高齢の家族の口座
手続きの罠
よくある入口: 電話・訪問
本人が困る前に、家族が知っておく
どんな手口・どんな罠?
高齢期の問題は、資産そのものより、資産にたどり着けなくなることです。全国銀行協会は、預金は本人の資産で意思確認が要るため家族でも払い出せず、判断力が落ちた本人との取引では成年後見制度の利用を促すのが一般的だと述べます。認知症と判断された預金者の口座は、銀行が凍結することもあると、両学長(リベラルアーツ大学)は紹介します。
なぜ引っかかるのか
判断力の衰えは、外から見えにくいものです。日本証券業協会は、見た目に変化がなく理解も十分に見えた顧客が、数日後には自分の取引を全く覚えていなかった例を挙げています。米国の一人暮らしの公的医療保険の加入者8万人余の信用記録の研究では、認知症と診断された人は、早くは診断の約6年前から支払いの遅れがわずかに多い関連が見られました。
見分け方のサイン
日本証券業協会は、ガイドラインの対象外にした高齢の顧客でも、過去に買ったことのない商品や急に大きな額の買付け、収入や資産の急な変化、記憶力や理解力の変化があれば、証券会社の役席者が必要に応じて確かめ直すよう求めます。家族は、同じ商品の乗り換えが続いていないか(回転売買)にも目を配ってください。届く取引の書類を一緒に見る習慣が、変化に気づく支えになります。
こうなったらどうする
どの金融機関に何があるかを1枚にまとめておくのが出発点です(相続時は相続と証券口座)。本人が元気なうちに、金融機関の代理人の届出(全国銀行協会)や、公正証書で結ぶ任意後見契約を確かめておきます。任意後見は家庭裁判所が監督人を選んで初めて効力が生じます(厚生労働省)。両学長は、年金の受取口座と生活費の引き落とし口座を揃える備えも挙げます。相談先は消費者ホットライン188と地域包括支援センターです。
出典
- 資料 一般社団法人 全国銀行協会(銀行の業界団体)(2021) 金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方について
- 資料 日本証券業協会(証券会社の自主規制団体)(2021) 協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則第5条の3の考え方(高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドライン)
- 公的機関 厚生労働省 成年後見はやわかり 任意後見制度とは(手続の流れ、費用)
- 論文・英語 Nicholas LH ほか(2021) Financial Presentation of Alzheimer Disease and Related Dementias
- 動画 両学長 リベラルアーツ大学(YouTube) 【超キホン】親の預金口座が凍結されて「生活費・介護費が引き出せない!」に備えてできること5選【守る編】:(アニメ動画)第368回
解説動画: 高めよう!「見守り力」(応用編)『1.高齢者・障害者の消費者トラブルの現状と特徴』:消費者庁/消費者庁 / CAA
狙われる理由は3つの不安: 消費者庁の啓発動画。高齢者にはお金・健康・孤独という3つの不安があり、悪質業者はその心細さ・寂しさに巧みにつけ込んでくる、と説明される。きっかけは訪問販売と電話勧誘が圧倒的に多い。
親切を装って近づく: 手が届かなくて困っていたときに電球を取り替えてくれた、よく眠れて高血圧が治ると言われた、謝礼を支払うと言われた——親切や優しさを装って近づいてくるのが典型的な入り方として挙がる。
相談されない構造: 被害に遭ってもだまされていることに気づきにくい。気づいても恥ずかしい・認めたくない・自分が悪い・迷惑をかけたくないという心理が働き、誰にも相談しない傾向がある。
二次被害の金額: 一度被害に遭うとその後も狙われ続け、何度も被害に遭う。二次被害の平均支払金額は65歳未満で約94万円に対し、65歳以上は約245万円と大きく上回る、と数字で示されている。