのか
消えたものは見えないからです。Eddie Woo(YouTube)は第二次大戦の軍用機で説明します。帰還した機体の弾痕だけを調べても、撃たれて戻れなかった機体は調べられません。弾痕のない場所を補強すべきだと、アブラハム・ウォールドは見抜きました。ファンドも同じで、消えたものはデータから抜け落ちがちです(利用可能性ヒューリスティック)。
見分け方のサイン
「過去◯年で指数を上回ったファンドの割合」は、消えたファンドを含めて計算されているかを確かめてください。Carhart らは米国の投信で、生存者だけの平均の上振れが標本1年で年0.17%、15年超で年約1%と報告しました。成績の不振で消えたものが抜けるためで、期間が長いほど偏りは大きくなります。
こうなったらどうする
個々のファンドの成績ではなく、その分類全体の統計を見る習慣を持ってください。国内株のアクティブ型では、2015〜2019年の5年間の平均リターンは、のちに償還されたファンドが年率5.9%、続いたファンドが年率7.4%だったと、証券会社のアナリストのコラムは述べます(データの出所は記載なし)。同じコラムは、償還の主因は成績より規模だとも説明しています。
出典
- 論文・英語 Mark M. Carhart, Jennifer N. Carpenter, Anthony W. Lynch, David K. Musto(The Review of Financial Studies)(2002) Mutual Fund Survivorship
- 資料 一般社団法人 資産運用業協会(投資信託の運用会社の業界団体) 分配金・換金/償還の知識(投資信託Q&A100)
- 資料 海老澤界(松井証券ファンドアナリスト。証券会社のコラムで、記事末に口座開設の案内がある)(2025) 日本独特の傾向も? 投信の「生存者バイアス」とは何か
- 動画・英語 Eddie Woo(YouTube) Survivorship Bias